問題 147 更生保護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 更生保護には,犯罪予防の活動の促進が含まれる。
2 更生保護には,再犯・再非行の防止は含まれない。
3 更生保護の処遇は,矯正施設における施設内処遇を主とする。
4 更生保護制度の基本となる法律は監獄法である。
5 更生保護行政をつかさどる国の機関は,厚生労働省である。
更生保護は、予防の活動の促進も含まれています。更生という漢字の意味から外れているので気を付けましょう。
1:正しい
2:更生保護には、再犯を防ぎ、非行をなくすこと(=犯罪予防の活動の促進)が含まれる。
3:更生保護の処遇は,社会の中で適切に処遇することです。
4:更生保護制度の基本となる法律は、言うまでもなく更正保護法です。
5:更生保護行政をつかさどる国の機関は,法務省です。
【正解1】
問題 148 少年院に収容中の者に対する生活環境の調整に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仮退院決定後,速やかに開始する。
2 裁判所の発する令状をもって開始する。
3 調整すべき事項に借金返済のための金品の給与が含まれる。
4 少年院の法務技官によって行われる。
5 調整すべき事項に釈放後の就業先や通学先の確保が含まれる。
選択肢を比較しながら、積極法または消去法で5を選んだ人が多かったと思われる。
1:更生保護法(平成19年法律第88号)の一部改正により、2016年(平成28年)6月から、保護観察所が行う受刑者等の釈放後の生活環境の調整の充実が図られている。仮にこのことを知らなくても、「仮退院決定後」からでは遅すぎると気づければよい。
2:令状とは、強制処分を裁判官または裁判所が行うよう命じ、あるいは捜査機関等がこれを行うことを許可する旨の裁判書である。逮捕状や捜索差押許可状などがある。生活環境の調整は、強制処分ではないため令状は必要ない。
3:調整すべき事項に借金返済のための金品の給与は含まれない。普通に考えてもこれはありえないだろうと感じて欲しい。
4:地方更生保護委員会が収容中の者の調査をし、保護観察所に対して指導・助言・連絡調整を行う。その上で実際の調整は、保護観察官や保護司が行う。
5:適切
【正解5】
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生活環境の調整とは、受刑者等の出所後の帰住予定地を管轄する保護観察所の保護観察官や保護司が引受人等と面接するなどして、帰住予定地の状況を調査し、住居、就労先等が改善更生と社会復帰にふさわしい生活環境となるよう調整するもの。
問題 149 事例を読んで,仮釈放に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕Mさん(25歳)は,交通事故(人身事故)で懲役3年の実刑判決を受けてV刑務所に収容され,刑に服して6か月が過ぎた。深く反省し,服役中の行状も良好である。かつてMさんが勤務していた会社の社長Aさんは,Mさんが釈放された場合,自分が引受人になって再びMさんを雇用してもよいと考えている。
1 Mさんの仮釈放の審理を開始するには,MさんがV刑務所の長に仮釈放を申し立てなければならない。
2 Mさんは,仮釈放になった後は保護観察が付されない可能性がある。
3 Mさんの仮釈放の審理において,被害者の意見や心情は反映されない。
4 Mさんについて,現在の刑に服した期間では仮釈放の決定はできない。
5 Mさんの家族以外の者が仮釈放後の引受人になることはできない。
仮釈放の知識が必要です。できなくてもやむを得ない問題だと思います。
1:仮釈放の審理は、刑事施設の長からの申出か地方更生保護委員会の判断に基づいて行われます。
2:仮釈放が許された者は、仮釈放の期間中は保護観察が付けられます。
3:被害者の意見や心情も反映されます。
4:適切。仮釈放の要件は、有期の懲役・禁錮については刑期の3分の1を終えたこと、無期の懲役・禁錮については10年を経過することが必要です。この場合、1年を経過する必要があります。
5:家族以外もなれる。
【正解4】
問題 150 事例を読んで,B社会復帰調整官の業務として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕保護観察所のB社会復帰調整官は,「医療観察法」に基づく処遇の対象者であるCさん(30歳)を担当することになった。Cさんは「医療観察法」第107条に規定されている「守るべき事項」により届け出た居住地で生活している。
1 Cさんの居住地の保護司にCさんの処遇判断を委ねる。
2 Cさんの「守るべき事項」に,必要に応じて新たな事項を加える。
3 Cさんの通院状況や生活状況を見守るとともに,必要な指導を行う。
4 Cさんの病状が悪化した場合,指定入院医療機関への入院を決定する。
5 Cさんの病状が安定した場合,「医療観察法」による医療の終了を決定する。
(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
社会復帰調整官も頻出です。医療観察制度の対象となった人の社会復帰を促進します。しっかり復習して下さい。
1:保護司に処遇判断を委ねる、というのはあり得ませんね。
2:「守るべき事項」(一般遵守事項・特別遵守事項)のうち特別遵守事項は、保護観察所長が、それぞれの者ごとに保護観察決定をした家庭裁判所の意見を聴いた上で定めます。
3:適切
4:指定入院医療機関への入院を決定するのは、裁判所です。
5:医療観察法による医療の終了を決定するのは、裁判所です。
【正解3】