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5.現代社会と福祉(R4年2月-第35回)2/2

問題28 生活困窮者自立支援法の目的規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
2 すべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
3 尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い、生活困窮者の自立の促進を図ること。
4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。
5 社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ること。

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
生活困窮者自立支援法1条の目的規定を知らなければ、選択肢を比較して解くしかない。
同法の1条は、「この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。」と規定している。

いずれの選択肢も「〇〇という措置(給付)を行うことにより、生活困窮者の自立の促進を図ること」となっているので、何を行うことが、生活困窮者自立支援法の目的規定として相応しいかという視点から考える必要がある。
1が〇であるが、自信がないときは2以下も確認していく。
2は「最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずる」という部分が生活保護法を想起させるので×である。
3は「能力に応じ自立した日常生活を営めるよう」との記述に違和感を覚えて欲しい。
4は「能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置」の部分がおかしい。生活困窮者自立支援法は、教育を受ける機会の保障ではないはずである。
5は「社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう」の部分がおかしい。
以上か、もっとも無難な記述は1であろう。

正解1
生活困窮者自立支援法は、最近の過去問で何度か出題されている(㉞問34など)。
生活困窮者自立支援制度は、経済的に困窮し最低限度の生活を維持することができなくなるおそれがある方へ包括的な支援を行う制度ある。この制度ができた背景には、経済的な困窮をはじめとして、就労の状況、心身の状況、住まいの確保、家族の課題、家計の課題、債務、社会的な孤立など、生活困窮者の抱える課題が複雑で多様化していることなどがある。そうした状況にある生活困窮者の尊厳を守り、その意思を尊重しながら、地域社会の中で生活を立て直して、少しずつ自立していけるように、従来の縦割りではない横断的な支援を実現していくために作られたものである。

問題29 日本における人口の動向に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 第二次世界大敏後、1940年代後半、1970年代前半、2000年代後半の3回のベビーブームを経験した。
2 15-64歳の生産年齢人口は、高度経済成長期から1990年代後半まで減少を続け、以後は横ばいで推移している。
3 「『日本の将来推計人口』における中位推計」では、65歳以上の老年人口は2025年頃に最も多くなり、以後は緩やかに減少すると予想されている。
4 「2021年の人口推計」において、前年に比べて日本人人口が減少した一方、外国人人ロが増加したため、総人口は増加した。
5 1970年代後半以降、合計特殊出生率は人口置換水準を下回っている。
(注)1 「『日本の将来推計人口』における中位推計」とは、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」における、出生中位(死亡中位)の推計値を指す。
2 「2021年の人口推計」とは、総務省「人口推計2021年(令和3年)10月1日現在」における推計値を指す。

1は×である。
第1次ベビーブームは1947年から1949年、第2次ベビーブームは1971年から1974年であるが、2000年代後半のベビーブームは存在しない。
2は×である。
少子化に歯止めがかからない現状からすると、1990年代後半以降も15-64歳の生産年齢人口は減少していると推測できる。正しく、1990年代後半まで増加を続け、それ以降は減少を続けている。
3は×である。
第一次ベビーブームの段階の世代(1947~1949)が75歳になるのが2025年である。ここが65歳以上の人口のピークになると考えた人もいるかもしれないが、1950年以降に生まれた人も翌年以降65歳となっていく。そうだとすると65歳以上の人口は2025年以降しばらくは増え続けると考えるのが素直であろう。65歳以上人口は、2025年以降も増加傾向が続き、2042)年に3,935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。
4は×である。
前半は正しいが、後半が誤りである。日本での年間死亡者数はすでに100万人を超えているが、一方で、2021年において日本は新型コロナ対策のため新規の入国に消極的だった。これらの事情を勘案すると「外国人人ロが増加したため、総人口は増加した」との部分は誤りだと推測できる。2021年(令和3年)10月1日現在の総人口は1億2550万2千人で、2020年10月から2021年9月までの1年間に64万4千人(-0.51%)の減少となっている。
5は〇である。
選択肢1のベビーブームの知識がここで役立つ。人口置換水準は約2.0として考えてみればよい。第1次ベビーブーム(1947~1949年)の後、出生数は減少傾向となり、合計特殊主出生率も2.0を下回る年が出現する。そして1966年に1.58となり(丙午の年)、そこから増加に転じ、第2次ベビーブーム(1971~1974年)まで2.0以上をキープするが、1970年代後半からは減少傾向となり、2.0を下回る年が続くことになる。そして1989年の1.57ショックの年を迎え、そこからさらに減少していき、少子化対策に本腰を入れることになる。㉝問15に同じ内容の選択肢がある。

正解1
㉝問15の知識が鮮明に残っていた人は、積極法で1を選べたであろう。それ以外の人は、ベビーブームの知識などをもとに推測して消去法で解くしかない。

問題30 福祉サービスの利用に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法は、社会福祉事業の経常者に対し、常に、その提供する福祉サービスの利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないと規定している。
2 社会福祉法は、社会福祉事業の経営者が、福祉サービスの利用契約の成立時に、利用者へのサービスの内容や金額等の告知を、書面の代わりに口頭で行っても差し支えないと規定している。
3 福祉サービスを真に必要とする人に、資力調査を用いて選別主義的に提供すると、利用者へのステイグマの付与を回避できる。
4 福祉サービス利用援助事業に基づく福祉サービスの利用援助のために、家庭裁判所は補助人・保佐人・後見人を選任しなければならない。
5 福祉サービスの利用者は、自らの健康状態や財力等の情報を有するため、サービスの提供者に比べて相対的に優位な立場で契約を結ぶことができる。

1は〇である。
内容的に極めて無難な記述である。自信を持てなければ、△にして次に進む。
2は×である。
「書面の代わりに口頭で行っても差し支えない」はずがない。
3は×である。
資力調査を用いて選別主義的に提供すると、利用者にスティグマを与えることになる。㉞問51参照。
4は×である。
福祉サービス利用援助事業は、社会福祉協議会が行うものである。㉞問35参照。
5は×である。
通常は、サービスの提供者が福祉サービスの利用者よりも相対的に優位な立場にある。

正解1

問題31 男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
2 セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
3 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
4 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
5 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

1は×である。
2016年に成立した女性活躍推進法は、働者数301人以上の事業主に女性が活躍できる行動計画を策定・公表するよう義務付けていたが、2019年の法改正で、労働者数101~300人以内の事業主も2022年4月1日から義務の対象となった。
2は〇である。
3は×である。
「理由のいかんを問わず」となっているが、総合職の労働者を募集・採用するということだけで全国転勤を要件とすることは、女性に不利に働くおそれがある。2014年7月1日から、すべての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されることになった(改正男女雇用機会均等法施行規則)。
4は×である。
設問のとおりだとすれば、期間の定めのある労働契約を結んだ者やパートタイム労働者は行く休業を取得できないことになる。これは不合理であろう。期間の定めのある労働契約を結んだ者やパートタイム労働者であっても、条件を満たせば育児休業を取得することは可能である。
5は×である。
育児休業を取得するかどうかは、本人に委ねられている(育児・介護休業法5条1項)。

正解2
極端な言い回しや選択肢に書かれている数に着目して、勘を働かせて解くしかない。内容的にもっとも無難な記述は2だと感じられれば十分である。

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