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4.社会福祉の原理と政策(R7年2月-第37回)1/2

問題 19 次の人物のうち、英国において「福祉国家」から「小さな政府」への転換を図った首相として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ウィンストン・チャーチル(Churchill, W.)
2 クレメント・アトリー(Attlee,C.)
3 マーガレット・サッチャー(Thatcher, M.)
4 トニー・ブレア (Blair, T.)
5 ゴードン・ブラウン(Brown,G.)

1は×である。
ウィンストン・チャーチル(保守党)は、1940年5月より45年7月まで首相として大戦下の英国を率い、連合国の勝利に貢献した人物である。
2は×である。
第二次世界大戦末期の1945年7月、イギリスでは政権交代が行われ、労働党が勝利した。このとき首相になったのが、労働党のアトリーである。アトリー内閣は、国民の期待に応えて、労働党の年来の主張であった重要産業国有化と社会保障制度の充実という政策を実施し、「福祉国家」を実現した。
3は〇である。
マーガレット・サッチャー(保守党)は、1979年から1990年まで英国の首相を努めた。サッチャー政権は、新自由主義に基づき、電話・ガス・空港・航空・自動車・水道などの国有企業の民営化と規制緩和・金融システム改革を掲げ、それらを強いリーダーシップで断行した。同様な政策は、日本では中曽根康弘、米国ではロナルド・レーガンによって行われた。
4は×である。
トニー・ブレア(労働党)は、1997-2007まで首相を務めた。ブレアは、保守党の市場化一辺倒、労働党の市場化への適応不足という袋小路に陥った状況を乗り越える路線として、市場の効率性を重視しつつも国家の補完による公正の確保を指向するという、従来の保守-労働の二元論とは異なるもう一つの新しい路線(第三の道)を目指すと主張した。
5は×である。
ゴードン・ブラウン(労働党)は、2007年から2010年まで首相を務めた。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
最近の問題では出題されていなかった分野である。
福祉国家により生じた問題点を克服するために1980年代に入ると政府の役割を縮小していく動きを取る国が出てきた。
イギリスのサッチャリズムは、その代表例である。積極法で3を選びたい。

問題 20 大正期の社会事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 感化法が制定された。
2 中央慈善協会が設立された。
3 恤救規則が制定された。
4 大阪府で方面委員制度が創設された。
5 石井十次によって岡山孤児院が設立された。

1は×である。1900(明治33)年に制定された。
2は×である。1908(明治41)年に設立された。初代会長は渋沢栄一である。
3は×である。1874(明治7)年に制定された。
4は〇である。1918(大正7)年に創設された。㉝問33、㉜問32参照。
5は×である。1887(明治20)年に設立された。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
知識がないと解くのは難しい。3が明治の初期に作られたことは知っておくべきだが、残りの事項については曖昧な人が多かったと思われる。ただ、名称や内容から考えて、2と4までは絞れたのではないだろうか。

問題 21 次の記述のうち、ニイリエ(Nirje, B.)が示したノーマライゼーションの考え方に基づく支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 知的障害者と知的障害児を同じ施設で生活できるように支援する。
2 要保護児童に対しては、大規模な入所型施設で専門的なケアを提供する。
3 障害のある成人は、同性だけで生活するように支援する。
4 知的障害者の生活を、ノーマルな生活状態に近づけることを目指す。
5 知的障害者の自己選択よりも、支援者の決定を優先する。

1は×である。
障害の有無に関わらず、共に生きていけるように支援することに主眼が置かれている
。 2は×である。
脱施設化に重点が置かれている。
3は×である。
これでは、ノーマルな生活状態とはいえない。
4は〇である。
5は×である。
悪しきパターナリズムであり、不適切である。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ノーマライゼーションは、㉞問23、㉝問32肢4などで出題されており、頻出かつ重要なテーマである。ノーマライゼーションの中核となる思想がわかっていれば、解くことができる。

問題 22 「持続可能な開発目標」(SDGs)がターゲットとしている「極度の貧困」の参照基準として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ラウントリー(Rowntree,B.S.)が貧困調査で使用した「第1次貧困」
2 経済協力開発機構(OECD)で使用される「相対的貧困率」
3 国連開発計画(UNDP)で使用される「人間開発指数」
4 世界銀行で使用される「国際貧困線」
5 タウンゼント(Townsend,P.)が貧困調査で使用した「相対的剥奪指標」

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
SDGsが比較的新しいものであることは、知っているはず。
選択肢をざっと読むと、いずれも貧困に関するものである。とはいえ、さすがにラウントリーの「第1次貧困」は、使っていないだろうと推測して、1は×だと判断する。
また、5のタウンゼントの相対的剝奪は、1970年代に提唱された考えであるし、「極度の貧困」の参照基準としてもおかしいと気づく。
さらに、「極度の貧困」の参照基準という観点からは、2の相対的貧困率もおかしいと気づける。
残る3,4のいずれが適切なのかと考えた場合、「極度の貧困」の参照基準としては、4の方が適切だと判断できる。
SDGsは、㊱問15、㉝問24などで出題されている。

問題 23 多文化共生社会の実現に向けた取組に関する次の記述のうち、最も適切な ものを1つ選びなさい。
1 「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、外国人に情報を伝えるときは、外来語(カタカナ語)を多く使用するよう示している。
2 「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」では、外国人材の都市部への居住を促すことを目指している。
3 多文化共生に取り組もうとする地方自治体への情報提供等のために、総務省は多文化共生アドバイザーの名簿を作成することとなっている。
4 災害時外国人支援情報コーディネーターは、外国語を母語とする者を充てることとされている。
5 「ヘイトスピーチ解消法」では、本邦外出身者も、日本文化の理解に努めなければならないと規定している。
(注)1「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」とは、出入国在留管理庁と文化庁が2020年(令和2年)8月に作成したガイドラインのことである。 2「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」とは、総務省が2006年(平成 18年)3月に策定し、2020年(和2年)9月に改訂したプランのことである。
3 「ヘイトスピーチ解消法」とは、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」のことである。

1は×である。
外来語(カタカナ語)の元になっている言語も多様であり、外来語(カタカナ語)を多く使用したからといって、外国人に情報が伝わりやすくなるとは限らない。
2は×である。
都市部だけでなく地方においても多文化共生の理念はあてはまる。
3は〇である。
4は×である。
日本に居住する外国人の国籍は多様である。外国語を母語とする者を当てたとしても、日本に居住するすべての外国人とのコミュニケーションが円滑に行える保障はない。
5は×である。
(注)を見ればわかるように、ヘイトスピーチ解消法は、日本人の本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消を目的としている。設問のような規定は倫理的には間違ってはいないかもしれないが、この法律に盛り込むような内容ではない。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問は、その場で考えれば解ける問題である。
多文化共生社会の実現を念頭に、各選択肢の内容がそれを実現するための機能を有しているかという観点から判断していけばよい。3を積極的に選ぶのは難しいかもしれないが、残りは不適切だと判断できるであろう。

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