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22.児童や家庭に対する支援と児童•家庭福祉制度(R2年-第33回)

問題136  「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」(厚生労働省)又は「平成28年国民生活基礎調査」(厚生労働省)に示された,2016年(平成28年)時点におけるひとり親世帯等の実態に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 母子世帯になった理由としては,生別よりも死別が多い。 2 母子世帯になった時の末子の年齢階級は,生別世帯の場合,9歳から11歳までが最も多い。 3 世帯類型別にみると.母子世帯の世帯数は,ここ10年で約5倍に増えている。 4 「子どもがいる現役世帯」のうち,大人が一人の世帯の相対的貧困率は,約5割となっている。 5 母子世帯の母の就業状況としては,正規の職員•従業員の割合は約8割である。 (注) 「子どもがいる現役世帯」とは,世帯主が18歳以上65歳未満で,子どもが17 歳以下の世帯をいう。   消去法で解くのに適した問題であろう。統計を知らなければ、推論して解くしかないが、肢1と肢5の×はわかりやすい。 残る肢については、比較してもっともよさそうなものを選ぶという方法でもよい。   1は、×である。死別と言うのは配偶者が死ぬことだが、通常は離婚などの生別の方が多いかと推測できる。 2は、×である。末子が9歳から11歳だとすると上に別の子がいれば中学生以上ということになる。その年代の子がいる親であれば、まずは子ども利益を優先的に考える(※結果、離婚はしない)のではないかと思われる。あるいは、今は子どもが一人しかいないというケースも多いと思われるが、その場合に離婚などしてひとり親家庭になるのは子どもがもっと小さいときではないかと思われる。 3は、×である。さすがに10年で5倍は多すぎると感じる。 4は、〇である。十分に考えられる結論である。 5は、×である。母子世帯の母の就業状況は、非正規の職員・従業員である場合の方が多いと推測できる。

【正解4】

  問題137  2019年(令和元年)に改正された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は,同一の児童福祉司が担うこととなった。 2 児童相談所の業務の質について,毎年,評価を実施することが義務づけられた。 3 親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。 4 特別区(東京23区)に,児童相談所を設置することが義務づけられた。 5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が,市町村に義務づけられた。   本問は知らないと正解を絞りづらい問題であろう。推論して解くしかない。 2019年に改正された児童虐待の防止等に関する法律に肢3の内容が盛り込まれた。   1は、×である。2019年の改正児童福祉法に、両者を分離することが盛り込まれた。一貫性があるので〇ぽいようにもみえるが、介入担当と保護者支援担当はわけた方がうまくいく。 2は、×である。改正児童福祉法により、都道府県が、児童相談所の行う業務の質の評価を行うことにより、その業務の質の向上に努めるものとされた(12条6項)。 3は、〇である。虐待によって児童が死亡するという報道を目にすることが増えたような気がするが、そうしたことも踏まえてこのような規定が法に盛り込まれることは十分に考えられる。※改正児童虐待防止法2条参照。 4は、×である。このような法改正はなされていない。 5は、どうか。内容に問題はないが、児童相談所を設置するのは都道府県なので、一時保護の解除後の児童の安全の確保も都道府県に課せられた義務ではないかとも思える。事実、都道府県の義務である(児童福祉法11条1項2号ヘ)。

【正解3】

  問題138 事例を読んで,Z配偶者暴力相談支援センターのH相談員(社会福祉士)によるこの時点での対応として,適切なものを2つ選びなさい。 〔事例〕 Jさん(35歳)は夫(45歳)と娘(7歳)の3人暮らしである。日々の生活の中で,「誰のおかげで飯を食わせてもらっているのか。母親失格,人間としても駄目だ」等と毎日のように娘の前で罵倒され,娘もおびえており,Z配偶者暴力相談支援センターに相談に来た。H相談員に,夫の言葉の暴力に苦しんでいることを相談し,「もう限界です」と話した。Jさんは娘の成長にとってもよくないと思っている。 1 家庭裁判所に保護命令を申し立てるようJさんに勧める。- 2  Jさんの希望があれば,Jさんと娘の一時保護を検討できるとJさんに伝える。 3 「身体的暴力はないのだから」と,もう少し様子を見るようJさんに伝える。 4 警察に通報する。 5 父親の行為は児童虐待の疑いがあるので,児童相談所に通告する。   感覚で正解を導けそうな問題である。   1は、×である。この段階では時期尚早だと感じるし、法の要件を充たしていない。 2は、〇である。現実的な対応としても、十分に考えられる方法である。 3は、×である。すでに心理的虐待がなされていることが明らかであり、Jは「もう限界です」と言っているのだから、このような対応は、配偶者暴力相談支援センターのH相談員(社会福祉士)の対応としては不適切であろう。 4は、×である。この段階では、まだ警察としては身動きが取れない。 5は、〇である。娘の前で罵倒されることで、娘がおびえているという記述があり、娘自身に対する心理的虐待が認められる。従って、児童相談所に通告するのは適切な対応といえる。

【正解2,5】

  問題139 事例を読んで,Kさんの児童手当の支給先として,正しいものを1つ選びなさい。 〔事例〕 Kさん(13歳,女性)は,父からの身体的虐待によりS市に住む家族と離れ,T市にあるU児童養護施設に入所した。S市役所にKさんの母が来て,これまで父に支払われていたKさんの児童手当は誰に支払われるのかと聴いた。 1 T市 2 Kさん本人 3 Kさんの父 4 U児童養護施設の設置者 5 支給は停止される。   本問については、悩んだ人も多いと思われる。問題文に書かれている内容をヒントに考える。 条文がわからない問題では、発想を変えて、何が最適な結論なのかという視点で答えを選ぶのも一つの方法だといえる。   問題文の中に、Kの児童手当はこれまでKの父に支払われていたとある。 児童手当はKのために使われるべきものだが、親権者であるKの父に支払われていることからすると、支給先は本人でなくてもよいと推測できる。このことをもとにKがU児童養護施設に入所した場合は、U児童養護施設の設置者に支払われるのがよいと考えられる。 または、誰に支給するのが一番適切なのかを考えると、Kが13歳であることからU児童養護施設の設置者に支給する考え方もある。 ※本問の場合は児童養護施設の設置者に支給されることが、児童手当法4条1項4号に規定されている。

【正解4】

  問題140 子育て支援に係る法律に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 子ども・子育て支援法に基づき,国は,子どもと保護者に必要な子ども・子育て支援給付,地域子ども・子育て支援事業を総合的•計画的に行う。 2 次世代育成支援対策推進法に基づき,市町村は,3年ごとに次世代育成支援対策の実施に関する計画を策定することが義務づけられている。 3 次世代育成支援対策推進法に基づき,常時雇用する労働者が100人を超える一般事業主は,一般事業主行動計画を策定しなければならない。 4 児童福祉法に基づき,保育所等訪問支援では,小学校長が命じる者が保育所等を訪問して,就学前教育に関する助言を行う。 5 母子保健法に基づき,乳児家庭全戸訪問事業では,生後8か月に達した乳児の家庭を訪問して,指導を行う。   次世代育成支援対策推進法は過去問でも出ており、肢3の記載事項は、比較的ポピュラーな知識である。 本問は知識が無いと、判断に迷う。   1は、×である。「国は」の部分がひっかかる。地域子ども・子育て支援事業を行うのは、もっと身近な市町村だと推測できる。 2は、知らないと判断に迷う。「3年」が謝り誤りで、正しくは5年である(次世代育成支援対策推進法8条1項)。自信がなければ△にして次に進む。 3は、〇である。常時雇用する労働者が100人を超える一般事業主に一般事業主行動計画を策定する義務がある。 4は、×である。「小学校長が」の部分がひっかかる。児童福祉法に規定された保育所等訪問支援であれば、少なくとも「小学校長が命じる者」という部分は間違いでないかと推測して欲しい。 5は、×である。乳児家庭全戸訪問事業では、生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問することになっている(※実施主体は市町村)。自信がなければ△にせざるを得ない。

【正解3】

  問題141 子どもの貧困対策の推進に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 基本理念として,子どもの貧困対策が児童虐待の予防に資するものとなるよう,明記している。 2 子どもの貧困対策では,子どもの年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮されなければならない。 3 政府は2年ごとに,子どもの貧困の状況と貧困対策の実施状況を公表しなければならない。 4 社会福祉協議会は,貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならない。 5 文部科学省に,特別の機関として,子どもの貧困対策会議を置く。   子どもの貧困対策の推進に関する法律を知らない場合、選択肢を比較しながら正解を見つけるしかない。 選択肢を読んでいくと、極めて無難な内容のものがある。   1は、×である。別に児童虐待防止法もあるので、基本理念にそのようなことを書く必要性が乏しい。 2は、〇である。条文に記されている。もし当該法律を知らなかったとしても、もっとも無難な記述だと感じるであろう。 3は、×である。「2年」ではなく「毎年1回」である(法7条)。 4は、×である。実施主体は、「社会福祉協議会」ではなく「国及び地方公共団体」である(法12条)。 5は、×である。設置されるのは、「文部科学省」ではなく、「内閣府」である(法15条)。

【正解2】

  問題142 子どもに関わる専門職等に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 家庭裁判所調査官は,家庭内の紛争や非行の原因などの調査や,児童福祉施設入所等の適否を判断するための調査等を行う。 2 法務教官は,児童自立支援施設において,生活指導,職業指導,教科教育等各種の教育訓練による矯正教育を行う。 3 保健師は,児童福祉法に基づき,妊産婦や新生児の訪問指導,乳幼児健診,保健指導などを行う。 4 児童委員は,要保護児童の把握や通告を行うこととされており,児童相談所の決定による子どもやその保護者への指導を行うことは業務外となっている。 5 保育士は,子どもを対象とした直接的な援助が主な業務であり,保護者への保育に関する指導を行うことは業務外となっている。   肢3については、問140の肢5がヒントになっているということもできる。   1は、〇である。 2は、×である。法務教官は「児童自立支援施設」ではなく、少年院や少年鑑別所に勤務し、非行を犯した少年が更生するよう教育や訓練、助言を行う国家公務員である。 3は、×である。「児童福祉法」ではなく、「母子保健法」である。 4は、説明の後半部分が×である。児童委員が、児童相談所の決定による子どもやその保護者への指導を行っても問題はないであろう。 5は、説明の後半部分が×である。保育士が、保護者への保育に関する指導を行っても問題はないであろう。

【正解1】

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