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2.心理学理論と心理的支援(R4年2月-第35回)

問題8 次の記述のうち、内発的動機づけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 大学の入試の要件となっているため、英語外部検定を受検した。
2 叱責されないように、勉強に取り掛かった。
3 授業中、寒いので、窓を閉めた。
4 お腹が減ったので、席を立って食事に行った。
5 投資に偶然興味を持ったので、勉強した。

1は×である。外発的動機である。
2は×である。外発的動機である。
3は×である。外発的動機である。
4は×である。外発的動機である。
5は〇である。
内発的動機づけとして適切である。内発的動機付けとは内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態である。

正解5
㉛問8に類問がある。内発的動機づけの定義を覚えていなくても、選択肢の例を見ているうちに聞きたいことは何となくわかるであろう。選択肢の中で最も異質なものを見つけるという方法(分類法)で解いてもよい。

問題9 次の記述のうち、性格特性の5因子モデル(ビッグファイブ)の1つである外向性の特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ささいなことで落ち込みやすい。
2 新しいことに好奇心を持ちやすい。
3 他者に対して親切である。
4 他者との交流を好む。
5 責任感があり勤勉である。

1は×である。神経症的傾向に関係する。
2は×である。開放性に関係する。
3は×である。協調性に関係する。
4は○である。外向性の特徴として最も適切な記述である。
5は×である。誠実性に関係する。

正解4
5因子モデルについては㉜問5の選択肢の中で出されているが、その内容を問うものは初だと思われる。本問は5因子の内容を大まかに知っているか、外向性という言葉から社交性が高いといった意味ではないかと推測できないと解くのが難しい問題といえる。
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5因子モデルは性格や人格(パーソナリティ)を、統計分析によって、主要な5因子で表現したものである。その5つとは、開放性(Openness)、誠実性(Conscientiousness)、外向性(Extraversion)、協調性(Agreeableness)、神経症的傾向または情緒安定性(Neuroticism)である(異なる訳語が用いられる場合がある)。

問題10 集団における行動に関する次の記述のうち、傍観者効果の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 作業をするときに見学者がいることで、一人で行うよりも作業がはかどった。
2 革新的な提案をチームで議論したが、現状を維持して様子を見ようという結論になってしまった。
3 路上でケガをしたために援助を必要とする人の周囲に大勢の人が集まったが、誰も手助けしようとしなかった。
4 チームで倉庫の片付けに取り組んだが、一人ひとりが少しずつ手抜きをした結果、時間までに作業が完了せず、残業になってしまった。
5 リーダーがチームの目標達成を重視しすぎることで、チームの友好的な雰囲気が損なわれ、チームワークに関心がないメンバーが増えてしまった。

1は×である。集団的促進の事例である。
2は×である。
3は〇である。
4は×である。社会的手抜の事例である。
5は×である。

正解3
傍観者効果については、㉚問11で出題されている。

問題11 子どもの発達に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 共同注意とは、他者との友情を構築することを示す。
2 初語を発する時期になると、喃語が生起する。
3 社会的参照は、新奇な対象に会った際に、養育者などの表情を手掛かりにして行動を決める現象である。
4 アニミズムとは、自分や他者の行動を予測し、説明する力を指す。
5 物体が隠れていても存在し続けるという「対象の永続性」は、3歳以降に理解できるようになる。

1は×である。
共同注意とは、人がひとつの空間の中で、他の人と同じように物体や人物に対して注意を向けることである。
2は×である。
喃語→初語の順である。初語は1歳前後で出現する。
3は〇である。
4は×である。
アニミズムとは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方である。ラテン語で「霊魂」を意味するアニマ anima から 作られた用語である。
5は×である。
対象の永続性は、1歳位で獲得される。㉞問10参照。

正解3
過去7年以内の過去問に出ていない用語も多く、面食らった受験生も多かったと思われる。こういう問題では、自分が有している知識を最大限に生かす(明らかに違うと思うのは消去する)とともに、心理学で「社会的参照」という語が使われる場合に、選択肢の中でそれにもっとも近いと感じるものを選ぶようにする。

問題12 次の記述のうち、問題焦点型ストレス対処法(コーピング)の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護ストレスを解消してもらおうと、介護者に気晴らしを勧めた。
2 困難事例に対応できなかったので、専門書を読んで解決方法を勉強した。
3 仕事がうまくはかどらなかったので、週末は映画を観てリラヅクスした。
4 育児に悩む母親が、友人に話を聞いてもらえて気分がすっきりしたと話した。
5 面接がうまくいかなかったので、職場の同僚に相談し、ねぎらってもらった。

正解2
㉛問12で出題されている。2以外の選択肢の事例は、情動焦点型コーピングに関するものである。
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選択肢を読むと、対処法(コーピング)に関する事例という点で共通していることがわかる。その中で、「問題焦点型」といえるものを選べばよい。そうすれば、自ずと2が正しいと感じられるはずである。

問題13 心理検査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。
2 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタデイを実施した。
3 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。
4 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。
5 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

1は〇である。
WPPSI、WISC、WAISの区別は必須知識といえる。㉞問13参照。
2は×である。
PFスタデイは性格を調べるためのものである。㉛問13参照。
3は×である。
東大式エゴグラムは質問紙法である。
4は×である。
内田クレペリン精神作業検査は、性格や適性を調べるためのものである。自動車運転免許の適正検査で用いられることがある。㉞問13参照。
5は×である。
バウムテストは性格傾向や発達を調べるためのものである。また、子どもに対しても用いられる。

正解1
WPPSIに関する1の知識で、正解したい問題である。心理検査については、「誰の(対象年齢)、何を(性格か知能か発達か)、どのように(投影法、質問紙法、作業検査法)」に着目して覚えておくとよい。覚えるときは、丸暗記よりも、実際の検査内容について簡単に知っておいた方が記憶に残りやすい。

問題14 心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。
2 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。
3 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。
4 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。
5 森田療法は.クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

1は×である。
ブリーフ(brief)とは「短期の」という意味であり、ブリーフセラピーとは短期間で、効率的に、効果的に行うセラピーを指す。
2は〇である。㉚問14、問105参照。
3は×である。
来談者中心療法のキーワードは、①自己一致、②無条件の肯定的関心、③共感的理解であり、「指示を与えながら」とは相容れない。㉚問14、㉙問14参照。
4は×である。
精神分析療法はフロイトの理論をもとにしている。㉞問14参照。
5は×である。
森田療法は、1919年に森田正馬によって創始された神経症に対する心理療法である。森田療法の特徴は、「不安や恐怖を排除する」という考え方ではなく、人の不安や葛藤を「あるがまま」に受け入れる受容的手法にある。選択肢の記述は、エンパワメントアプローチを意識したものではないかと考えられる。

正解2
社会生活技能訓練(SST)は最近の過去問でも出題されており、積極法で解きたいところである。

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