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19.精神疾患とその治療(R2年-第23回)2/2

問題 6 次の記述のうち、認知症患者に用いられるドネペジル塩酸塩について、正しいものを1つ選びなさい。 1 効能は認知機能の回復である。 2 血管性認知症に適応がある。 3 心疾患には特に注意が必要である。 4 服薬を中止すると強い離脱症状を認める。 5 神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を促進する。   迷うとすれば、3か5かであろう。難しめの問題といえる。 ドネペジル塩酸塩の商品名はアリセプトである。   1は、×である。進行を抑えることができても、認知機能の回復までは難しい。 2は、×である。アルツハイマー型認知症の患者によく用いられる。 3は、知らないと自信をもって判断できない。知らなければ△にして次に進む。 4は、×である。中止すると離脱症状が認められるといった話は聞いたことがない。 5は、×である。アルツハイマー型認知症の患者の脳内では、アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑える必要がある。

【正解3】

ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス アルツハイマー型認知症の患者の脳内では、アセチルコリンの活性が低いことがわかっている。そのため、脳の中でアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑えることにより、脳内のアセチルコリンの濃度を高めることが有効と考えられる。ドネペジル塩酸塩にはそのような効果がある。
  問題 7 次のうち、森田療法で用いられる理論や技法として、正しいものを1つ選びなさい。 1 転移 2 絶対臥褥 3 フラッディング 4 古典的条件づけ 5 カタルシス効果   過去問にも何度か登場しており、受験生なら知っておかなければならない知識である。 森田療法で用いられる理論や技法として、正しいものは、絶対臥褥である。

【正解2】

  問題 8 次の記述のうち、精神科を主たる診療科名として標榜する診療所について、正しいものを2つ選びなさい。 1 在宅医療を提供できる。 2 開設者には精神保健指定医の資格が必須である。 3 自立支援医療(精神通院医療)を利用できる。 4 精神保健福祉士の勤務が必須である。 5 「医療施設(静態・動態)調査」(厚生労働省)によると、2011年(平成23年)以降、診療所数が著しく減少している。   一見、簡単そうだが、知識の無い人にとっては、難しい問題だったかもしれない。 近頃は、自費診療の精神科専門診療所も設立されているが、ここは医療保険適用の診療所であると考え、素直に解いていく。   1は、〇である。診療所である為、在宅医療が提供できることは分かり易い。また、「提供できる」との言い回しもヒントになる。 2は、知らないと判断しづらい。△にして次に進む。 3は、〇である。肢1と同じく、分かり易い。 4は、×である。診療所に精神保健福祉士の配置を義務付けるのは、ハードルが高い。 5は、×である。ストレスチェックが導入される位、近年は精神を病む人は増えている印象がある。そうだとしたら、「著しく減少している」ことはないであろう。

【正解1,3】

ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 精神保健指定医とは・・・ 〇精神保健指定医制度は昭和62年の精神衛生法改正(精神保健法の成立)により創設された。 〇精神科医療においては、本人の意思によらない入院や、一定の行動制限を行う事があるため、これらの業務を行う医師は、患者の人権にも十分に配慮した医療を行うに必要な資質を備えている必要がある。 そのため、一定の精神科実務経験を有し、法律等に関する研修を終了した医師のうちから、厚生労働大臣が「精神保健指定医」を指定し、これらの業務を行わせることとしたものである。
  問題 9 次のうち、精神保健指定医の診察の結果、応急入院が妥当と考えられる患者として、適切なものを1つ選びなさい。 1 自ら治療を求めて来院した不安障害の患者 2 妻が付き添って来院した振戦せん妄の患者 3 身元の全く分からない不穏で独語のある患者 4 家族に対して易怒的で、長男に連れてこられた前頭側頭型認知症の患者 5 幻覚・妄想が強く自傷他害のおそれのある統合失調症の患者   入院形態を問う問題は、 過去に何度も登場しており、当然に、正解して欲しい。   1は、×である。この場合、任意入院が可能である。 2は、×である。この場合、妻の同意による医療保護入院が可能である。 3は、〇である。身元が不明で、不穏かつ独語症状があるので、本人同意を得ることは難しそうだと推測できる。 4は、×である。この場合、長男の同意による医療保護入院が可能である。 5は、×である。「幻覚・妄想が強く自傷他害のおそれがある」為、措置入院が妥当である。

【正解3】

問題10 次の記述のうち、精神障害者の入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。 1 任意入院では、48時間に限り退院制限を行うことができる。 2 医療保護入院では、家族等の同意により本人を入院させることができる。 3 措置入院は、家庭裁判所の権限による入院形態である。 4 緊急措置入院は、夜間に限って行われる。 5 「医療観察法」による鑑定入院は、都道府県知事の権限による入院である。 (注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。   頻出事項の入院形態に関する問題であるが、 基本的知識がないと正解を導くのが難しい。   1は、×である。48時間ではなく72時間である(精神保健福祉法21条3項、20条)。 2は、〇である(同法33条)。 3は、×である。家庭裁判所ではなく、都道府県知事である。 4は、×である。「夜間に限って」といった制限はない。 5は、×である。都道府県知事ではなく、家庭裁判所である。

【正解2】

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