問題 16 介護保険に関して市町村が有する権限について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 被保険者の保険料に関し、被保険者の収入について調査する。
2 住宅改修を行う者に対し、文書の提出を求める。
3 介護給付費•地域支援事業支援納付金の算定のために、医療保険者から報告を徴収する。
4 被保険者に対する老齢等年金給付の支給状況について、年金保険者に対し資料の提供を求める。
5 介護サービス情報について、指定居宅サービス事業者を調査する。
出題者の意図(ヒント)が見抜ければ、簡単に答えが出せる。
難易度A
例えば、1や2を眺めると市町村の権限としてあってもよさそうな気がする。3や4はどうか。即答できなければ、先に進んで5をみてみる。
そうすると
とあるのを見て、これは都道府県の権限ではないかということに気づく。
なぜなら、介護サービス情報の公表制度は都道府県の役割だからである(頻出事項であり、直近ではR元再-問10参照)。
このことに気づけば、他にも市町村の権限でないものが含まれているのではないかという発想が出てくる。
再度みると、3が「介護給付費•地域支援事業支援納付金の算定」となっており、これが社会保険診療報酬支払基金の権限に属することに気づけるのではないだろうか。
本年度の問4も参照して欲しい。
以上から、3と5が市町村の権限ではないと気づけば、消去法で答えが導ける。
なお、4であるが、介護保険料は年金から特別徴収されることを想起すれば、市町村が年金保険者に対し資料の提供を求める権限があってもおかしくはないだろうと感じられるはずである。
【正解1,2,4】
問題 17 被保険者の要介護認定を市町村が取り消すことができる場合として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 正当な理由なしに、介護給付等対象サービスの利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態の程度を増進させたとき。
2 要介護者に該当しなくなったと認めるとき。
3 正当な理由なしに、市町村による文書の提出の求めに応じないとき。
4 災害などの特別の事情がある場合を除き、1年間介護保険料を納付しないとき。
5 正当な理由なしに、職権による要介護状態区分の変更認定を行うための市町村による調査に応じないとき。
介護保険法31条を知っている人には簡単な問題だったであろう。もっとも知識が十分になかったとしても解ける余地はある。
難易度B 多くのテキストに触れられていると思うが、近時の問題に要介護認定の取り消しのみに焦点を当てたものがなかったことから難易度Bとした。
被保険者の要介護認定を市町村が取り消せる場合として、例えば不正に認定を受けたような場合が考えられる。選択肢には直接にそれに該当する肢はないが、近いものを探してみる。
1はすでに認定を受けている人が「指示に従わないことにより、要介護状態の程度を増進させたとき」とあるが、取り消すまでは行き過ぎだと感じられる。よって、1は×ぽいと判断するのが素直である。
なお、この場合、保険給付の制限を受ける場合がある(法64条)。
2は「要介護者に該当しなくなったと認めるとき」とあるが、この場合要介護認定は不要である。よって、市町村が取り消すことができると考えるのが素直である。2は〇である。
3は少し迷うかもしれないが、仮に提出するよう命じた文書が認定に係るものであったとしても、ただちに取り消すのではなく、市町村が調査を行えばよいともいえそうである。×ぽいが、自信がなければ△にして先に進む。
4はこの場合も取り消すまでの必要はないと感じる人が多いのではないだろうか。4の場合、取り消すことはできず、×となる。R元再-問1で出題されている。なお、保険給付の制限を受ける可能性はある。
5は調査にも応じないというのであるから取り消せる場合としてもよいであろう(肢3と比較して欲しい)。5は〇である。R元-問22、H24-問15で出題されている。
【正解2,5】
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
要介護認定を取り消すのはよっぽどのことである。選択肢の中からそのよっぽどの場合を見つければよい。
問題 18 介護認定審査会について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 審査及び判定の結果を申請者に通知する。
2 委員は、要介護者等の保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者のうちから任命される。
3 要介護認定の有効期間を定める。
4 必要があると認めるときは、主治の医師の意見を聴くことができる。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
頻出事項であり、確実に正解したい。
難易度A
1は市町村が行うことなので×である。H24-問14にズバリの肢がある。
2は〇である。基本的知識だが、近時の問題にはみあたらなかった。
3は×である。有効期間を定めるのは市町村である。R元-問23参照。
4は〇である。仮に知らなったとしても〇ぽいと感じる人が多いであろう。
5はもちろん〇である。これも知らなくても〇だと感じられる。
【正解2,4,5】
問題 19 要介護認定に係る主治医意見書について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 主治医意見書の項目には、社会生活への適応が含まれる。
2 主治医意見書の項目には、認知症の中核症状が含まれる。
3 主治医意見書の項目には、サービス利用による生活機能の維持 •改善の見通しが含まれる。
4 介護認定審査会に通知される。
5 要介護認定を受けようとする被保険者は、申請書に添付しなければならない。
ネットで検索して主治医意見書の様式を見てみるとよい。できれば実際のものをみれるとなお記憶に残りやすくなると思われる。
難易度B 頻出事項であるが、過去問にはなかった肢も含まれているので悩んだ人もいたと思われる。
1は×である。H27-問18参照。
2は〇である。H26-問13参照。
3は〇である。H27-問18に類似した肢がある。
4は〇である。H26-問16に類似した肢がある。
5は×である。H23-問16参照。
主治医意見書作成に時間がかかる場合もあり、申請書に添付しなければならないとすることは現実的ではない。
【正解2,3,4】
問題 20 指定居宅介誤支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条の具体的取扱方針のうち介護支援専門員に係るものとして正しいものはどれか。3つ選べ。
1 要介護認定を受けている利用者が要支援認定を受けたときは、指定介護予防支援事業者と当該利用者に係る必要な情報を提供する等の連携を図るものとする。
2 被保険者証に認定審査会意見の記載があるときは、利用者の理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
3 継続して居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付けるときは、貸与が必要な理由を記載しなくてもよい。
4 居宅サービス計画に地域ケア会議で定めた回数以上の訪問介護を位置付けるときは、それが必要な理由を居宅サービス計画に記載しなければならない。
5 利用者が通所リハビリテーションの利用を希望しているときは、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
基準13条は27号まであり、すべての肢について知識として有していた人は少なかったと思われる。
難易度C 普段の勉強に裏打ちされた常識的判断を駆使して解いて欲しい。
1は特に問題のない記述であり〇ぽい。
2も同様に特に問題はなさそうな記述である。
3は内容的におかしいと感じられるので×ぽい。
4は一応筋が通っていて判断に迷う肢である。
5も特に問題はなさそうである。
ここまでで、3の×は明らかだが、残る肢から正しいものを3つ選ぶのが難しい。自分の感覚を信じて解くしかない。
1は感覚的に〇だとしても、2,4,5から正しいものを2つ選ぶ必要がある。結論からいうと2は〇(基準第3号参照)、4は×、5は〇(基準第20号、過去問R元再-問23参照)である。
4であるが、地域ケア会議についてはH29-問3、問5、問21で問われているが、それらの問題を解くと地域ケア会議に肢4のような拘束力はないのではないかと感じられるであろう(※もっとも試験場でそこまで考えて判断することは難しいのが普通である)。
【正解1,2,5】