問題 131 介護保険制度における都道府県の義務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県は, 6 年を 1 期とする介護保険事業計画を策定するに当たって,各年度の地域支援事業の見込量の算出を行う。
2 都道府県知事は,介護サービス事業者から介護サービス情報の報告を受けた後,その報告の内容を公表する。
3 都道府県は,老人福祉圏域ごとに地域包括支援センターを設置する。
4 都道府県は,介護サービス事業者を代表する委員,介護の専門職を代表する委員,医療の専門職を代表する委員で組織される介護保険審査会を設置する。
5 都道府県は,要介護者及び要支援者に対し,介護保険法の定めるところにより,保健福祉事業を行う。
都道府県と市町村の役割分担。表にして覚えると良いでしょう。
1:都道府県は,3年を 1 期とする介護保険事業
支援計画を策定します。
2:正しい
3:市町村は、日常生活圏域(多くの場合、各中学校区域)に地域包括支援センターを設置します。
4:介護保険審査会は、都道府県に設置されていますが、委員の構成が違います。被保険者を代表する委員3人、市町村を代表する委員3人、公益を代表する委員3人以上で構成されます。
5:市町村が行います。
【正解2】
問題 132 介護保険制度の指定訪問介護事業所(共生型居宅サービスを除く)の従事者に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 訪問介護員として従事する者に対しては資格取得や研修修了等の要件は課されておらず,業務を遂行する上での最低限の技術の習得が条件とされている。
2 訪問介護員は,常に利用者の心身の状況やその置かれている環境等の的確な把握に努め,利用者又はその家族に対し,適切な相談及び助言を行う。
3 訪問介護員が入浴や清拭の支援を行う場合,利用者の主治医の指示に基づいて介護を行うことが義務づけられている。
4 サービス提供責任者は,訪問介護員に対して利用者の状況についての情報を伝達し,具体的な援助目標や援助内容を指示する。
5 サービス提供責任者は,多様な事業者等から総合的に提供される介護サービスの内容などを記載した居宅サービス計画を作成する。
個別のサービスについてですが、基本的な内容です。
1:少なくとも介護職員初任者研修を終えることが必要です。
2:適切
3:このような規定はありません。ただ、高血圧の利用者の入浴介助などでは医師の見解を参考にすることが多いのですが。
4:適切
5:サービス提供責任者は,訪問介護計画を作成します。居宅サービス計画(通称ケアプラン)は介護支援専門員(通称ケアマネジャー)が作成します。
【正解2,4】
問題 133 事例を読んで,L社会福祉士が活用を検討する施策や事業として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
L社会福祉士は,営利法人が経営するサービス付き高齢者向け住宅の職員として勤務し,安否確認や生活相談サービスを担当している。最近は介護サービスを利用する認知症高齢者の入居も増え,その家族等から高齢者の支援方法やサービス内容について様々な要望や質問が寄せられることが多くなってきた。
ある日,L社会福祉士は法人の取締役から,「ボランティアなど外部の人が入居者の相談に応じて疑問や不満・不安の解消を図る仕組みが必要だ」と指示を受けた。そこで,L社会福祉士は,まず既存の公的施策・事業の活用を検討することにした。
1 包括的支援事業における認知症地域支援・ケア向上事業
2 福祉サービス第三者評価事業
3 介護サービス相談員派遣等事業(旧介護相談員派遣等事業)
4 包括的支援事業における権利擁護業務
5 福祉サービス利用援助事業
L社会福祉士が活用を検討すべき既存の公的施策•事業は、ボランティアなど外部の人が認知症も含む入居者の相談に応じて疑問や不満•不安の解消を図るものである。選択肢の中で、この条件に沿ったものを見つける。
1:認知症地域支援•ケア向上事業は、認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるため、認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的としている。
2:福祉サービス第三者評価事業は、社会福祉法人等の事業者の提供するサービスの質を当事者(事業者・利用者)以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業である(㉚-問41参照)。
3:適切。介護相談員派遣等事業については、㉛-問132で出題されている。
4:権利擁護業務とは、地域の住民、民生委員、介護支援専門員などの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者が、地域において尊厳のある生活を維持し、安心して生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点から、高齢者の権利擁護のための支援をしていくものである。
5:福祉サービス利用援助事業とは、福祉サービスの利用が措置から契約へと移行するなかで判断能力が不十分な方の意向や意思の決定 過程においてサポートすることを目的とした事業である(社会福祉法2条参照)。
【正解3】
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
介護サービス相談員派遣等事業は、あまり聞きなれない用語だと思いますが、「実施主体である各市町村に登録された介護サービス相談員が、サービスを利用する者等の話を聞き、相談に応じる等を行う取組」です。
今回の事例内容にピッタリです。
問題 134 事例を読んで,M相談員(社会福祉士)がAさんの娘に説明をした入所施設について,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
S市に住むAさん(75 歳)は,大手企業の管理職として仕事をしていたが,過労が原因で 60 歳の時に脳伷塞を起こし,緊急入院した。幸い一命は取り留め,退院後はリハビリテーションに努めたものの,右半身に麻痺が残り,要介護 4 の状態となった。Aさんの介護は長年,主に妻が担い,必要に応じて介護支援専門員と相談し,短期入所生活介護や訪問介護などのサービスを利用していた。しかし,1か月前に長年連れ添った妻が亡くなり,その後は娘が遠距離介護をしていたが,Aさんが,「施設に入所し,そこで残りの人生を全うしたい」と希望したので,娘はS市介護保険課のM相談員に相談した。そこで,M相談員は,S市の「入所に関する指針」等を参考にしながら,Aさんに最も適した入所施設について,娘に説明をした。
1 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
2 介護老人保健施設
3 介護医療院
4 養護老人ホーム
5 軽費老人ホーム
現場にいる人は選べると思います。
1:適切。基本的には終身で利用できる施設です。
2:中間施設という位置付けです。一般的な流れは、在宅若しくは病院→介護老人保健施設→介護老人福祉施設です。
3:中間施設若しくは終身で医療行為が必要な施設。
4・5:経済的な理由がある人が入所する施設。大手企業の管理職、とありますので経済的な理由で入所する人には該当しなさそうです。また、養護老人ホーム、軽費老人ホームは自立した人が基本です。最近、養護老人ホーム、軽費老人ホームのうち特定施設入居者生活介護の指定を取っているところもあり、この場合、介護老人福祉施設と同様の機能を持っていますが、そこまでの知識を問う問題ではなさそうです。
【正解1】
問題 135 「バリアフリー法」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 公共交通や建築物等の施設設置管理者等は,2020 年(令和 2 年)の改正により法の施行から 3 年以内に移動等円滑化基準に適合するよう,既存施設の改修等を行わなければならなくなった。
2 公共用通路の出入口は,移動等円滑化基準において,その幅を 60 cm 以上としなければならない。
3 公共交通事業者等は,その職員に対して移動等円滑化を図るために必要な教育訓練を行うよう努めなければならない。
4 厚生労働大臣は,旅客施設を中心とする地区や高齢者等が利用する施設が集まった地区について,移動等円滑化基本構想を作成しなければならない。
5 移動等円滑化基本構想に位置づけられた事業の実施状況等の調査・分析や評価は,おおむね 10 年ごとに行わなければならない。
(注)「バリアフリー法」とは,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のことである。
細かな内容まで問われています。2や5はすぐに消去できると思います。1は既存の設備を使用し続けている駅なども多いのは感じると思います。残るは3と4です。
1:公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努める、という規定があります。つまり、努力義務です。
2:60cmでは車いすは通れません。明確に数値を覚えていなくても消去できます。実際の規定は、90cm以上、構造上やむを得ない場合は80cm以上です。
3:正しい。特に引っ掛かるところがない文章。
4:移動等円滑化基本構想を作成するのは、市町村です。
5:実施状況等の調査・分析や評価は,おおむね 5年ごとに行わなければならない。5年を知らなくても、10年は間が開きすぎと感じるのではないでしょうか。
【正解3】