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2.介護支援分野(R5年10月-第26回)2/5

問題6 65歳以上の者であって、介護保険の被保険者とならないものはどれか。2つ選べ。
1 老人福祉法に規定する養護老人ホームの入所者
2 児童福祉法に規定する医療型障害児入所施設の入所者
3 生活保護法に規定する更生施設の入所者
4 生活保護法に規定する救護施設の入所者
5 児童福社法に規定する母子生活支援施設の入所者

難易度:★★★

1は×である。介護保険の被保険者となる。
2は〇である。
3は×である。介護保険の被保険者となる。
4は〇である。
5は×である。介護保険の被保険者となる。

正解2,4
R元問3、H28問12に類題がある。解くための視点は、介護保険の被保険者でなくても入居者(利用者)が不利益を被らないかどうかである。すなわち、選択肢の施設のサービスが十分な介護サービスの提供を含んでいるのかどうかである。児童福祉法の医療型障害児入所施設、生活保護法の救護施設の入所者は、いずれも十分な介護サービスを受けられるので、介護保険の被保険者とならないものとされている。

問題 7 介護保険と他制度との関係について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 労働者災害補償保険法の療養給付は、介護保険給付に優先する。
2 労働者災害補償保険法の介護補償給付は、介護保険の給付に相当する給付が受けられる限りにおいて、介護保険に優先する。
3 介護保険の訪問看談は、原則として、医療保険の訪問看護に優先する。
4 生活保護の被保護者は、介護保険給付を受給できない。
5 障害者総合支援法の給付を受けている障害者は、要介護認定を受けることができない。

難易度:★★

1は〇である。H30問23肢2参照。
2は〇である。肢1の応用から、正しいと推測できる。
3は〇である。介護保険>医療保険なので、本肢は正しい。
4は×である。
65歳以上の被保護者は、介護保険の被保険者であり、介護保険給付も受給している。H28問58参照。
5は×である。
障害者総合支援法の給付を受けている障害者であっても、要介護認定を受けることはできる。仮に本肢が正しいとすれば、障害者総合支援法と介護保険法の給付のいずれが優先するのかという(受験生なら知っておくべき)論点が生じてこない。

正解1,2,3
受験学習会のケアマネ対策講座でこの論点が出るかもしれないと話したことがあったが、ようやく出題された。

問題 8 介護保険法において現物給付化されている保険給付として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 居宅介護サービス計画費の支給
2 特定入所者介護サービス費の支給
3 居宅介護福祉用具購入費の支給
4 高額介護サービス費の支給
5 高額医療合算介護サービス費の支給

難易度:★★★

1は〇である。
ケアマネジャーに一旦介護給付費を払って、あとから払い戻しを受けるという仕組みにはなっていない(=現物給付化されているということ)。
2は〇である。
介護保険施設の入所者は、所得に応じて、食費と居住費の減額を受けることができる。その差額は、特定入所者介護サービス費として、事業所に直接支払われる。
3は×である。
居宅介護福祉用具の購入に際しては、一旦全額を支払った後、10万円を限度額として、購入費の9割が現金で支給される。
4は×である。
高額介護サービス費も一旦すべての介護費用(自己負担分)を支払った後、上限を超える額が申請により支給される。R2問7肢2参照。
5は×である。
4と同じ理由で誤りであるが、高額介護サービス費が月単位なのに対し、高額医療合算介護サービス費は年単位であることに注意する。

正解1,2
R元再・問7に類題がある。現物給付というと、生活保護の8種類の扶助の支給方法が頭に浮かぶと思うが、本問のような切り口で問われることもある。なお、よくわからなかった人の中には、償還払であるものとそうでないものにわけて、答えを導き出した人もいると思われる。そのような解き方でもOKである。

問題 9 介護保険法に定める指定居宅サービス事業者の責務として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 医師の診断書に基づき居宅サービス計画を作成しなければならない。
2 要介護者のため忠実に職務を遂行しなければならない。
3 自らサービスの質の評価を行うこと等により常に利用者の立場に立ってサービスを提供するように努めなければならない。
4 利用者が居宅において心身ともに健やかに養護されるよう、利用者の保護者を支援しなければならない。
5 法令道守に係る義務の履行が確保されるよう、業務管理体制を整備しなければならない。

難易度:★★★

1は×である。
医師の診断書は、居宅サービス計画の作成において参考になるが、それに基づいて計画を作成しなければならないということはない。
2は〇である。特に問題ない記述である。
3は〇である。特に問題ない記述である。
4は×である。
実際に利用者の保護者を支援するようなこと(精神的支援)もあるであろうが、介護保険は要支援、要介護者のために制定されているのであるから、利用者の保護者を支援することが責務とまではいえないと推測できる。
5は〇である。
合理的な内容であり、このような規定が責務として定められていると推測できる(法115条の32第1項参照)。

正解2,3,5
1が×であることは容易に判断できる。残る選択肢から、より適切な内容を3つ選ぶ。

問題10 介護保険法に規定する介護保険等関連情報の調査及び分析について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 市町村は、介護保険等関連情報を分析した上で、その分析の結果を勘案して、市町村介護保険事業計画を作成するよう努めるものとする。
2 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画を作成するに当たって、介護保険等関連情報を分析する必要はない。
3 都道府県は、介護サービス事業者に対し、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない。
4 厚生労働大臣は、被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。
5 厚生労働大臣は、特定介談予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を提供するよう求めることができる。

難易度:★★

1は〇である。
147条5項。努力義務になっている点がひっかかるとすれば、とりあえず先に進む。
2は×である。
内容的におかしいし、文末の「必要はない」が決め手になる。
3は×である。
厚生労働大臣は、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施及び評価並びに国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため、介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況に関する情報を提供しなければならない(148条の2第1項1号参照)。本問は、「都道府県は」と「介護サービス事業者に対し」の部分が誤りである。
4は〇である。148条の2第1項2号参照。
5は〇である。118条の2第3項参照。
正解1,4,5
このテーマは初めての出題だと思われる。正答率は高くなかったと思われるが、最低限考えてみることは必要であろう。2が×であることは判断しやすい。介護保険に関連したデータは、国保連への請求を通じて、蓄積されている。それを国(厚生労働大臣)、都道府県、市町村がどのように活かしていくのかについて考えながら解くことになる。

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