6.保健医療サービスの知識(R元年10月-第22回)1/4
問題26 呼吸について適切なものはどれか。2つ選べ。
1 高齢者は、一般に、若年者と比べ、1回換気量は低下する。
2 頻呼吸は、発熱や心不全でもみられる。
3 心不全による呼吸困難は、起座位又は半座位で増強し、臥位で軽減する。
4 下顎呼吸は、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者でよくみられる。
5 チェーンストークス呼吸では、小さい呼吸から徐々に大きい呼吸となり、その後徐々に小さい呼吸となって、一時的な呼吸停止を伴う呼吸状態を繰り返す。
医療系の人にとっては、簡単な問題だが、福祉系の人は悩んだと思われる。
★★ 基本的知識、過去に問われた肢に、今まで出したことのないものを混ぜるという手法である。
1は、肺活量と違うことを知っていれば×と推測できたかもしれない。知らなければ△である。2は〇である。自分が発熱したときや息が上がっているときを想像してもよい。3は、起座位又は半座位―軽減、臥位―増強なので、×である。2012問27でも問われており、介護現場の人には必須の知識である。4は×である。2016問29で問われている。5のような問われ方は過去7年以内にはない。しかし、本試験の問題の作り方としてはオーソドックスなものである。1と5のいずれを選ぶべきかで迷った人が多いと思われる。
【正解2,5】
問題27 食事について適切なものはどれか。2つ選べ。
1 摂食・燕下プロセスの先行期(認知期)、は食べ物を咀哨する段階である。
2 摂食・感下プロセスの咽頭期の障害では、胃からの逆流がみられる。
3 食事の介護のアセスメントには、福祉用具専門相談員が関わることもある。
4 食事の介護のアセスメントには利用者が調理を行っているかどうかの確認は含まれない。
5 食事の介護のアセスメントでは、利用者の普段の活動性や睡眠状況も確認する。
前問に続き嫌な感じの問題だが、正解したい問題である。
★★★ 悩む肢があるときほど、立ち止まらすに全部の肢に目を通すことである。
1の先行期(認知期)は食べ物を咀哨するよりも前の段階だと考えられるので×。2は咽頭部と喉頭部があることを知っていれば、胃からの逆流がみられるのは喉頭部だろうと推測できる。×ぽい。3は内容的に合ってもよさそう(自助具の使用など)だし、文末の「もある」に着目して〇ぽい。4は、少し悩むが、食事の介護と利用者の調理の有無はまったく無関係ではないし、「含まれない」との断定的な文末が×ぽい。5は、活動性や睡眠状況が食事量や食事の際の状況に関わることと、「も確認する」という文末に着目して〇ぽい。
【正解3,5】
問題28 睡眠について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 床に就いてもなかなか眠れないことを、熟眠障害という。
2 眠りが浅<,すっきりと目覚められないことを、早朝覚醒という。
3 かゆみによって睡眠障害が生じることがある。
4 薬の副作用によって、夜間に興奮又は覚醒し、不眠になることがある。
5 起床時の覚醒水準を高めるケアを行うことで、規則的な排便リズムヘの効果が期待できる。
自信をもって判断できる肢を優先して解く。
★★★ 積極法で比較的容易に正しいものを2つ見つけることができる。
残る1つで迷うが、ここで自分なりに根拠を持てるものを選ぶことが大切である。何となく1か2を選んでしまった人は、なぜ間違えたのか、どうすれば正解を導けるのかを考えてみて欲しい。
1は△。2は△。3は内容と文末の「ことがある」の両面から〇。4も内容と文末の「ことがある」の両面から〇。残る1,2,5のうちどれを選ぶかで迷う。1の熟眠障害は眠りについた後もその眠りが浅い、あるいは途中で目覚めることを意味すると推測できるので、説明部分が×ぽい。2の早朝覚醒は、朝早くに目が覚めることを意味すると考えられ、「眠りが浅<,すっきりと目覚められないこと」という説明はやはり×ぽい。5は、起床時の覚醒水準を高めるケアを行うことと規則的な排便リズムとの因果関係が必ずしも明らかでないとしても、まったく無関係とはいえない。文末の「効果が期待できる」という部分も加味すると、〇ぽいとの判断は適切であろう。
【正解3,4,5】
問題29 口腔機能や口腔ケアについて正しいものはどれか。3つ選べ。
1 摂食・嚥下は、中枢神経と末梢神経により制御されている。
2 燕下反射により、食物が気道に入らないよう気管の入り口が閉鎖される。
3 すべての歯を喪失しても、咀嚼能力は低下しない。
4 脱落した粘膜上皮細胞も、口臭の原因となる。
5 口腔内を清掃する際は、義歯は外さない。
問題28と異なり、本問は消去法で解くと正解を導きやすい。
★★★ 解き方は問題によって異なる。臨機応変に解くことが大切である。
試験では字面で理解しているだけではダメで、問題文を読んできちんと身体の機能から判断することが大切である。
1は〇ぽいが、自信がなければ△にして次に進む。2は、基本的知識であり〇。なお、肢2の「気管」が「食道」となっていた場合に×と判断できるであろうか。3は、すべての歯がなくなれば「咀嚼」能力に何らかの影響があると考えるべきであろう。×と推測できる。4は、脱落した粘膜上皮細胞は口臭の原因になると考えられるので〇ぽい。5は、口腔内の清掃をする際には義歯を外さないとだめだろうと考えられ、×と判断できる。以上から、3と5が×であることはわかりやすいので、その他の肢が不明でも消去法で答えは出る。
【正解1,2,4】
問題30 認知症について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 抗精神病薬が過量だと、意欲や自発性などの低下(アパシー)をきたす場合がある。
2 若年性認知症支援コーディネーターは、すべての市町村に配置されている。
3 認知症の評価として、長谷川式認知症スケールが用いられている。
4 認知症の評価として.Mini-Mental State Examination(MMSE)が用いられている。
5 レビー小体型認知症では、幻視はみられない。
1,2,3は正確に判断できる必要がある。
★★★ 4のMMSEは過去7年以内に出題されていないが、5については2017問31でずばり出題されている。
1は〇。2は「すべての市町村に」という部分が×ぽい。小さな市町村(特に町村)にそこまで求めるのは実際上無理だと推論して欲しい。3は〇。4も〇。5は×である。
【正解1,3,4】
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