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8.保健医療サービスの知識等(R5年10月-第26回)3/4

問題 36 次の記述のうち適切なものはどれか。2つ選べ。
1 重症の糖尿病性ケトアシドーシスの患者では、異常な呼吸がみられることがある。
2 起座呼吸は、気管支喘息の患者にもみられる。
3 高齢者の脯活量の低下の一因として、肺の残気量の低下がある。
4 在宅酸素療法において、携帯用酸素ボンベの使用に慣れれば、介護支援専門員の判断で酸素流量を設定してよい。
5 簡易酸素マスクで酸素流量が不足する場合は、鼻カニューレに交換する。

難易度:★★

1は〇である。
重症の糖尿病性ケトアシドーシスの患者には、徐呼吸や深く速い呼吸が規則正しく持続する異常呼吸(クスマウル呼吸)がみられることがある。H27問41肢3参照。
2は〇である。
起座呼吸とは、横になっていると呼吸困難が強まり、座位をとるか、後ろに寄りかかると楽になるため、この姿勢をとりたがる状態である。慢性心不全でみられる(問27肢4参照)が、気管支喘息の患者にもみられる。
3は×である。
肺の残気量が低下しているということは、肺に入った空気がきちんと排出されているということであり、肺活量低下の原因にはならない。肺の残気量が上昇するなら、肺活量の低下の一因になる。
4は×である。
酸素流量の設定は医師の指示によるので、介護支援専門員の判断で酸素流量を設定してはならない。
5は×である。
簡易酸素マスク>鼻カニューレなので、鼻カニューレで酸素流量が不足する場合は、簡易酸素マスクに交換する。

正解1,2
1と2は、直感的には〇ぽいと感じる人が多いだろう。しかし、知識がないと自信が持てない肢でもある。3,4,5は、その場で少し考えれば、論理的に、あるいは常識的におかしいと判断できるであろう。

問題 37 感染症と主な感染経路の組合せについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 季節性インフルエンザ − 飛沫感染
2 腸管出血性大腸菌感染症−接触感染
3 結核−空気感染
4 疥癬−飛沫感染
5 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症−空気感染

難易度:★★★

1は〇である。
2は〇である。
3は〇である。
4は×である。疥癬は摂食感染である。
5は×である。MRSAは飛沫感染、接触感染である。

正解1,2,3
H30問28に類題がある。疥癬はヒゼンダニにより引き起こされるものなので、接触感染であることは容易にわかる。また、MRSAが院内感染を引き起こしやすいのは、接触感染が含まれるためである。問題文では、わざわざ(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と記してくれているので、MRSAが細菌であることがわかる。ここから接触感染もあるだろうと破断できる(肢2参照)。飛沫感染と空気感染の違いは判別しにくい場合があると思われるが、本問は消去法で答えを導ける。

問題 38 高齢者に起こりやすい急変や急変時の対応について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 衣類の下の皮膚をやけどしたときは、衣類を脱がしてから冷やすようにする。
2 異物をのどに詰まらせたときは、前かがみにさせて背中を強く叩くと排出することがある。
3 心肺蘇生時の胸骨圧迫は、1分間に60回を目安に行う。
4 寝たきりの高齢者が嘔吐した場合には、側臥位にする方がよい。
5せん妄の原因の一つに薬剤の投与がある。

難易度:★★★

1は×である。
衣類の下の皮膚をやけどした状態で衣類を脱がそうとすると、皮膚がめくれてしまう可能性がある。衣類を着たままで冷やす。R2問27肢4参照。 2は〇である。
背部叩打法(はいぶこうだほう)である。実際にやったり、やられたりしたことがある人も多いのではないだろうか。
3は×である。
1分間に少なくとも100回のリズムで行う。1分間に60回では遅すぎると感じられるのではないだろうか。ユーチューブなどで実技を見てみると印象に残るだろう。
4は〇である。
側臥位にするのは、(仰臥位のままだと)嘔吐したもので窒息する可能性があるためである。
5は〇である。H29問32肢3参照。

正解2,4,5
R元問33に類題がある。

問題 39 次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 筋力トレーニングは、糖尿病の予防につながる。
2 大きな負荷で行う筋力トレーニングは、息を止めて行うと安全である。
3 冬の寒い時期の運動中は、汗をかかなくても水分補給が必要である。
4 疾病によるたんぱく質摂取に制限のない高齢者では、その摂取の目標量は1日30gである。
5喫煙は、脳卒中のリスク因子である。

難易度:★★★

1は〇である。
直観的に〇とした人が多いのではないだろうか。高齢になると若いときに比べ筋肉が低下しやすくなるが、2型糖尿病のある人では、とくにそのリスクが高くなることが研究で明らかになっている。
2は×である。
息を止める行為は血管や体への負担が大きいため避けるべきである。本肢も直観的に×と判断できる。
3は〇である。
冬場は空気が乾燥しやすく、気づかない間に身体から水分が失われやすくなる。冬でも、身体の中の水分は失われていっているので、こまめな水分補給を心がける。本肢も直観的に×と判断できる。
4は×である。
65歳以上の方の筋肉維持には、1日に少なくとも体重1kgあたり1g以上(体重60kgの方は60g以上)のたんぱく質を摂ることが望ましいとされている。
5は〇である。

正解1,3,5
まずわかりやすいものから解いていく。1は〇、2は×、5は〇。残る3と4を比較してみる。4は知識がないと判別が難しいが、1日30gは少なすぎると感じないだろうか。他方、3は一般論としては良さそうな内容である。ここから3>4と考えて、3を〇とする。

問題 40 ターミナルケアについて、より適切なものはどれか。3つ選べ。
1 人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備は、法律に基づく政府の努力義務とされている。
2介護保険の特定施設は、看取りの場となり得る。
3 看護師は、死亡診断書を作成することができる。
4 痛みの訴えは、身体的な要因によるものであるため、医療処置で対応できる。
5 グリーフケアとは、遺族の悲嘆への配慮や対応を行うことである。

難易度:★★

1は〇である。
社会保障制度改革推進法(平成24年8月22日法律第64号)6条3号参照。
2は〇である。
特定施設とは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームをいう (介護保険法第8条第11項、介護保険法施行規則第15条)。 サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームの定義に該当するものは、特定施設に該当する。これらも看取りの場となり得る。実際、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅でも看取りが行われている。
3は×である。
死亡診断書を作成できるのは、医師と歯科医師のみである。H30問39参照。
4は×である。
痛みには心理的な要因もあり、リラクゼーションが痛みの軽減に資する場合がある。
5は〇である。H29問42肢5参照。

正解1,2,5
2,3,5は判断しやすい。しかし、1,4は判断に迷った人もいるだろう。★★としたのは、そのためである。肢1を知っていた人は少なかったと思われる(初登場である)。ただ、看取りの場の確保が叫ばれている今、何らかの法律で肢Ⅰのような規定があると考えることは合理的だろう。他方、肢4は断定的な記述であるため、×だと直感的に判断した人もいるであろう。

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