問題 58 犯罪の成立要件と責任能力に関する次の記述のうち。最も適切なものを1つ選びなさい。
1 正当行為、正当防衛、あるいは緊急避難が認められた場合には、有責性がないものとして、無罪になる。
2 正当防衛とは、正当な侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為のことをいう。
3 弁識能力及び制御能力の両方またはいずれかが欠けていれば、心神喪失となり。またどちらかでも能力が著しく減退していれば心神耗弱となる。
4 心神喪失の場合には、刑法上の犯罪が成立せずに無罪となり、心神耗弱の場合には、刑の言渡しが猶予される。
5 16歳未満の者の行為については、一律に責任能力に欠けるものとされており、犯罪は成立しない。
1は×である。
有責性ではなく、違法性がないものとして無罪になる。
2は×である。
正当防衛は、正当な侵害ではなく、違法な侵害に対してなされるものである。
3は〇である。
4は×である。
前半は正しいが、後半は誤りである。心神耗弱の場合には、刑が必要的に減免される。
5は×である。
14歳未満が正しい(刑事未成年)。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
犯罪の成立要件を聞く問題である。「更生保護」から「刑事司法と福祉」へと科目名が変わり、問題数も4問から6問に増えたことから、出題を予想していた人もいたと思われる。
問題 59 事例を読んで、次のうち、この手続きを表す名称として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳)は、自動車の大幅な速度超過により、道路交通法違反の罪で検挙された。Aさんの事件は、簡易裁判所が、検察官の請求に基づき、命令により100万円以下の罰金または科料を科することができる手続きで処理されることになった。この手続きがとられるに当たって、Aさんは、被疑者として異議がないことを示していた。
1 起訴猶予
2 微罪処分
3 簡易送致手統
4 交通反則通告制度
5 略式手統
1は×である。
起訴猶予処分とは、犯罪を犯したことが明らかであるけれども、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに検察官が行う不起訴処分である。
2は×である。
犯してしまった罪が軽微である場合に、検察官に送致せず警察だけで処理する手続である。
3は×である。
簡易送致とは、警察から検察官や家庭裁判所に事件を送致するものの、少年審判を開かずに終了することが予定されている処分である。簡易送致された場合には、最終的には家庭裁判所で「少年審判を開かない」という決定(審判不開始決定)が下され、審判を経ることなく事件が終了する。
4は×である。
交通反則通告制度とは、運転者が比較的軽微な道路交通法違反をした場合、一定期間内に反則金を納めることで、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに事件が処理される制度である。
5は〇である。
略式手続とは、簡易裁判所が、検察官の請求により、公判手続を経ることなく、検察官の提出した証拠を審査することによって一定額以下の罰金又は科料を科する簡易裁判手続である。Aの手続きは、この略式手続にあたる。
正解5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
問58と同様に、本問の略式手続も、第36回までの更生保護のときには出題されていなかった。
問題 60 事例を読んで、刑の全部執行猶予中の保護観察に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳)は、覚醒剤の自己使用により検挙され,懲役1年執行猶予3年保護観察付の判決が確定し、保護観察中である。Aさんには「薬物再乱用防止プログラムを受けること」という特別遵守事項が設定されている。また、Aさんには担当保護司が指名されている。
1 Aさんは、一般道守事項に違反しても、執行猶予が取り消されることはない。
2 Aさんは、簡易薬物検出検査を受けなければならない。
3 Aさんに対する不良措置として、保護観察の期間の延長がある。
4 Aさんの担当保護司は、Aさんの補導援護はできるが指導監督はできない。
5 Aさんが特別遵守事項に違反した場合には、保護観察所長が執行猶予を取り消す。
1は×である。
一般遵守事項に違反した場合でも、執行猶予が取り消される可能性がある(刑法26条2号参照)。
2は〇である。
Aは特別遵守事項として「薬物再乱用防止プログラムを受けること」になっているので、簡易薬物検出検査を受けなければならない。
3は×である。
不良措置とは,保護観察対象者に遵守事項違反又は再犯等があった場合に執られる措置である。不良措置には、仮釈放者に対する仮釈放の取消し及び保護観察付執行猶予者に対する刑の執行猶予の言渡しの取消しがあるが、保護観察の期間の延長はない。
4は×である。
保護司も指導監督ができる(更生保護法50条1項2号、57条参照)。
5は×である。
執行猶予を取り消すのは、裁判所である。
正解2
問題 61 更生保護に関わる人または組織に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 地方更生保護委員会の事務局及び保護観察所に保護観察官を置くこととされている。
2 保護司が備える条件の一つとして「人格及び行動について、社会的信望を有すること」がある。
3 保護司活動の拠点として、各都道府県に1か所ずつ更生保護サポートセンターが設置された。
4 更生保護法人は、厚生労働大臣の許可を受けて設立される。
5 更生保護女性会は、更生保護法の制定に伴い設立された。
1は〇である。
更生保護法31条参照。
2は〇である。
保護司法3条参照。
3は×である。
更生保護サポートセンターは,保護司・保護司会が,地域の関係機関・団体と連携しながら,地域で更生保護活動を行うための拠点である。その多くは保護司会が市町村や公的機関の施設の一部を借用しており、経験豊富な「企画調整保護司」が常駐して、保護司の処遇活動に対する支援や関係機関との連携による地域ネットワークの構築等を行っている。保護司の活動区域として全国に882の保護区が設けられており、保護区ごとに保護司会が組織されているが、そのすべてに更生保護サポートセンターが設けられている。㉛問148肢5参照。
4は×である。
更生保護法人を設立しようとする者は、法務省令で定めるところにより、申請書及び定款を法務大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない(更生保護事業法10条)。
5は×である。
戦前から少年保護などの活動を行っていた女性団体が前身となり、昭和24(1949)年に更生保護制度が発足したことに伴い、全国に地区更生保護婦人会が組織されていったが、その後、県単位、地方単位での組織化が進み、昭和39(1964)年に全国組織である「全国更生保護婦人協議会」が結成された。一方、更生保護法が成立したのは、2007年である。
正解1,2
問題 62 事例を読んで、「医療観察法」に基づく地域処遇に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳)は「医療観察法」に基づく入院決定を受け、指定入院医療機関に入院していたが、その後、退院許可の決定を受け、現在は、地域処遇を受けて指定通院医療機関に通院している。
1 Aさんの精神保健観察は、保護観察所の保護観察官が担当する。
2 Aさんが「精神保健福祉法」に基づく医療保護入院となることはない。
3 Aさんの地域処遇が3年を超えて実施されることはない。
4 Aさんの地域処遇の期間は、保護観察所長の決定により短縮することがある。
5 Aさんの処遇の実施計画は、保護観察所長が関係機関と協議して定める。
(注)1「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
2 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
1は×である。
社会復帰調整官が行う。㉟問150肢5参照。
2は×である。
必要な状況があれば、医療保護入院となることもある。
3は×である。
原則として3年であるが、保護観察所等からの申立てにより、期間内で終了したり、2年を超えない範囲で延長することができる。いずれの場合も裁判所の決定が必要となる。
4は×である。
裁判所の決定が必要である。
5は〇である。
医療観察法108条参照。
正解5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
記述の内容から考えて、積極法で5を選んだ人も多かったと思われる。
問題 63 2004年(平成16年)に制定された犯罪被害者等基本法に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 同法における犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及び遺族を除いた家族をいう。
2 同法の目的の一つに、再犯の防止と犯罪による被害を受けることの防止がある。
3 同法に基づき、ストーカー行為を規制するための処罰が整備された。
4 同法の基本的施策の一つに、損害賠償の請求についての援助がある。
5 同法に基づき、政府は犯罪被害者等基本計画を定めなければならない。
1は×である。
犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう(法2条2項)。遺族が除かれるのはおかしいと感じて欲しい。
2は×である。
「再犯の防止」は明らかにおかしい。この法律は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする(法1条)。
3は×である。
ストーカー行為を規制するための処罰が整備されたのは、2000年に制定されたストーカー行為等の規制等に関する法律による。この法律は、1999年に発生した桶川ストーカー殺人事件を契機として、翌2000年に議員立法された。
4は〇である。
法12条参照。
5は〇である。
法8条参照。
正解4,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
1と2は、推論により誤りと判断できる。悩むとしたら3である。ストーカー規制法の存在を知っていれば、処罰が整備されたのはストーカー規制法によると推測して、3を誤りと判断できる。

