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38.福祉行財政と福祉計画(R2年-第23回)

問題42 都道府県の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者自立相談支援事業を行う。 2 老人福祉法に基づき,養護老人ホームへの入所措置を行う。 3 「障害者総合支援法」に基づき,介護給付費の支給決定を行う。 4 子ども•子育て支援法に基づき,市町村子ども•子育て支援事業計画を定めるに当たって参酌すべき標準を定める基本指針を策定する。 5 介護保険法に基づき,地域密着型サービス事業者の指定を行う。 (注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。   本問は、国、都道府県、市町村の役割分担をきくものである。具体的なサービスの提供、支給決定は市町村が行うことを理解していれば、ある程度肢を絞ることができたと思われる。 本問を難しくしているのは肢1である。肢1を市町村の役割だと考えた人は(一般論としては間違いではない)、すべての肢を読んだ段階で正解がないと焦ったのではないだろうか。   1は、〇である。生活困窮者自立相談支援事業の実施主体は「全国の福祉事務所設置自治体」である。都道府県も福祉事務所設置自治体となる場合がある。(子ども•子育て支援法60条2項2号)。 2は、×である。養護老人ホームへの入所措置は、市町村の役割である。 3は、×である。「障害者総合支援法」に基づく介護給付費の支給決定は市町村の役割である。 4であるが、市町村が子ども•子育て支援事業計画を定めるに当たり参酌すべき標準というのだから、それを定めるのは都道府県ではないかと思った人もいるであろう。しかし、参酌すべき標準を定める基本指針の作成はの役割なので、本肢は×である。 5は、×である。地域密着型サービス事業者の指定は市町村が行う。

【正解1】

  問題43 福祉の財源に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者家計改善支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。 2 生活保護法に基づき,保護費には国庫補助金が含まれる。 3 介護保険法に基づき,介護給付費には国庫負担金が含まれる。 4 身体障害者福祉法に基づき,身体障害者手帳の交付措置の費用には国庫補助金が含まれる。 5 「障害者総合支援法」に基づき,地域生活支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。   本問は知識がないと解くのが困難であろう。内容が細かく、説明文としてかなり迷うものがある。 肢3の介護給付に国庫負担が含まれていることは割とわかりやすいのではないだろうか。積極法で正解を選ぶのがよい。   1は、×である。生活困窮者自立支援法ではなく、生活困窮者就労準備支援事業費等補助金交付要綱に基づいて行われる。 2は、×である。生活保護法ではなく生活保護費補助金交付要綱(平成10年6月12日・厚生省発社援第177号)に基づいて行われる。 3は、〇である。介護保険の財源が保険料と公費で賄われており、公費の半分は国が負担しているという知識から推論しやすい。 4は、×である。身体障害者福祉法ではなく、身体障害者保護費国庫負担(補助)金交付要綱に基づいて行われる。 5は、×である。「障害者総合支援法」ではなく、地域生活支援事業費等補助金及び障害者総合支援事業費補助金交付要綱に基づいて行われる。

【正解3】

  問題44 次のうち,都道府県が設置しなければならないと法律に規定されている行政機関として,正しいものを1つ選びなさい。 1 発達障害者支援センター 2 基幹相談支援センター 3 地域包括支援センター 4 精神保健福祉センター 5 母子健康包括支援センター   知識がないと解くのは困難であろう。過去問および比較的ポピュラーな知識から判断し、消去法で解く。 類似した問題が㉚問45にある。判断するポイントは、①設置主体が都道府県か市町村か、②設置しなければならない(設置義務がある)かどうか、の2つである。   1は、×である。発達障害者支援センターの設置は義務ではない(発達障害者支援法14条1項)。 2は、×である。基幹相談支援センターを設置するのは市町村であり、設置は義務ではない(障害者総合支援法77条の2第2項)。 3は、×である。地域包括支援センターを設置するのは市町村であり、設置は法律上義務ではない(介護保険法115条の4第2項)。 4は、〇である。精神保健福祉センターは、都道府県が設置しなければならないと法律に規定されている(精神保健福祉法6条1項)。 5は、×である。母子健康包括支援センターを設置するのは市町村であり、設置は努力義務である(母子保健法22条1項)。

【正解4】

  問題45 次のうち,行政機関に配置が義務づけられている職種として,正しいものを1つ選びなさい。 1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員 2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司 3 婦人相談所の母子・父子自立支援員 4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員 5 児童相談所の児童福祉司   「〇〇相談所」に配置すべき職種は「〇〇福祉司」というイメージがある人も多かったのではないだろうか。 過去問学習を行っていた人にとっては、解きやすい問題である。㉙問45に類問がある。   1は、×である。身体障害者更生相談所に配置義務があるのは、身体障害者福祉司である。都道府県は、その設置する身体障害者更生相談所に、身体障害者福祉司を置かなければなら ない。(第11条の2第1項) 2は、×である。知的障害者福祉司が配置義務となっているのは、知的障害者更生相談所である。都道府県は、その設置する知的障害者更生相談所に、知的障害者福祉司を置かなければなら ない。(第13条第1項) 3は、×である。婦人相談所の職員配置については、婦人相談所等に関する政令(昭和32年政令第56号)第一条及び第二条に規定されているが、肢のような記載はない。 4は、×である。精神保健福祉センターは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第6条を根拠とする機関である。多くは、精神保健福祉相談員が配置されているが、配置義務とはなっていない。迷った人は△としておこう。 5は、〇である。児童相談所には、児童福祉司の配置が義務付けられている(児童福祉法13条1項)。

【正解5】

 
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 婦人相談所に関する政令 第二条(婦人相談所の職員) 婦人相談所には、判定をつかさどる職員、相談及び調査をつかさどる職員並びに婦人相談所のその他の業務を行うために必要な職員を置かなければならない。
  問題46  「令和2年版地方財政白書」(総務省)における地方財政の状況(普通会計)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 都道府県及び市町村の歳入純計決算額では,地方交付税の割合が最も大きい。 2 都道府県の目的別歳出では,土木費の割合が最も大きい。 3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。 4 都道府県の性質別歳出では,公債費の割合が最も大きい。 5 市町村の性質別歳出では,補助費等の割合が最も大きい。   本問は正解について知識がなかったとしても、消去法で解けた人が多かったと思われる。 問題を解くという観点からは、選択肢に掲げられているものの割合が最も大きいかどうかを判断できれば十分である(1位が何であるかは知らなくてもよいという意味で)。   1は、×である。最も大きいのは地方税である。 2は、×である。都道府県で最も大きな割合を占めていたのは教育費(次いで民生費)である。 3は、〇である。市町村の目的別歳出では民生費の割合が最も大きいのが通例である。 4は、×である。都道府県の性質別歳出で最も大きな割合を占めていたのは人件費である。 5は、×である。市町村の性質別歳出で最も大きな割合を占めていたのは扶助費である。

【正解3】

 
去年は実施できなかったが、直前対策講座のテキストには掲載していたテーマ論点である。 もちろん主要な参考書にも載っているであろう。「令和2年版地方財政白書」(総務省)からの出題であるが、白書を読めないとしてもwebで概況だけでも目を通しておくとよいのではないだろうか。 最も連続での出題はやや考えにくい。。。
  問題47 事例を読んで,介護保険事業計画に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事例〕 P県Q市の介護保険課に勤めるEさんは,次期Q市介護保険事業計画を策定するための担当者に任命されたので,法令上遵守すべき点を確認した。 1 介護保険事業計画を通して算定される介護保険料の伸び率を3%以内に抑えるため,介護サービス全体の見込量を勘案して,Q市の計画を策定するよう努めなければならない。 2 被保険者全体の意向を踏まえる必要があるので,20代の若者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 3 Q市の計画に盛り込む各年度における地域支援事業の量の見込みについては,P県に計画策定前に意見を聴かなければならない。 4 Q市の計画には,介護予防・日常生活支援総合事業に関する市町村相互間の連絡調整を行う事業に関する事項を盛り込まなければならない。 5 計画期間が終了後,Q市では市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を実施するよう努めなければならない。   やや細かい出題だと感じる。法律の規定を知らなければ推論して解くしかない。 記述の内容のどこかに正誤を判断するためのポイントになる部分がある。それは一読してわかる場合もあるが、選択肢を比較しているうちに気づくときもある。過去問演習が効果的である。   1は、×ぽい。「介護保険料の伸び率を3%以内に抑えるため」という目的で「Q市の計画を策定するよう努めなければならない」という内容に違和感がある。 2は、×である。被保険者でもない「20代の若者の意見を反映させるため」に必要な措置を講じるとの部分に違和感がある。 3は、地域支援事業の財源には都道府県の支出もあるので、内容的からすると十分にありえそうである。これが〇ぽいが、念のため残りの肢も確認する。 4は、×である。市の計画の中に「市町村相互間の連絡調整を行う事業」を盛り込まなければならないという部分に違和感がある。 ※なお、このような事業を盛り込むのは都道府県介護保険事業計画であり、盛り込むかどうかは努力義務となっている(介護保険法118条3項5号)。 5は、×である。実績に関する評価を実施するよう「努めなければならない」との部分に違和感がある。次期市町村介護保険事業計画の策定のためにも実績に関する評価の実施は義務ではないかと考えられるからである(介護保険法117条4項参照)。 ※こうした感覚のセンスは過去問学習で身に付くものである。

【正解3】

  問題48 厚生労働省が発表した「市町村地域福祉計画策定状況等調査結果(平成31年4月1日時点)」に示された「地域における高齢者の福祉,障害者の福祉,児童の福祉その他の福祉に関し,共通して取り組むべき事項」として,次の中で最も多くの計画に位置づけられている事項はどれか,正しいものを1つ選びなさい。 1 居住に課題を抱える者への横断的な支援の在り方 2 地域住民等が集う拠点の整備や既存施設等の活用 3 自殺対策の効果的な展開も視野に入れた支援の在り方 4 保健医療,福祉等の支援を必要とする犯罪をした者等への社会復帰支援の在り方 5 地域づくりにおける官民協働の促進や地域福祉への関心の喚起も視野に入れた寄附や共同募金等の取組の推進 (注) 「地域における高齢者の福祉,障害者の福祉,児童の福祉その他の福祉に関し,共通して取り組むべき事項」とは,社会福祉法第107条第1項第1号に掲げられている事項のことである。   本問は市町村地域福祉計画策定状況等調査結果を題材にした問題であるが、知識として有していた人は少数派だったと思われる。 この手の問題はその場で考えさせる問題だと思った方がよいであろう。もちろん地域福祉の理念や社会福祉法の概要などについて大まかな知識を有していることが前提であるが。   1は、×である。「居住に課題を抱える者」となっているが、列挙された対象に共通の事項という感じはしない。 2は、〇ぽい記述といえるが、とりあえず、△とする。一応すべての人が関わるものといえなくもないし、社会福祉法に規定されている内容として、十分に考えられるものである。 3は、×である。列挙された対象に共通していなくもないが、これが「最も多くの計画に位置づけられている事項」とはやや考えにくい。 4は、×である。列挙された対象から少し距離があるし、「最も多くの計画に位置づけられている事項」とは考えにくい。 5は、判断しづらい肢である。私自身はこの記述だけから判断することはできなかった。△として、最後に、判断を持ち越した両肢を比較して肢2 >肢 5 という判断をした。

【正解2】

 
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 問題文((注)も含む)をざっと読んで、どこかにヒントがないかと考える。 すると本問では、地域における高齢者、障害者、児童、その他の福祉に関して共通して取り組むべき事項に関して、「最も多くの計画に位置づけられている事項」を問うものであることに気付く。 その「共通して取り組むべき事項」は社会福祉法第107条第1項第1号に掲げられている。 こうしたヒントをもとに各肢を順に検討してみると、正解率を向上させることができる。

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