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6.保健医療サービスの知識等(R5年10月-第26回)1/4

問題 26 次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
1 「指輪っかテスト」は、サルコペニア(筋肉減弱症)の簡便な評価法である。
2 フレイルとは、健康な状態と介護を要する状態の中間的な状態である。
3 ロコモティブシンドロームとは、認知機能の低下によって起こるフレイルである。
4 要支援と認定された者では、介護が必要となった原因の第1位は認知症である。
5 配偶者との死別による心理的苦痛を和らげるには、ソーシャルサポートが有効である。

難易度:★

1は〇である。
指輪っかテストは初登場だと思われる。同テストは、両手の親指と人差し指をつかって輪っかを作るようにして、利き足でない方のふくらはぎを囲むというものである。輪っかが作れない(ふくらはぎの方が太い)方が筋肉量が高く、左右の手の親指と人差し指がくっついて輪っかができて隙間が広いほど筋肉量が少ない。
2は〇である。R元問31肢1で出題されている。
3は×である。
ロコモティブシンドロームは運動器症候群のことであり、加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態を表す。ケアマネ試験では、初登場と思われる。
4は×である。
2022年国民生活基礎調査によれば、要支援となった原因は、①関節疾患(19.3%)、②高齢による衰弱(17.4%)。③ 骨折・転倒(16.1%)の順となっている。なお、要介護となった原因は、①認知症(23.6%)、②脳血管疾患(脳卒中)(19.0%)。③骨折・転倒(13.0%)である。
5は〇である。

正解1,2,5
肢5の〇はわかりやすい。また、過去問演習をしていれば、肢2も〇とわかる。しかし、残りの肢から正解を導くには、知識が必要である。指輪っかテスト、ロコモティブシンドロームともに初登場であり、正答率は低かったと思われる。

問題 27 次の記述のうち正しいものはどれか。3つ選べ。
1 脈拍数と心拍数は、常に一致する。
2 高体温とは、体温が36.5度以上である場合をいう。
3 一般的に動脈壁にかかる圧力を血圧という。
4 血圧には日内変動がある。
5 ジャパン・コーマ・スケール(JCS)は、意識レベルの評価に用いられる。

難易度:★★★

1は×である。
「常に一致」という部分で×として欲しい。悩んだ人は、不整脈を想起する。
2は×である。
36.5度は平熱である。体温、血圧、脈拍、呼吸数、SPO2といった基本的なバイタルサインについては、標準値を押さえておく。
3は〇である。
知らなかったとしても、動脈壁にかかる圧力であると推論して欲しい。
4は〇である。H25問26肢1参照。
5は〇である。
3-3-9度方式と呼ばれる。R2問29肢4、H30問38肢1参照。

正解3,4,5
常識的に1,2の誤りに気付いて欲しい。そうすれば、消去法で正解が導ける。

問題 28 検査について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 腹囲が男性 85cm 以上、女性 90cm 以上の場合は、メタボリックシンドロームの診断において腹部型の肥満とされる。
2 AST(GOT)は、肝臓以外の臓器の疾患でも上昇する。
3 ヘモグロビンAlcは、採血時の血糖レベルを評価するのに適している。
4 尿検査は、尿路感染症の診断に有効である。
5 CRP(C反応性たんぱく質)は、体内で炎症が起きているときに低下する。

難易度:★★

1は〇である。R2問30肢4参照。
2は〇である。H30問29肢5、H28問28肢3参照。
3は×である。
ヘモグロビンA1cの値は過去1~2月間の平均血糖レベルを反映するものである。空腹時血糖との混同を意図した肢である。R4問29肢5、R2問30肢3参照。
4は〇である。
5は×である。
CRPは、体内で炎症が起きているときに低下する上昇する。R2問30肢2参照。

正解1,2,4
難易度の判断に迷ったが、★★にした。理想としては3,5が×であることを判断できて、消去法で正解したい問題である。いずれも、最近の過去問で出題されている。なお、医療系専門職の受験生は確実に得点してくる問題であり、福祉専門職もこの程度の問題は解けるようになることが望ましい。

問題 29 褥瘡について適切なものはどれか。3つ選べ。
1 しびれや麻庫は、原因となる。
2 細菌感染の原因となる。
3 寝たきりになると腹部にできやすい。
4 予防方法の一つに、栄養管理がある。
5 寝返りができない人に、体位変換は不要である。

難易度:★★★

1は〇である。
しびれや麻痺により特定の部位があたった状態で放置されると褥瘡の原因になりうる。
2は〇である。
褥瘡部から細菌感染が起きるリスクが高まる。
3は×である。
普通うつぶせのまま寝る人はいないし、腹部には骨の突起もない。
4は〇である。
低栄養状態は褥瘡のリスクを高めるので、栄養管理は予防方法になる。
5は×である。
寝返りができないからこそ、体位変換が必要になる。

正解1,2,4
過去問に同一の聞き方をしているものが見つからなかった。褥瘡に関する基本的理解をもとに考えて解けばよい。

問題 30 リハビリテーションについて適切なものはどれか。3つ選べ。
1 多職種が連携して行う。
2 高齢者のケアは、リハビリテーション後置主義にのっとっている。
3 運動に伴って低血糖発作が起こることがある。
4 急性期病床は、急性期リハビリテーションの提供の場である。
5 回復が見込めない要介護高齢者に対しては、実施しない。

難易度:★★★

1は〇である。
2は×である。
リハビリテーション前置主義にのっとっている。これは、リハビリテーション医療を集中的に行って十分に改善してから、介護を提供しようという考えである。
3は〇である。
運動をすることでインスリンに対する感受性がよくなり、筋肉細胞でブドウ糖を消費するため、運動中や運動後には低血糖が起こりやすくなる。このことを知らなくても、本肢がありうる話であることと、文末の「ことがある」を決め手にして、誤りと破断したい。
4は〇である。
5は×である。
回復が見込めなくても、関節の拘縮を防ぐためのリハビリテーションなどが行われる。R元問35肢2参照。

正解1,3,4
2の判断に迷った人が多かったと思われる。このような問題では、自分が確実に自信を持てる肢を頼りにして、慎重に解く。

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