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1.人体の構造と機能及び疾病(R4年2月-第35回)

問題1 思春期に伴う心身の変化に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 この時期の心理的特徴として、自意識に乏しいことが特徴である。
2 女子では、初経から始まり、次いで乳房や骨盤の発育がみられる。
3 男子は、女子よりも早い時期から思春期が始まる。
4 身体の変化は緩徐な変化が多い。
5 第二次性徴という身体的な変化が始まる。

1は×である。
思春期が自意識に乏しいというのはおかしい。
2は×である。
乳房や骨盤の発育から始まり、次いで初経の順をたどるのが一般的である。
3は×である。
女子の方が、第二次性徴が始まるのは早い。このことから、女子の方が早い時期から思春期が始まると推測できる。肢2の記述はヒントになる。
4は×である。
身体の変化も急激である。
5は○である。

正解5
思春期について単独で聞く問題は、直近の過去問にはない。各肢の内容は思春期の特徴について述べたものであり、すべて読み終えると、思春期についての漠然としたイメージを掴むことができる。知らない肢があれば、自分の経験と一般常識を頼りに解く。

問題2 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 対象は障害のある人に限定されている。
2 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。
3 「活動」とは、生活・人生場面への関わりのことである。
4 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。
5 その人の住居は「個人因子」の一つである。

1は×である。
ICFはすべての人を対象とする。
2は×である。
社会的不利(Handycap)は、ICIDHの構成要素である。
3は×である。
生活・人生場面への関わりは、「参加」である。
4は○である。
「環境因子」には、物的環境のみならず、仕事上の仲間のような人的環境も含まれる。
5は×である。
住居は「環境因子」の一つである。

正解4
基本概念の理解を問題である。4と5まで絞れれば、比較して正解を見つけられる。

問題3 次のうち、疾病の予防に関する記述として、正しいものを1つ選びなさい。
1 特定健康診査は一次予防である。
2 糖尿病予防教室は一次予防である。
3 ワクチン接種は二次予防である。
4 リハビリテーションは二次予防である。
5 胃がんの手術は三次予防である。

1は×である。特定健康診査は二次予防である。
2は〇である。
糖尿病は代表的な生活習慣病であり、その予防教室は一次予防にあたる。
3は×である。ワクチン接種は一次予防である。
4は×である。リハビリテーションは三次予防である。
5は×である。胃がんの手術は、三次予防である。

正解2
㉝問3、㉝問4、㉛問4で出題されているテーマである。一次予防は健康増進・発病予防(生活習慣の改善など)、二次予防は早期発見・早期治療(健康診断など)、三次予防は社会復帰(リハビリなど)というように、それぞれについてイメージを持っておくとよい。

問題4 次のうち、2021年(令和3年)における、がん(悪性新生物)の主な部位別にみた死亡数で女性の第1位として、正しいものを1つ選びなさい。
1 大腸がん
2 胃がん
3 膵臓がん
4 乳がん
5 肺がん

正解1
知らないと自信を持って解けない問題である。直前対策講座では5年前の資料を載せていたが、第1位は変わっていなかった。
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2021年の主な部位別がん死亡数は、女性が①大腸がん、②肺がん、③膵臓がんの順になっている。ちなみに、男性は①肺がん、②大腸がん、③胃がんの順になっている。

問題5 パーキンソン病の原因と症状に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 小脳の異常である。
2 脳内のドーパミンが増加して発症する。
3 安静時に震えが起こる。
4 筋固縮がみられる。
5 大股で歩行する。

1は×である。
中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞がこわれて、ドーパミンが減少することによって発症する。
2は×である。ドーパミンが減少して発症する。
3は〇である。
4は○である。
5は×である。すくみ足歩行が特徴である。

正解3、4
最近の試験では、パーキンソン病の原因と症状については、直接に問う出題がなかった。主要な症状である①振戦、②無動、③固縮、④姿勢反射障害は、受験生としては知っておくべき知識といえるだろう。それがわかっていれば、本問は積極法で解くことができる。

問題6 事例を読んで、Aさんの症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(55歳)は、出勤途中に突然歩けなくなり、救急病院に運ばれた。脳梗塞と診断され、治療とリハビリテーションを受けたが、左の上下肢に運動麻痺が残った。左足の感覚が鈍く、足が床についているかどうか分かりにくい。歩行障害があり、室内は杖歩行又は伝い歩きをしている。呂律が回らないことがあるが、会話、読み書き、計算は可能である。食事は右手で箸を持って問題なく食べることができる。尿便意はあるが、自分でトイレに行くのが難しいため、間に合わず失禁することがある。

1 失語症
2 対麻痺
3 感覚障害
4 嚥下障害
5 腎臓機能障害

1は×である。
「呂律が回らないことがあるが、会話、読み書き、計算は可能である」ことから失語症には該当しない。
2は×である。
「左の上下肢に運動麻痺が残った」のであるから、片麻痺である。
3は〇である。
「左足の感覚が鈍く、足が床についているかどうか分かりにくい」のであるから、感覚障害が認められる。
4は×である。
「食事は右手で箸を持って問題なく食べることができる」のであるから、嚥下障害はない。
5は×である。
尿便意はあるし、尿量の減少を疑わせるような症状は書かれていない。

正解3
問題文と照らし合わせながら選択肢を吟味すれば、専門用語についての知識が十分になくても正解を選ぶことが可能である。左麻痺の場合に感覚障害が出るということは、この機会に覚えておくとよい。なお、呂律が回らないことがある(構音障害)という症状は、左麻痺、右麻痺の両方に共通する症状である。Aは左半身に麻痺が残ったというのであるから、右脳を障害されていることがわかる。ここから2の失語症は誤りだと判断した人もいたと思われる。

問題7 注意欠如・多動症(ADHD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 学童期の有病率はおよそ20%とされている。
2 多動性の症状は、青年期及び成人期には改善することが多い。
3 学校での症状が主であり、家庭では症状がみられないことが多い。
4 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では、4歳以前に症状があることを診断基準としている。
5 治療としては、薬物療法が第一選択となることが多い。

1は×である。
有病率は、学齢期の小児の3~7%程度と考えられている。5人に1人は多すぎではないかと感じられれば×と判断できる。
2は〇である。
3は×である。
2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていることが診断基準となっている。
4は×である。
DSM-5では、12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられることが診断基準となっている。
5は×である。
世界保健機関や日本のガイドラインでは、児童青年のADHDへの第一選択肢は心理療法(心理教育、ペアレント・トレーニング、認知行動療法など)であり、薬物療法は児童青年精神科医の管理下でのみ行うことができ、かつ6歳未満に対しては投与してはならない。

正解2
注意欠如・多動症(ADHD)は㉝問11の選択肢の中にあるが、本問はADHDの特徴を全般的に問うものである。知識が十分にない場合は、自分の経験則に照らして良さそうな記述を選ぶというのも一つの方法である。落ち着きのなかった子が大きくなるにつれて社会性を身につけていくことは、多くの人が見聞きしているのではないだろうか。

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