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35.現代社会と福祉(R2年-第33回)2/2

問題27 各国の社会福祉や社会保障の現状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 アメリカの公的医療保障制度には,低所得者向けのメディケアがある。 2 スウェーデンの社会サービス法では,住民が必要な援助を受けられるよう,コミューンが最終責任を負うこととなっている。 3 ドイツの社会福祉制度は,公的サービスが民間サービスに優先する補完性の原則に基づいている。 4 中国の計画出産政策は,一組の夫婦につき子は一人までとする原則が維持されている。 5 韓国の高齢者の介護保障(長期療養保障)制度は,原則として税方式で運用されている。   知識がないと解くのは難しい問題だと思われる。 細かい肢やきちんと読まないとうっかり選んでしまう肢がある。焦らず読み込もう。   1は、×である。説明文はメディケアではなく メディケイドである。 ちなみに、メディケアは高齢者および障害者向けの公的医療保険制度である。 2は、〇であるが、自信がなければ次に進む。 コミューンとは、日本の市にあたる(県にあたるのはランスティング)。日本の介護保険を念頭におけば、このようなこともあながち間違いとはいえないと考えられないだろうか。 3は、補完性の原則の説明部分である「公的サービスが民間サービスに優先する」の部分が間違っている。 4であるが、今の中国は一人っ子政策を取っていない。2016年から二人っ子政策が採用されているが、それも廃止が検討されている。 5は、×である。韓国が介護保険を導入したのは割とポピュラーな知識ではないだろうか。「原則として税方式で運用されている」の部分が間違っている。

【正解2】

 
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 補完性の原則(Subsidiarity)は、基本的には個人や小規模グループのできないことだけを政府がカバーするという考え方である。ドイツが補完性の原則を採用している。
  問題28 日本における男女共同参画に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 男女共同参画社会基本法は,男女が様々な活動に参加できるよう,性別役割分担の強化に努めなければならないとしている。 2 男女共同参画社会基本法は,男女が性別による差別的扱いを受けることを防止するため,行政機関や事業主に対する罰則を規定している。 3 男女共同参画社会基本法は,都道府県が都道府県男女共同参画計画を定めるように努めなければならないとしている。 4 2018年(平成30年)7月時点で,国家公務員の本省係長相当職以上の職員に占める女性の割合は3割に達していない。 5 「ジェンダー・ギャップ指数2020」における153か国の総合スコアでは,日本はジェンダー平等が進んでいる方から数えて上位50位以内に入っている。 (注)「ジェンダー・ギャップ指数2020」とは,世界経済フォーラムが2019年12月に報告書「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2020」において発表した,経済・政治・教育・健康の4分野における各国のジェンダー平等度を示す指数のことである。   迷うものもあるかもしれないが、消去法で選ぶのが無難である。 受験生は、日本においてジェンダー平等が遅れていることを認識しておく必要がある。   1は、×である。男女が様々な活動に参加できるようにするには「性別役割分担の強化」をしてはだめであろう。 2は、×である。このような基本法において行政機関や事業主(特に前者)に罰則を設けることなんてあるの?と感じて欲しい。もちろん同基本法には罰則はない。 3は、×である。男女共同参画社会基本法なのに、都道府県が男女共同参画計画を作るのが努力義務でよいのかという感覚を持ってほしい。もちろん同法において都道府県男女共同参画計画の策定は義務である。 4は、知らないと悩むかもしれない。日本で女性の社会進出が遅れているのは有名な話ではないだろうか。〇ぽいと感じるが、自信がなければ△に次に進む。 5は、×である。日本はジェンダー平等が遅れている。上位50位以内位に入っているだろうと思うかもしれないが、「ジェンダー・ギャップ指数2020」では122位という結果に終わっている。153か国の中で50以内といえば上位から1/3に入っているということであり、比較的ジェンダー平等が進んでいる国でないとそこには入れない。

【正解4】

  問題29  「政策評価法」に基づく行政機関の政策評価に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 政策評価の実施に当たり,利害関係者の參加を義務づけている。 2 政策評価の基準として,必要性よりも効率性が重視される。 3 政策評価の方法は,自己評価,利用者評価,プロセス評価により行われる。 4 政策評価の対象となる行政機関は,地方公共団体である。 5 政策評価の目的は,効果的・効率的な行政の推進及び国民への説明責任を全うされるようにすることである。 (注) 「政策評価法」とは,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」のことである。   政策評価法をきちんと読んでいる受験生は少なかったと思われる。 (注)に法律の内容について簡単な説明があるので、それもヒントに考えながら解いていけばよい。   1は、×である。利害関係者を参加させると政策評価が公平に行われないという意識をもてるかどうかである。 2×である。効率性よりも必要性を重視すべきなのは言うまでもない。どんなに効率性がよくても必要性がなければ無駄な政策といえるからである。 3は、悩む。何となくよさそうな気もするが、国や地方自治体レベルで政策であれば、第三者による評価が必要な気もするし、完全な利用者評価などできるのかという疑問も湧く。自信がなければ△にして次に進むのが得策であろう。 4は、政策評価の対象となる行政機関を地方公共団体に限っているが、国の政策についても評価の対象になると考えるのが素直である。よって、4は×ぽい。 ※ここで(注)が政策評価法について、わざわざ「行政機関が行う政策の評価…」と書いていることがヒントといえなくもない。 5は、目的が「効果的・効率的な行政の推進」と「国民への説明責任を全うされるようにすること」となっているが、いずれも全うな内容である。

【正解5】

  問題30 日本における住宅政策や居住支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 「住宅セーフティネット法」では,民間賃貸住宅を賃貸する事業者に対し,住宅確保要配慮者の円滑な入居の促進のための施策に協力するよう努めなければならないとされている。 2 公営住宅の入居基準では,自治体が収入(所得)制限を付してはならないとされている。 3 住生活基本法では,国及び都道府県は住宅建設計画を策定することとされている。 4 住宅困窮者が,居住の権利を求めて管理されていない空き家を占拠することは,違法ではないとされている。 5 日本が批准した「国際人権規約(社会権規約)」にいう「相当な生活水準の権利」では, 住居は対象外とされている。 (注) 1「住宅セーフティネット法」とは,「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」のことである。 2 「国際人権規約(社会権規約)」とは,国際人権規約における「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」のことである。   住宅政策に関する問題は数年置きに出題されるが、難しい問題と比較的解きやすい問題にわかれる。 本問は2つの選択肢までは絞りやすいが、そこから1つに絞る段階で迷う。この分野の法律は受験生にとってはマイナーなものが多く、あまり深入りしない方がよいのではないだろうか。   1は、民間事業者であれば努力義務に留めるのが通常であろうと考えらえるので、〇ぽいまたは△として、次に進む。 2は、×である。収入(所得)制限を設けている自治体は多数ある。仮にそのことを知らなくても、常識的に考えて収入(所得)制限を禁止するのは不合理ではないかと思えれば十分である。 3は、住生活基本法と住宅建設計画について知らないと判断しづらい。住生活基本法で定めるのは住生活基本計画であって住宅建設計画ではないので、結論からいうと×となる。 4は、法治国家の日本において、そんなことが許されるはずがないと思って欲しい。もちろん×である。 5は、×である。知識がないと自信をもって判断できないものの、「国際人権規約(社会権規約)」であれば、そこにいう「相当な生活水準の権利」には住宅も含まれていると考えるのが素直であろう。衣食住というくらい住宅は大切な生活の要素だからである。

【正解1】

  問題31 次のうち,働き方改革とも関連する「労働施策総合推進法」の内容の説明として,適切なものを2つ選びなさい。 1 国は,日本人の雇用確保のため不法に就労する外国人への取締りを強化しなければならない。 2 国は,子を養育する者が離職して家庭生活に専念することを支援する施策を充実しなければならない。 3 事業主は,職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう,必要な措置を講じなければならない。 4 国は,労働者が生活に必要な給与を確保できるよう労働時間の延長を容易にする施策を充実しなければならない。 5 事業主は,事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について,求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うよう努めなければならない。 (注) 「労働施策総合推進法」とは,「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(旧雇用対策法)のことである。   問われているのは、働き方改革とも関連する「労働施策総合推進法」の内容である。(問題文の(注)も参照して欲しい)。 本問にはいくつか地雷(トラップ)がしかけられている。焦らず、取り組もう!   1は、働き方改革とは関連しないと思われるので×ぽい。 2は、設問の条件に合致していないので×ぽい。子育てを支援する職場環境の整備なら適切だが、「子を養育する者が離職して家庭生活に専念する」のを支援することは働き方改革とは関係ない場面だといえる。 3は、少し迷うが、例えば残業を拒否したり、有休を消化しようとする従業員に対して上司がパワハラを行うような場面を想定すると、〇としてよさそうな内容といえる。 4は、×である。労働時間の短縮ならわかるが「延長」は働き方改革とは噛み合わないであろう。 5は、「事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者」に対する支援は、働き方改革とはあまり関係がないようにも思える。しかし、内容そのものは極めて適切である。 もし本問が1つだけ選ばせる問題なら戸惑うだろうが、本問は適切なものを「2つ」選ぶ問題である。

【正解3,5】

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