問題61 措置入院に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健指定医の権限で入院を決定する。
2 「精神保健福祉法」により、国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
3 病院の管理者は、本人へ入院に関する告知を行う義務がある。
4 定期病状報告は市町村長に対して行う。
5 病院の管理者が措置の解除を行う。
(注) 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
各肢の解説に書た視点から条文の持つ意味を確認すれば記憶に残りやすい。
確認しておいて欲しい条文は、精神保健福祉法29条から29条の6まで
1は、×である。入院を決定するのは都道府県知事(又は政令指定都市の長)である。
2は、〇であるが、自信が泣ければ△にして次に進む。本肢は、措置入院が可能な病院には制限があることを示している。(※同意など無関係に措置で入院させるのだから、入院先も一定の水準以上のところである必要があると考えられる)。
3は、×である。決しておかしな内容ではないが、措置権者が都道府県知事又は政令指定都市の長であるのだから、それらの者が本人へ入院に関する告知を行う義務があると考えるのが素直だ。自信がなければ△にして次に進む。
4は、×である。先に書いたように入院を決定するのは都道府県知事である。従って、定期病状報告も決定権者にすると考えるのが素直だ。
5は、×である。実際上の必要性の有無は、病院の管理者が判断しているかもしれないが、あくまでも、決定権者は都道府県知事である。従って、措置の解除をするのも都道府県知事だと推測することは容易である。
【正解2】
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問題62 「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
2 検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
3 通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
4 地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
5 入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
自信のあるものから判断していく。知識が十分でなくても、正解できる問題である。
1は、×である。処遇を決定するための審判は、地方裁判所の裁判官1名と精神保健審判員と呼ばれる精神科医1名(鑑定医とは別の医師)の合議体で行われる。精神保健審判員が生活環境調査を実施すると、公平な審判は難しくなる。従って、
生活環境調査は社会復帰調整官が行うことになっている。
仮に、正確に覚えていなくても「〇〇審判員」という審判をする側の者が、自ら審判の判断材料となる生活環境調査を行うのはおかしいのではなないかと考えれば、×と判断できる。2は、×である。合議体を形成するのは、地方裁判所の裁判官である。
3は、〇である。
4は、×である。普通に考えて、地方裁判所が処遇の実施計画を作成するのは難しいと思う。5は、×である。入院を決定するのが裁判所であるなら、退院の決定も裁判所と考えるのが素直である。仮に、知らなかったとしても、保護観察所が単独で判断するものではないだろうという推測はできるハズ。
【正解3】
問題63 発達障害者支援センターに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 子ども・若者育成支援推進法に規定された機関である。
2 発達障害についての研修を行う。
3 特別支援教育コーディネーターの配置が義務づけられている。
4 設置主体は市町村である。
5 利用には障害支援区分の認定を受ける必要がある。
発達障害者支援センターが発達障害についての研修を行うことは、発達障害者支援法14条1項3号に規定されている。
ただ、規定を知らなかったとしても、発達障害者支援センターがどのようなものかを大まかにイメージできれば、本問では正解を導くことができる。
1は、×である。発達障害者支援法が存在することは受験生なら知っておくべきである。仮に知らなくても子ども・若者育成支援推進法はもっと一般的なニーズに対応するものだろうと推測して欲しい。
2は、〇である。発達障害者支援センターという名称から考えて、発達障害についての研修を行うことに違和感はない。
3は、知らないと悩むかもしれない。特別支援教育コーディネーターが配置されるべきなのは教育機関である。×である。
4は、×である。設置主体は都道府県である(発達障害者支援法14条)。
5は、×である。発達障害者支援センターは相談に応じるところであり、それを利用するのに障害支援区分の認定を受ける必要はない。
他の分野で例えるなら、地域包括支援センターを利用するのに要介護(要支援)認定を受けなければならないと言っているようなものである。
【正解2】
ソーシャルワンカーからの伝言ワン
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問題64 精神障害者への経済的な支援に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 初診日が20歳未満である精神障害者は、特別障害給付金が支給される。
2 雇用保険における求職者給付の基本手当の申請窓口は、労働基準監督署である。
3 精神障害者は、特別障害者手当の支給対象より除外される。
4 生活困窮者住居確保給付金は、賃貸住宅の入居契約のための敷金、礼金を基準として支給される。
5 精神障害者保健福祉手帳所持者のうち、障害等級2級の者は所得税の障害者控除の対象である。
特別障害給付金については、今回の過去問学習で覚えてしまおう!
1は、×である。本肢については、特別障害給付金についての理解がないと判断するのが難しい。わからなければ△にして次に進む。
2は、×である。窓口は公共職業安定所(ハローワーク)である。
3は、×である。精神障害者も特別障害者手当の支給対象である。
4は、×である。基準とするのは家賃である。仮に知らなくても「入居契約のための敷金、礼金を基準」とするのはおかしいと感じて欲しい。
5は、〇である。なお、精神障害者保健福祉手帳所持者のうち障害等級が1級と記載されている人は特別障害者となる。
【正解5】
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特別障害給付金は、国民年金に任意加入できる期間に、任意加入しなかったことにより、障害基礎年金を受給していない障害者に給付されるものである。
今では20歳以上であれば、国民年金に加入しないといけないが、かつては学生の間は任意加入とされている期間があった。
そのため、任意加入期間に障害者となった場合には年金を受給できなくなるという問題が生じた。
特別障害給付金はそうした問題を解消するために作られたものであり、対象となるのは次の2つに該当するもの。
①平成3年3月以前に国民年金の任意加入対象者であった学生(夜間部、定時制、通信制を除く)
②昭和61年3月以前に、国民年金任意加入対象者であった厚生年金や共済組合などの加入者の配偶者で、任意加入していなかった期間内に初診日があり、障害の程度が障害基礎年金の1、2級に該当する者である。
※初診日が20歳未満である精神障害者は、障害基礎年金の対象となりうる。
問題65 次のうち、保健所の精神保健福祉業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神障害者保健福祉手帳の交付決定
2 日常生活自立支援事業の事務
3 医療保護入院者の入院届の受理
4 障害支援区分の認定調査の実施
5 地方精神保健福祉審議会の設置
肢の中には、メジャーな知識でないものも含まれているが、消去法で答えを導くことが可能な問題である。
1は、×である。手帳の交付決定は都道府県が行う。
2は、×である。日常生活自立支援事業の事務は社会福祉協議会が行う。
3は、知らないと悩むであろうが、これが〇である。
精神科病院の管理者は、第1項、第3項又は第4項後段の規定による措置(=医療保護入院)を採つたときは、10日以内に、その者の症状その他厚生労働省令で定める事項を当該入院について同意をした者の同意書を添え、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない(精神保健福祉法33条7項)。
4は、×である。障害支援区分認定調査の実施は認定調査員が行う。
5は、×である。地方精神保健福祉審議会の設置は都道府県が行う(法9条1項)。
【正解3】
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障害支援区分認定調査の実施は、市町村職員又は市町村から委託を受けた. 指定一般相談支援事業者の相談支援専門員等であって、都道府県が行う障害支援区. 分認定調査員研修を修了した者が行うとされている。
問題66 アルコホーリクス・アノニマス(AA)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 アルコール依存症者の家族を対象としたグループである。
2 アルコール依存症者の就労支援を目的としたプログラムである。
3 組織の運営は専門職の関与を前提とする。
4 12のステップを採用している。
5 実名での参加を原則とする。
アルコホーリクス・アノニマス(AA)の基礎知識があれば、積極法・消去法のどちらでも正解できる。
1は、×である。AAは家族ではなく患者自身を対象としている。
2は、×である。AAは就労支援を目的としたものではない。
3は、×である。専門職の関与は前提としていない。
4は、〇である。知らなければ△にして次に進む。
5は、×である。匿名での参加を原則とする。
【正解4】
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アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)は、1935年にアメリカ合衆国でビル・ウィルソンとボブ・スミスの出会いから始まり、世界に広がった飲酒問題を解決したいと願うセルフヘルプグループで、直訳すると「匿名のアルコール依存症者たち」の意味である。※略して AA と呼ばれる。