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36.地域福祉の理論と方法(R元年-第22回)1/2

問題32 日本の地域福祉の歴史に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。 1 隣保館は. 日露戦争を契機として国による一元的な管理体制に移行した。 2 中央慈善協会は, 全国の主要な都市で展開されていたセツルメント運動の組織化を図ることを目的として設立された。 3 共同募金会は, 関東大震災によって被災した人々を援助するために政府の呼び掛けによって設立された。 4 方面委員制度は, 岡山県で発足した済世顧問制度を始まりとし, 後に方面委員令により全国的な制度として普及した。 5 市町村社会福祉協議会は, 戦後間もなく, 社会福祉事業法の制定時に法制化された。   個々にわからない記述があっても、どんどん選択肢を読みながら正解を探す。 1や3のようによくわからない肢もあるが、積極法で4を選びたい。 1のような話は聞いたことがない。おそらく×であろうが、自信がなければ△にして次に行く。2のような話も聞いたことがない。×ぽい。3は知らないと判断に迷う。△にして次に進む。4は、どうか。方面委員制度のルーツが岡山県の済世顧問制度にあり、後の方面委員令により全国的な制度として普及したことは基本的な知識といってよいであろう。これが〇である。5は、市町村社会福祉協議会の法制化はもっと後の話なので×。これも基本的知識に属する。

【正解4】

問題33 地域福祉における住民の参加を促進する仕組みや制度に関する次の記述のうち, 適切なものを1つ選びなさい。 1 1960年代に徳島県社会福祉協議会等に設置された善意銀行は, 住民が支援を必要とする個人・団体に対して労力・技術・金品等を提供した場合に. 銀行が費用を助成する仕組みである。 2 1970年代に開始された学童•生徒のボランティア活動普及事業は, 学童•生徒のボランティア活動の促進を目的として, 全国全ての公立小・中学校に助成を行う事業である。 3 1980年代以降全国に広がった住民参加型在宅福祉サービスは. 有償性・非営利性・会員制を主な特徴とし, 地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供する活動である。 4 1990年代に全国で実施されたふれあいのまちづくり事業は, 障害者等の社会参加を保障することを目的として, 市町村が公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するための事業である。 5 2000年代に道路運送法の改正により法制化された福祉有償運送は, 社会福祉施設が所有する福祉車両を要援護者等に有償で貸し出す仕組みである。   前の問題と同様に個々にわからない記述があっても、どんどん肢を読みながら正解を探す。 本問は2か3で答えが割れたと思われる。積極法で3を選ぶか、2が×だと感じた人は消去法で3を選べばよい。  1は、1960年代(福祉六法が整った時代)の内容としては画期的過ぎないだろうか(時代の先を行き過ぎている感がある)。×ぽい。2は、知らないと判断しづらい。3の1980年代に住民参加型在宅福祉サービスが全国に拡大したとの部分は過去問にも関連した記述があったように思う。その特徴として「有償性・非営利性・会員制」があり、活動内容が地域で支援を必要とする人々に対して家事援助・外出支援等のサービスを提供するものとの記述にも問題がない。〇ぽいが、残りの肢も読む。4は、ふれあいのまちづくり事業という名称と障害者等の社会参加を保障する目的、市町村によるバリアフリー化の促進が噛み合わない感じがする。×ぽい。3のような事業が2000年代に設けられていたとしても不思議ではないが、「社会福祉施設が所有する福祉車両を有償で貸し出す」という部分がひっかかる。このような内容を法で定めてもいいのだろうかという疑問が湧くからである。×ぽい。

【正解3】

問題34 事例を読んで, B福祉活動専門員がC民生委員に提案することとして, 最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事例〕 社会福祉協議会のB福祉活動専門員に, C民生委員から. 担当地域で80代の父親と, ひきこもりがちと思われる50代の息子が暮らす世帯があるが. どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く,息子は就労しているかどうか分からない状態であり, 訪問した際には息子から,「困っていることはない」というドア越しの応対のみで, 父親にも会うことができなかったという。 1 親子どちらも支援を求めていないため, C民生委員は世帯への関わりを控える。 2 世帯の状況を把握するために, C民生委員と一緒に自宅を訪問する。 3 C民生委員は父親の問題に焦点を当て, 息子には関わらない。 4 C民生委員が中心となって, ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。 5 複合的な課題を抱えた世帯の問題は, 生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。   各々専門職の業務内容を問うものではなく、おかしいものを消去し、最後により適切なものを選択するという問題である。 1のような消極的な姿勢は、本試験ではほぼ×であると考えてよい。2はよさそうな内容である。3は多くの人が×だと感じるだろう。4は、一応よさそうな内容である。5のように他の機関に任せるという対応は、本試験ではほぼ×であると考えてよい。迷としたら2か4のいずれかだが、本問では「最も適切なもの」を1つ選ばないといけない。事例の内容から考えて、2のほうが適切だと判断できる。

【正解2】

問題35 ボランティア活動について各法律で規定されている事項に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 災害対策基本法では, ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割が重要であることから, 国及び地方公共団体は, その自主性を尊重しつつ, ボランティアとの連携に努めなければならないとされている。 2社会福祉法では, 市町村社会福祉協議会が, ボランティアコーデイネーターを配置しなければならないとされている。 3 学校教育法では, 全ての小中学校でボランティア活動など社会奉仕体験活動を実施しなければならないとされている。 4特定非営利活動促進法では, 特定非営利活動法人の役員は, 無償のボランティアでなければ就任できないとされている。 5社会福祉法では, 災害救助法が適用される災害が発生した場合,都道府県共同募金会は, 当該都道府県の区域内に限って災害ボランティアセンターの経費に準備金を拠出しなければならないとされている。   ここに出てくる法律の全てを知っている人はいないであろう。従って、文章自体から正誤を判断しなければならない。 1は、内容に大きな問題はない。災害対策基本法でこのような内容を定めることも十分に考えられる。○ぽい。2は知識がないと判断しづらいが、社会福祉法で市町村社協にボランティアコーデイネーターの配置を義務付けることには少し違和感がある。△。3は、「全ての小中学校で」という部分がひっかかる。△。4は、特定非営利活動法人であっても、無償のボランティアでなければその役員に就任できないという規定には少し違和感がある。誰もやりたがらなくなってしまう可能性もある。×ぽい。5は、内容的には悪くない。しかし、このような規定が社会福祉法に実在するなら、普通に勉強していればどこかで見ているはずであろう。このような話は聞いたことがなく、×ぽい。迷うとしたら1か2であろうか。私なら無難な内容の1を選ぶ。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 今一度、社会福祉士試験全体に通じる正誤判断の特徴となる表現を確認しよう。 断定的、限定的な表現は間違いであることが多い。これは、非審判的態度の原則とも関連するであろう。 逆に正解であることが多い表現は、~であることもある~の場合もある連携する話し合う、等である。 また、単語として注目すべきものは、尊厳傾聴共感安心生活背景などが入っている選択肢は正解の可能性が高いと言えます。

【正解1】

問題36社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。 1 地域住民等は, 地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。 2 市町村は, 市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。 3都道府県は, 福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し. 支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。 4社会福祉を目的とする事業を経営する者は, 地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。 5 国及び地方公共団体は. 地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。   ざっと読んで、よさそうなものを絞っていく。 1は、地域住民等に選択肢のような努力義務を課すことには違和感がある。×ぽい。2であるが一体的に作成することが法律で義務付けられているのは、老人福祉計画と介護保険事業計画のみである。×である。福祉行財政と福祉計画の基本知識3は、都道府県というよりは市町村が留意すべき事柄であろう。×ぽい。4は、助言はよいとしても、「指導」には違和感がある。×ぽい。5は、大雑把ではあるが内容的には問題ない。自信がなければ、5を選ぶのが無難であろう。

【正解5】

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