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22.総合問題(R元年-第32回)1/2

(総合問題 1 )

次の事例を読んで,問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。 〔事 例〕 Lさん(78 歳,女性)は一人暮らしをしている。「もったいない」が口癖で,物を大切にし,食べ物を残さないようにして生活している。 半年前,脳の細い血管が詰まっていることがわかり,入院して治療を受けた。左半身にしびれがあり,右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために,介護保険の申請をしたところ,要介護 1 になった。 家事はできるだけ自分でしたいという希望から,週に 2 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して,掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。   問題 114 Lさんが入院するきっかけになった脳の疾患として,適切なものを1つ選びなさい。 1 ラクナ梗塞(lacunar infarction) 2 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage) 3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma) 4 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus) 5 高次脳機能障害(higher brain dysfunction)   脳の細い血管が詰まっている、という箇所から考えます。 1:適切な記述。ラクナ梗塞は脳の細い血管が詰まって起こったものを言います。 2:くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間ある血管が切れて起こる出血です。致死率が高いです。 3:慢性硬膜下血腫とは、まず頭部に外傷が発生。その後、脳と硬膜を繋ぐ橋静脈の破綻などにより硬膜下に脳表の髄液などと混ざった血性貯留液が徐々に被膜を形成し血腫として成長すると言われています。血腫を取り除くまでは、認知症様の症状を呈しますが、血腫を取り除くことができれば認知症様の症状は改善することが多いと言われており、認知症の基礎疾患であるかどうかの問いには、違うという答えになるはずです。 4:正常圧水頭症とは、簡単に言えば、脳室内に過剰な脳脊髄液が貯まることです。これ以上の詳しい知識は必要ないと思います。 5:高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指します。

【正解1】

問題 115 ある日,Lさんと一緒に調理していた訪問介護員(ホームヘルパー)は,賞味期限が 2 日前に切れた缶詰を見つけた。 Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 黙って処分する。 2 食べてはいけないと伝える。 3 食べやすいように,缶のふたを開けておく。 4 食べ方を相談する。 5 保存容器に移して保管するように勧める。   賞味期限と消費期限の違いの問題と利用者の意思尊重の問題が合わさったものでしょうか。 1:食品も利用者の財産に違いありません。黙って処分することはできません。 2:食べられないと訪問介護員が審判するのはおかしいです。賞味期限を2日過ぎただけですし。 3:缶のふたをあけると食物の劣化が早まります。 4:適切な記述。 5:逆効果です。

【正解4】

問題 116 介護保険の申請をしてから半年がたち,更新申請の時期になった。この半年でLさんは,訪問介護員(ホームヘルパー)が来ない日もいすに座って調理をするなど,回復してきている。更新申請の結果,Lさんは要支援 1 になった。 次のうち,Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として,適切なものを1つ選びなさい。 1 訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー) 2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター 3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員 4 訪問介護事業所のサービス提供責任者 5 生活介護のサービス管理責任者   介護予防・日常生活支援総合事業の介護予防ケアマネジメントの問題です。 3が正解です。注意して欲しいのは、主任介護支援専門員だけではなく、地域包括支援センターの職員は作成できることです。

【正解3】

(総合問題 2 )

次の事例を読んで,問題 117 から問題 119 までについて答えなさい。 〔事 例〕 Mさん(80 歳,男性)は, 2 年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して,介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。 その後,Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため,Mさんは,U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。 Mさんの入所当日,担当のA介護福祉職は,生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で,Mさんと関わった。   問題 117 次のうち,A介護福祉職が確認した記録として,適切なものを1つ選びなさい。 1 施設サービス計画書 2 インシデント報告書 3 エコマップ 4 プロセスレコード 5 フェイスシート   プロセスレコードというのは、あまり聞きませんが他の用語は知っていないとならないものです。 1:施設サービス計画書とは、施設におけるケアプランです。 2:インシデント報告書とは、簡単に言えば、事故報告書です。 3:エコマップとは、利用者を中心として、その周辺にある社会資源(家族、友人、近隣住民、医師、各種介護関連機関など)との相関関係をネットワーク として表現した地図のことです。 4:プロセスレコードとは、看護の現場における、対人関係とくに看護者と患者の間の相互作用に関する文章による記録のことです。 5:適切な記述。

【正解5】

問題 118 入所当日の昼食後,A介護福祉職はMさんに歯ブラシと歯磨き粉を渡して,歯磨きを促した。しかし,Mさんは歯ブラシと歯磨き粉を持ったまま,不安そうな顔で歯を磨こうとしなかった。 このときのMさんの症状に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。 1 幻視 2 失行 3 振戦 4 脱抑制 5 常同行動   元々認知症がある中、新しい環境となり、どうしてよいか分からなかったという状況。 1:存在しないものが見える。 2:適切な記述。 3:震え。代表的な疾病にパーキンソン病がある。 4:衝動や感情を抑えることが不能になった状態のこと。 5:同じ運動が目的なしに反復されること。

【正解2】

問題 119 面会に訪れた妻はA介護福祉職に,「最初は夫を施設に入れて申し訳ない気持ちもあったが,元気そうな夫を見て,今はこの施設を利用してよかったと思っている」と話した。A介護福祉職は妻の発言を受けて,介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。そこで,A介護福祉職は施設職員と検討した。その結果,地域の家族介護者を対象に,介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを,独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した上で,必要な手続きを行うこととした。 U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。 1 公益事業 2 日常生活自立支援事業 3 相談支援事業 4 自立相談支援事業 5 地域生活支援事業   消去法で解く問題です。 1:適切な記述。 2:日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者などのうちで、判断能力が不十分な人が住み慣れた地域や家において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づいて、社会福祉協議会が福祉サービスの利用援助等を行なうものです。 3:相談支援事業とは、障害のある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるように障害福祉サービス等の利用計画の作成などを行います。 4:自立相談支援事業とは、生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析し、その課題を踏まえた自立支援計画を作成します。生活困窮者自立支援法に基づく制度です。 5:地域生活支援事業とは、障害者及び障害児が、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、地域の特性や利用者の状況に応じ、柔軟な形態により事業を効果的・効率的に実施するものです。

【正解1】

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