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3.社会学と社会システム(R7年2月-第37回)

問題 13 社会集団などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 大衆とは、利害関心に基づき意図的に選択された集団のことである。
2 外集団とは、そこに属していながら、帰属感や愛着心をもてない集団のことである。
3 アソシエーションとは、特定の目的を達成するための集団のことである。
4 ゲゼルシャフトとは、伝統的な地縁、血縁、友愛などによって形成された集団のことである。
5 準拠集団とは、敵意を持ち嫌悪や軽蔑の対象となる集団のことである。

1は×である。
機能集団についての説明だと思われる。問題を解く上では、大衆の説明として不適切だと破断できれば十分である。
2は×である。
内集団は、個人が自らをそれと同一視し、所属感を抱いている集団で、それに対して外集団は、「他者」と感じられる集団で、競争心、対立感、敵意などの差し向けられる対象である。㊱問20肢5参照。
3は〇である。
㊱問10参照。
4は×である。
ゲマインシャフトについての説明になっている。㉝問16参照。
5は×である。
準拠集団(reference group) は、人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団を意味し、具体例は家族、地域、学校、職場などがある。㉝問17参照。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
多くの用語が近年の過去問で出題されており、いずれも基本的なものばかりである。確実に正解したいところ。

問題 14 都市に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 サムナー(Sumner,W.G.)は、都市に特徴的な生活様式をアーバニズムとした。
2 ジンメル(Simmel,G.)は、都市では多様な下位文化が形成されるとした。
3 フィッシャー(Fischer,C.)は、都市を人間生態学的に分析した。
4 倉沢進は、都市は同心円状的に形成されるとした。
5 鈴木太郎は、都市は結節機関を持つ聚落社会であるとした。

1は×である。
ワースのアーバニズム論である。㉝問16肢2参照。
2は×である。
フィッシャーの下位文化理論である。㉝問16肢3参照。ジンメルは、都市生活の心理的基礎が神経の高揚にあるとした。
3は×である。
上記2の説明参照。都市を人間生態学的に分析したのはパークのことではないかと思われる。
4は×である。
パークとバージェスの同心円地帯理論である。㉝問16肢4参照。
5は〇である。

正解5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
都市社会学のワース、フィッシャー、バージェスについては、過去問でも登場しているが、サムナー、倉沢進、鈴木太郎は初めての出題だと思われる。
ワース、フィッシャー、バージェスについての知識があれば、消去法により解くことが可能である。

問題 15 「過疎関連法」及び「令和4年度版 過疎対策の現況」(総務省)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の産業別就業人口割合は、第一次産業就業者数が5割を超えている。
2 2020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の人口は、全人口の2割に満たない。
3 2023年(令和5年)4月1日時点の過疎地域の市町村数は、全市町村数の4割に満たない。
4 2020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の高齢化率は、全国平均よりも低い。
5 過疎地域とは、人口減少率によって定義されてきた。
(注)「過疎関連法」とは、現行の「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に至る一連の過疎関連の法律である。

1は×である。
過疎地域の第一次産業就業者数は、44.1%だった。
2は〇である。
過疎地域の人口は、1,167 万人であり、総人口(1 億 2,615 万人)に占める割合は 9.3%だった。
3は×である。
過疎地域の市町村数は、全市町村数の51.5%となっている。
4は×である。
過疎地域の高齢化率は、調査時点で、調査対象となった集落の約9割でわが国全体の高齢化率(28.4%)を上回り、約3割で50%以上となっている。「過疎地域」とは、「過疎地域持続的発展の支援に関する特別措置法」において、「人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域」と規定されている。具体的には、法で定める特定の期間の「人口要件」と「財政力要件」に該当する市町村の区域をいう。人口減少率によって定義されてきたわけではない。
5は×である。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
この問題は、知識がないと解くのが難しかったと思われる。4は常識的におかしいと気付けるし、5も間違いだと判断しやすい。
しかし、残る1,2,3の正誤については、判断に迷う。

問題 16 次の記述のうち、2022(令和4)年の国民生活基礎調査の結果(「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省))についての説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。
2 現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は、50%を超えている。
3 相対的貧困率は20%を超えた。
4 子ども(17歳以下)の相対的困率は25%を超えた。
5 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は、90%を超えている。

1は×である。
1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」が545万7千円となっている。
2は〇である。
「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)が51.3%となっている。 3は×である。
相対的貧困率は、15.4%となっている。
4は×である。
子どもの貧困率(17 歳以下)は 11.5%となっている。
5は×である。
高齢者世帯では「公的年金・恩給」が62.8%、「稼働所得」が 25.2%となっている。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
問題15よりは易しいが、それでも正解を絞りづらい問題である。
1の「300万円」は少なすぎると判断できる。2はあり得るが、知らないと迷うであろう。3の20%超はやや多い気がするが、少し判断に迷う。4の25%超は多すぎると判断できるのではないだろうか。
5であるが、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯は、65歳以上から(中には60歳の人もいる)ということを念頭に置いて考える必要がある。そうすれば、5は誤りだと判断しやすい。

問題 17 差別や偏見に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 ゴッフマン(Goffman,E.)は、主に身体に付随し、それが他者にとっての偏見を呼び起こす「印」として機能するものをスティグマと呼んだ。
2 オルポート (Allport,G.)は、民族的偏見を「誤った、柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義づけた。
3 リップマン(Lippmann,W.)は、人々の知覚や認識を単純化して理解することをダブル・コンティンジェンシーと呼んだ。
4 コールマン(Coleman、J.)は、政治・経済・軍事などの分野のトップが社会の権力を握るとするパワーエリート論を展開した。
5 ミルズ(Mills,C.)は、一次的逸脱と二次的逸脱という概念を用いて、逸脱的アイデンティティが形成されるメカニズムを説明した。

1は〇である。
㉞問21でも出されており、確実に選びたい。
2は〇である。
オルポートは、㉜問9肢3に登場しているが、業績を押さえていた人は少なかったのではないだろうか。オルポートは、人間の社会的態度や同調行動の研究方法を確立した。
3は×である。
ダブル・コンティンジェンシーは、二人の人間の相互行為において、お互いの行為が相手の出方に依存していることを意味する用語である。提唱者はパーソンズ,Tである。正確に覚えていなくても、「人々の知覚や認識を単純化して理解すること」ではないと判断できればよい。
4は×である。
パワーエリート論を唱えたのは、5のミルズである。コールマンは、教育社会学、公共政策などを研究し、ソーシャル・キャピタルという語を初めて用いた人物の一人である。
5は×である。
説明は、ルマート,Eの考えを指していると思われる。

正解1,2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
1は基本的知識であり、確実に選びたい。問題は、もう一つの適切なものはどれかである。
2のオルポートの業績は知らない人の方が多かったであろう。3は、リップマンのことを知らなくても、ダブル・コンティンジェンシーの説明がおかしいことには気づける。
4と5も近年では出題されていなかった人物であるが、4のパワーエリート論がミルズの業績だと知っていた人は、交差法で4と5が誤りと判断できる。
以上から、2から5の選択肢の中で消去法を用いて、2を選ぶ。

問題 18 災害時におけるレジリエンスの意味として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 災害の発生から復旧・復興に加え、次の災害に備えていくための諸活動を一つのサイクルとして捉えることである。
2 支援ニーズに対して支援者側から積極的に働きかけて情報や支援を提供することである。
3 被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことである。
4 予期しない出来事に遭遇した際に、事態が悪化しているにもかかわらず楽観的な見方を維持する態度のことである。
5 大規模災害の後に一時的な現象として発生する理想郷的コミュニティのことである。

1は×である。
災害発生後の一連の活動を一つのサイクルとして捉えるものであり、災害時におけるレジリエンスとは少し異なる。2は支援者側からの積極的なかかわりに焦点があたっており、これも不適切と判断できる。
2は×である。
3は〇である。
被災地が回復する力に焦点を当てており、災害におけるレジリエンスの意味として適切だと判断できる。
4は×である。
災害時における一つの対処法かもしれないが、回復する力とは異なる。
5は×である。
回復する力とは異なる。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
レジリエンスは、回復する力、復元力である。この核となるイメージを基にして、選択肢の中から「災害時におけるレジリエンス」の意味として最も適切ものを選ぶ。
レジリエンスは、心理学の問題10でも出題されている。そこでも記したが、社会福祉士試験では初登場だと思われる。精神保健福祉士では頻出の問題であり、社会福祉士の参考書にも記されていたと思われる。

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