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22.総合問題(R2年-第33回)1/2

(総合問題 1 ) 次の事例を読んで,問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。 〔事 例〕 Jさん(83 歳,女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で,近所付き合いもあまりなく,一人で静かに生活していた。80 歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て,変形性膝関節症(kneeosteoarthritis)と診断されたが,近くのスーパーへの買物や,近所の散歩には出かけていた。1か月ほど前から膝の痛みが悪化し,散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩せてきてしまい,一日中,座ってテレビを見て過ごしている。   問題 114 現在のJさんに心配される病態として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 フレイル(frailty) 2 不定愁訴 3 寛解 4 不穏 5 せん妄(delirium)   選択肢がランダム過ぎて変な感じですね。答えにくい問題であったような気がします。 3,4,5は消去できますね。 寛解とは、全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかな状態です。 1と2で迷いました。心配される病態とありますので、不定愁訴ということも考えられるような気がしました。 不定愁訴とは、明らかな身体的原因が認められないにも関わらず、頭痛、腰背部痛、腹痛、悪心、食欲不振など多彩な症状を訴え続ける状態です。なんか当てはまるような気もします。それに比べてフレイルはこの場合当然の帰結ですので、心配されるという言葉からしっくりこなかった。心配されるではなく、想定される病態という設問なら文句なくフレイルとしたのですが・・・ フレイルとは、健常な状態から要介護状態になるまでの中間の段階というニュアンスです。主に下肢筋力の低下を問題にする関係者が多いです。

【正解1】

問題 115 Jさんは,食事量は回復したが,膝に痛みがあり,家の中ではつかまり歩きをしていた。要介護認定を受けたところ要支援 2 と判定され,家の近くの第一号通所事業(通所型サービス)を利用することになった。通所初日,車で迎えに行くと,Jさんは,「心配だからやっぱり行くのはやめようかしら」と介護福祉職に言い,玄関の前からなかなか動かなかった。 このときの介護福祉職の言葉かけとして,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 「急ぎましょう。すぐに車に乗ってください」 2 「心配なようですから,お休みにしましょう」 3 「歩けないようでしたら,車いすを用意しましょうか」 4 「初めてだから心配ですね。私もそばにいるので一緒に行きませんか」 5 「Jさんが行かないと,皆さん困ってしまいますよ」   この問題は解いて欲しい。 現場でもよくあることです。

【正解4】

問題 116 その後,Jさんは少しずつ回復し,膝の痛みもなく,家の中では何もつかまらずに歩くことができている。一人で散歩に出ようという意欲も出てきた。Jさんは,介護福祉職にもっと安定して歩けるように練習をしていきたいことや,外出するときは膝の負担を減らすために杖を使用したいと思っていることを話した。 Jさんに合った,杖を使った歩き方として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 杖(左手で持つ)を出す→右足を出す→左足を出す 2 杖(右手で持つ)を出す→左足を出す→右足を出す 3 杖(左手で持つ)と右足を出す→左足を出す 4 杖(右手で持つ)と左足を出す→右足を出す 5 杖(左手で持つ)と左足を出す→右足を出す   正解なしとなっています。

【正解なし】

(総合問題 2 ) 次の事例を読んで,問題 117 から問題 119 までについて答えなさい。 〔事 例〕 Kさん(80 歳,女性)は夫が亡くなった後,自宅で一人暮らしをしていた。ある日,一人娘のLさんが訪ねると,ごみが散乱しており,冷蔵庫の中には古くなった食材がたくさん入っていた。変化に驚いたLさんはKさんと病院を受診したところ,認知症(dementia)と診断された。Lさんは,Kさんに家庭的な雰囲気の中で生活をしてほしいと考えた。その 結果,Kさんは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用することになった。 入居して 1 週間が経過し,Kさんと関わったM介護福祉職は,Kさんは短期記憶の低下により,最近の出来事については話すことは難しいが,自分が学校に通っていた頃の話や,子どもの頃に歌っていた歌については生き生きと話すことを確認した。   問題 117 M介護福祉職は,Kさんが今持っている認知能力を活用して,ほかの利用者と交流する機会を作りたいと考え,Kさんとほかの利用者に参加してもらう活動を企画することにした。 M介護福祉職が企画した活動の手法として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 リアリティ・オリエンテーション(reality orientation) 2 ピアカウンセリング(peer counseling) 3 スーパービジョン(supervision) 4 回想法 5 社会生活技能訓練   知らない用語もあるかもしれませんが、昔のことは覚ていること、そして昔のことを話すときは生き生きとしていることから回想法が選択できるのではないでしょうか。 1:リアリティ・オリエンテーションとは、日時、季節、今いる場所等が判らないなどの見当識障害を解消するための訓練です。 2:ピアカウンセリングとは、同じ背景を持つ人同士が対等な立場で話し合うことです。障害分野でよく出てきます。 3:スーパービジョンとは、対人援助職者が指導者から教育を受ける過程です。専門職がより上位の専門職から指導を受けるイメージです。対利用者に行うことはありません。 5:社会生活技能訓練、さすがに必要ないですね。

【正解4】

問題 118 ある日,M介護福祉職がKさんの入浴介護を行っていたところ,手のひらや指の間に赤い丘疹を確認した。M介護福祉職がKさんに,「かゆくないですか」と聞くと,「かゆい」と答えた。そのため,病院を受診したところ,角化型疥癬(hyperkeratotic scabies)と診断された。 Kさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 入浴後の洗濯物は,ビニール袋に入れて運ぶ。 2 マスクを着けてもらう。 3 個室に隔離する必要はない。 4 介護は素手で行う。 5 ほかの利用者よりも先に入浴してもらう。   サービス問題です。これを落とすと痛い。 迷うとしたら、2か3です。 2:マスクを着けたらダメというわけではない。 3:施設の状況によっては、個室でない場合もあるかもしれません。例えば、個室が限られる中、空気感染の可能性のある感染症が同時に発生している場合等です。 ただ、1の選択肢に間違いはないので、1を選ぶことになります。

【正解1】

問題 119 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)を利用するKさんの要介護度に変更があった場合に影響があるものとして,適切なものを 1つ選びなさい。 1 介護保険料 2 認知症対応型共同生活介護費 3 介護サービスの利用者負担割合 4 食費 5 居住費   所得によるもの、所得と資産額によるもの、介護度によるものがあります。 1,3は所得により決まります。4,5は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では一定です。3施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)及びショートステイの場合は、所得と資産額により軽減措置があります。 要介護度が変更になることにより金額がことなるのは、認知症対応型共同生活介護費です。これは3施設も同様です。

【正解2】

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