問題 124 事例を読んで、A特定非営利活動法人がこれから取り組むべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A特定非営利活動法人は、B県C市において障害福祉事業を実施してきた。地域のニーズにさらに応えることができるよう規模を拡大し、組織を発展させていくため、関係者と協議してA特定非営利活動法人を解散し、社会福祉法人の設立を目指すこととなった。これまでのとおりC市に主たる事務所を置き、C市内でのみ事業を行っていく予定である。なお、C市は指定都市ではない。
1 社会福祉法人の重要事項の議決機関となる評議員会を設置する。
2 社会福祉法人の会員を募り、10名以上の会員名簿を作成する。
3 A特定非営利活動法人の解散を、所轄庁であるC市に届け出る。
4 A特定非営利活動法人の残余財産を、これまでの寄付者個人に分配する。
5 社会福祉法人の設立のため、所轄庁であるB県からの認可を受ける。
1は〇である。
社会福祉法36条1項参照。
2は×である。
会員の存在は、社会福祉法人における必須の要素ではない。
3は×である。
NPO法人の場合、主たる事務所のある都道府県 が所轄庁であるが、主たる事務所所在地が政令指定都市の場合で、その市内のみに事務所があるときは、その市 が所轄庁になる。C市は指定都市ではないので、B県が所轄庁となる。
4は×である。
特定非営利活動法人の残余財産を、これまでの寄付者個人に分配することはできない。㊱問122肢4参照。
5は×である。
社会福祉法人の所轄庁は、原則として法人の主たる事務所が所在する都道府県とされているが、法人が行う事業が法人の主たる事務所の所在する市の区域を越えない場合は当該市となる。本問では、C市から認可を受けることになる。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
管轄についての肢3と肢5は、やや細かい知識であるが、評議員会は必置の機関なので、積極法で肢1を選んで欲しい。
問題 125 次の記述のうち、2016年(平成28年)の社会福祉法改正により、新たに社会福祉法人が努めなければならないとされたこととして、正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの利用者の利益を保護する仕組みを導入すること。
2 地域における公益的な取組を実施すること。
3 従業員の給与基準を定めて公表すること。
4 第一種社会福祉事業を実施すること。
5 第三者評価を受審すること。
1は×である。
2000年に改正された社会福祉法に盛り込まれている。
2は〇である。
3は×である。
このような規定は存在しない。
4は×である。
第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業の区別は、改正前の社会福祉事業法にも存在したが(同法2条参照)、第一種社会福祉事業を実施するように努めなければならないという規定は、改正前後を通じて存在しない。
5は×である。
2000年に改正された社会福祉法78条に規定されている。
正解2
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㉜問29で正面から出題されている他、㊱問38肢3、㉟問40肢3に登場している。
問題 126 リーダーシップに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 リーダーシップの行動理論は、リーダーになる人とならない人の差について、人の身体的特徴や性格の特性との関連で明らかにした。
2 フォロワーシップの理論は、チームメンバーがリーダーに対して異議申し立てなどをせずに全面的に従うことの重要性を示した。
3 リーダーシップのコンティンジェンシー理論は、どのような状況においても普遍的なリーダーシップ行動をとることの有効性を示した。
4 サーバント・リーダーシップの考え方は、リーダーのもとにメンバーを従わせることにより、効果的に組織をコントロールすることの重要性を示した。
5 シェアド・リーダーシップの考え方は、各メンバーが持つ情報・資源・スキルなどを必要な場面で効果的に用いて、一人一人がリーダーシップを発揮することの重要性を示した。
1は×である。
行動理論というのであるから、リーダーの行動に着目するのだろうと推測できる。これに対し選択肢の内容は、リーダー自身の「身体的特徴や性格の特性」で明らかにしようとしているので、不適切であると判断できる。
2は×である。
フォロワーシップ理論は、フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する(㉙問123肢5参照)ものであり、チームメンバーがリーダーに全面的に従うことの重要性を示したものではない。なお、「全面的にしたがう」という内容自体にも違和感がある。
3は×である。
コンティンジェンシー理論とは、いかなる環境でも力を発揮するリーダーは存在しないという理論である。この理論からは、リーダーは状況に応じて変化することが求められる。㉞問120肢4参照。
4は×である。
サーバント・リーダーシップは,リーダーはまず相手に奉仕した後、相手を導くものという考え方である。選択肢の内容は、メンバーをリーダーに従わせることとしている点で不適切である。㉞問121参照。
5は〇である。
正解5
問題 127 事例を読んで、Aさんが苦情を申し立てることのできる仕組みとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例)
B障害者支援施設を利用しているAさんは、日頃からC職員の態度が怖いと感じており、そのことについて苦情を申し立てたいと考えている。ただし、事業所の苦情受付担当者がC職員自身であるため、相談しづらい。なお、Aさんは、既に施設の苦情解決にかかわる第三者委員に相談したが、一向に状況が改善していない。
1 障害福祉サービス等情報公表制度
2 運営適正化委員会
3 安全委員会
4 福祉サービス第三者評価事業の評価機関
5 公益通報者保護制度
1は×である。
障害福祉サービス等情報公表制度とは、障害福祉サービスの内容等を事業者が都道府県知事に報告し、都道府県知事が公表する制度である。苦情解決のための制度ではない。㉛問124肢3参照。
2は〇である。
運営適正化委員会は、社会福祉法に基づいて都道府県社会福祉協議会に設置された、福祉サービスの適正な運営と苦情解決のための第三者機関である。㊱問30、㉝問132参照。
3は×である。
安全委員会は、主に職場での事故防止など、物理的な安全を確保するための委員会である。
4は×である。
福祉サービス第三者評価事業は、日本全国の福祉サービスの質を向上させるために、福祉施設や事業所に対して第三者が評価を行う仕組みである。苦情解決のための制度ではない。㉟問125参照。
5は×である。
公益通報者保護制度は、事業者の法令違反を通報した内部の労働者に対する不利益な取扱いを禁止し、国民生活の安心や安全を脅かす事業者の法令違反の発生と被害の防止を図る制度である。Aは、利用者であって、B障害者支援施設の労働者ではない。㉜問123肢5参照。
正解2
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
安全委員会を除く他の用語は、過去5年以内に出題されている。それぞれの用語のイメージを掴めていれば、正解を導くことができる。
問題 128 「個人情報保護法」に基づく、個人情報取扱事業者である福祉サービス提供組織の情報管理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福社サービスの利用者名簿を作成し活用している団体のうち、ボランティア団体や任意団体は、個人情報取扱事業者から除外されている。
2 個人情報取扱事業者は、包括的な同意があれば、取得した個人情報の利用目的を事業者の都合のよいように自由に変更することができる。
3 利用者本人の信条に関する情報は、支援のために必要があれば、本人の同意を得ずとも、取得し地域の関係機関と共有できる。
4 要配慮個人情報とは、要配慮者の要介護認定や障害支援区分認定に関する情報を指し、犯罪の経歴は含まないとされている。
5 個人データを第三者提供する際の本人からの同意は、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人からの同意取得が困難な場合は、例外的に不要である。
(注)「個人情報保護法」とは、「個人情報の保護に関する法律」のことである。
1は×である。
「個人情報取扱事業者」を「個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう」(法16条2項)が、「事業の用に供している者」には、一般企業のような営利事業者のみならず、NPO法人のような非営利団体も含まれる。
2は×である。
たとえ包括的な同意があっても、取得した個人情報の利用目的を事業者の都合のよいように自由に変更することができないだろうと考えて欲しい。
3は×である。
個人情報取扱事業者は、法令に定めがある場合や人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときなどを除いて、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない(法20条2項参照)。
4は×である。
「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう(法3条3項)。
5は〇である。
(法20条3項2号参照)。
正解5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
個人情報保護法に関する十分な知識がない場合、法の目的を念頭に置いて、最も適切なもの(無難なものと言ってもよい)を選ぶ。
問題 129 社会福祉法人の財務に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 事業活動計算書は,流動資産と流動負債のバランスを見て財務の健全性をチェックすることができる計算書類である。
2 社会福祉事業のほか、公益事業・収益事業を行う社会福祉法人は、法人全体とともに、事業区分ごとに計算書類を作成する必要がある。
3 資金収支計算書とは、毎年資産額を一定のルールで減額させ、その年のコストとして計上して作成した計算書類である。
4 介護サービスの提供に要した費用は、利用者に代わって国から指定介護サービス事業者に支払われる。
5 貸借対照表は、法人全体や事業区分、拠点区分の会計年度末における財務状況を明らかにする計算書類である。
1は×である。
事業活動計算書は社会福祉法人が1年間の事業活動を行った結果の損益の状況を反映した計算書類である(企業会計でいう損益計算書に近い)。選択肢の内容は、貸借対照表についてあてはまるものである。㉜問125参照。
2は〇である。
社会福祉事業、公益事業、収益事業に分けて、計算書類を作成しなければならない。
3は×である。
資金収支計算書は、支払資金の変動額(当期資金収支差額)と、その原因である資金収入と資金支出を示すものである。選択肢の内容は、減価償却についての説明である。減価償却は、資金収支計算書には記載されず、事業活動計算書に費用として計上される。
4は×である。
介護サービスの提供に要した費用のうち、利用者の自己負担部分(1割から3割)は、利用者から指定介護サービス事業者に支払われ、保険給付の部分は、国民健康保険団体連合会から指定介護サービス事業者に支払われる。
5は〇である。
正解2,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
2と3の知識は、初めての出題だと思われる。事業活動計算書と貸借対照表の知識があれば、1が×であることと、5が〇であることは判断できる。また、4も×であることが判断しやすい。
あとは、2と3を見比べて、いずれが適切かを吟味する。ここで2の内容についてみると、事業の内容ごとに別々に計算書類を作るようにと述べられているが、非営利法人である社会福祉法人の場合には、そのようにする必要性と合理性があると推測できるのではないだろうか。

