問題 11 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する基金(地域医療介護総合確保基金)について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 医療及び介護の総合的な確保に関する目標を達成するために必要な事業に要する費用を支弁するため、都道府県が設ける。
2 公的介護施設等の整備に関する事業は、支弁の対象とならない。
3 医療従事者の確保に関する事業は、支弁の対象となる。
4 介護従事者の確保に関する事業は、支弁の対象となる。
5 国が負担する費用の財源は、所得税及び法人税である。
難易度:★★
1は〇である。法6条参照。
この基金を設けるべき行政主体で迷うかもしれないが、都道府県が担うとすることには合理性が認められるので、正しいと推測できる。
2は×である。
法4条2項参照。地域医療介護総合確保基金という名称からも公的介護施設等の整備に関する事業が対象とならないというのはおかしい。
3は〇である。法4条2項2号ホ参照。
4は〇である。法4条2項2号へ参照なお、3と4は、人材確保という点で共通している。
5は×である。
財源は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律の施行により増加する消費税の収入をもって充てるものとされている(法7条参照)。国の財源がひっ迫していることからすると、所得税及び法人税を財源にするのはおかしいと推測できる。
正解1,3,4
本テーマも初の出題であり、準備していた受験生は少なかったであろう。こういう問題は、選択肢をざっと眺めて、考えてみるしかない。3,4の記述から、2も至便の対象となると推測する方がよいだろう。2が誤りだとして、他にヒントが隠されている記述がないかを探してみる。あとは、5の財源の内訳が変だと気付ければ、消去法で答えを道き出せる。問題10よりも、本問の方が解きやすい気がする。
問題 12 社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 医療保険者から介護給付費・地域支援事業支援納付金を徴収する。
2 第1号被保険者の保険料に係る特別徴収を行う。
3 都道府県に対し介護給付費交付金を交付する。
4 市町村に対し地域支援事業支援交付金を交付する。
5 介護保険サービスに関する苦情への対応を行う。
難易度:★★★
1は〇である。社会保険診療報酬支払基金の基本的な介護保険関係業務である。
2は×である。市町村の業務である。
3は×である。
市町村に対し介護給付費交付金を交付する。
4は〇である。
5は×である。
国民健康保険団体連合会の介護保険関連業務である。
正解1,4
社会保険診療報酬支払基金の介護保険に関連した基本的な役割がわかっていれば、正解を導ける。R5問13、R2問16、R元再問3・問11でも出題されており正解したい問題である。特に3と4については、基本的な役割がわかっているかどうかで容易に判断がつく。
問題 13 地域支援事業の包括的支援事業として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 家族介護支援事業
2 一般介護予防事業
3 在宅医療・介護連携推進事業
4 保健福祉事業
5 生活支援体制整備事業
難易度:★★
1は×である。任意事業である。2は×である。介護予防・日常生活総合支援事業である。
3は〇である。
4は×である。
市町村は、地域支援事業のほか、要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業、被保険者が要介護状態等となることを予防するために必要な事業、指定居宅サービス及び指定居宅介護支援の事業並びに介護保険施設の運営その他の保険給付のために必要な事業、被保険者が利用する介護給付等対象サービスのための費用に係る資金の貸付けその他の必要な事業を行うことができる(介護保険法115条の9)。R3問6、H27問1参照。
5は〇である。
正解3,5
R元問12、H27問15で出題されている。
問題 14 地域ケア会議の機能として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 個別課題の解決
2 地域づくり・資源開発
3 政策の形成
4 地域包括支援センターから提出された事業計画書の評価
5 日常生活自立支援事業の生活支援員の指名
難易度:★★
1は〇である。
2は〇である。
3は〇である。
4は×である。このような機能はない。
5は×である。このような機能はない。
正解1,2,3
H28問11で出題されている。地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現に向けた手法である。その機能としては、①個別課題解決機能、②ネットワーク構築機能、③地域課題発見機能。④地域づくり・資源開発機能、⑤政策形成機能の5つが挙げられている。5が誤りであることはわかりやすい。残りの肢について、比較しながら、適切かどうかを判断する。
問題 15 介護サービス情報の公表制度において、介護サービスの提供開始時に事業者が都道府県知事へ報告すべき情報として規定されているものはどれか。3つ選べ。
1 従業者の個人情報保護等のために講じる措置
2 従業者の教育訓練の実施状況
3 年代別の従業者の数
4 従業者の労働時間
5 従業者の健康診断の実施状況
難易度:★
1は×である。従業者の個人情報保護等のために講じる措置は規定されていない。
2は〇である。
3は×である。年代別の従業者の数は規定さていない。
4は〇である。
5は〇である。
正解2,4,5
H30問14に類題がある。公表すべき事項については、平成18 年3月31 日老振発第0331007 号厚生労働省老健局振興課長通知に詳細が記されているが、具体的な内容まで抑えている人は少ないと思われる。そのような場合、制度の趣旨から推測したり、選択肢を比較するなどして、糸口を見つけるしかない。
公表制度の趣旨は、介護保険法に基づき平成18年4月からスタートした制度で、利用者が介護サービスや事業所・施設を比較・検討して適切に選ぶための情報を都道府県が提供する仕組みである。この制度に基づき、介護サービス事業所は、都道府県知事に厚生労働省令で定められる情報(基本情報、運営情報)を報告しなければならない。
こうした制度の趣旨、目的からすると、従業者の個人情報保護等のために講じる措置は、必ずしも公表する必要はないと考えられる(少なくとも他のものよりも、利用者のサービス事業者の選択には適さない。※利用者の個人情報保護等のために講じる措置と比較してみるとよい)。
残る4つの肢は従業者の質の確保に関連するものであるが、3はその中でも異質である。年齢の高低は、サービスの質に比例するものとはいえないからである。以上から、残る2,4,5を選ぶ。