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18.ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)(R7年2月-第37回)

問題 109  専門職化に関する次の記述のうち、グリーンウッド(Greenwood,E.)が 述べたものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 体系的な理論、権威,社会的承認、倫理網領,専門職文化の5つの属性を示した。
2 公衆の福祉という目的、理論と技術、教育と訓練、テストによる能力証明、専門職団体の組織化。倫理網領の6つの属性を示した。
3 専門職の目標、知識、及び技術についての認識を示した。
4 専門職の成熟度として、4つの発達段階を示した。
5 他の専門職と比較することによって「準専門職」という概念を確立した。

1は〇である。
グリーンウッドの考えの特徴は、専門職が成立する属性を挙げ、その中で専門職的権威の必要性を主張したことにある(㉞問94参照)。
2は×である。
選択肢にある6つの属性を示したのは、ミラーソンである。ミラーソンは、グリーンウッドやフレックスナーの議論を踏まえて、専門職化の属性を試みた人である。
3は×である。
本肢は、フレックスナーについての記述だと思われる。フレックスナーは、専門職として認められるための6つの属性を提示し(※選択肢2とは異なる内容である)、「現段階(※1915年当時)で ソーシャルワーク は専門職に該当しない」と結論づけた。
4は×である。
本肢は、カーソンダースに関する記述である。カーソンダースは、職業発展の過程から、ソーシャルワーク専門職が成立するプロセスを提示し、4つの発達段階を示した。
5は×である。
準専門職の概念を提示したのは、4のエツィオーニである。㉞問94肢4参照。

正解1

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問は、知識がないと解くのは困難である。類題に㉞問94があり、その問題についてしっかりと復習していた人は、積極法で1を選ぶこともできたのではないかと思われる。
グリーンウッドの考えの特徴は、専門職的権威の必要性を主張したことにあるが、選択肢の中で、権威が含まれているのは、肢1のみである。㉞問94に続いて、今回、「ソーシャルワークの専門職化」に関連する人物が問われていることから、このテーマについてまとめておいた方が賢明だろう。

問題 110 認定社会福祉士に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 地域や外部機関との対応窓口,他職種との連携よりも、所属機関の機能に応じた社会福祉専門職としての高度な支援を行うことが求められる。
2 地域共生社会の実現に向けて求められるより高度な知識や技術等は、認定社会福祉士制度などを通して、継続して学ぶことが望まれる。
3 スーパービジョンの実施にあたっては、スーパーバイザーとスーパーバイジーの両者が、社会福祉士の倫理網領及び行動規範を遵守しなければならないと定められている。
4 認定社会福祉士を取得するには、社会福祉士として 20年以上の相談援助実務経験があることが要件とされている。
5 社会の変化とニーズの多様化・複雑化に対応するため、10年に一度の更新が求められる。

1は×である。
「地域や外部機関との対応窓口,他職種との連携」は重要なことであり、これを劣後させることはないだろうと推測できる。
2は〇である。
3は〇である。
4は×である。
さすがに20年以上は、要件として長すぎると感じて欲しい。実務経験については、資格を取得してから5年以上、かつ、この間は原則として社会福祉士制度における指定施設及び職種に準ずる業務等に従事していることが要件となる。
5は×である。
認定社会福祉士の有効期間は、認定審査に合格した翌年度から5年間となっている。社会の変化とニーズの多様化・複雑化に対応するために更新制度があるとしたら、10年では長すぎる(遅すぎる)のではないかと感じられれば良い。

正解2,3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
㉘問95以来の出題であり、驚いた受験生も多かったと思われる。認定社会福祉士という名称から、より高度な知識と技術を持つ社会福祉士なのだろうという程度の推測はできるはず。あとは、選択肢を見ながら、そのイメージに合うものを選んでいく。
1はすぐに×とわかるので、速やかに消去する。残りは比較しながら吟味していくしかないが、十分な知識がない場合、2と3は、内容的に特に問題はないので、積極的に〇と判断できないときは、△にして先に進む。そして、4と5については、常識的に考えて適切な期間か否かを考えてみるほかないであろう。

問題 111 福祉職の任用または委嘱に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉主事は、社会福祉法に規定されている。
2 児童福祉司は、「児童虐待防止法」に規定されている。
3 身体障害者福祉司は、障害者基本法に規定されている。
4 知的障害者福祉司は、「障害者総合支援法」に規定されている。
5 母子・父子自立支援員は、児童福祉法に規定されている。
(注)1「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
2「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1は○である。
社会福祉法19条1項に任用資格として規定されている。
2は×である。
児童福祉法13条3項に任用資格として規定されている。
3は×である。
身体障害者福祉法12条に任用資格として規定されている。
4は×である。
知的障害者福祉法14条に任用資格として規定されている。
5は×である。
母子・父子自立支援員への委嘱は、母子及び父子並びに寡婦福祉法8条1項に規定されている。

正解1

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
知っていれば、簡単に1を選べるが、知らなかった場合は、発想を変えて解くと良い。
1は、わからなければ△にして次に進む。2の児童福祉司は、児童福祉法に規定されているであろうと推測しやすい。同様に、3の身体障害者福祉司は、身体障害者福祉法、4の知的障害者福祉司は、知的障害者福祉法、母子・父子自立支援員は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定されていると推測しやすい。結果、消去法で1を選ぶことができる。
以上の解き方は、社会福祉法に根拠を持つ機関を聞く㊱問30にも応用できる。
なお、〇〇〇〇司というのは、福祉事務所や施設で児童、身体障害者、知的障害者の支援を行う専門職である。
余談になるが、司というのは、日本古代の律令制において主に省のもとに置かれた官司の等級の一つであり、その呼称が今も残っているのには感慨深いものがある。

問題 112 「バークレイ報告」の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 年齢やカテゴリー別の援助ではなく、家族全体を視野に入れた、総合的なアセスメントに基づく家族ソーシャルワークの実施を強調した。
2 地方自治体の議会にソーシャルサービス委員会を設置することが必要であると指摘した。
3 ソーシャルワーカーの任務として、それぞれが責任を持つ地理的範囲やクライエントのためのネットワークを見いだすとともに、必要があれば作り出すことに関心を持たなければならないとされた。
4 地域ケア計画を作成するにあたり、ケースマネジメントの技能を応用し、明確な財源システムを目指すことが期待された。
5 福祉サービスと保健医療改革を一体的に法定化し、継ぎ目のないサービスの提供を目標とした。
(注)「バークレイ報告」とは、1982年の「Social Workers: Their Role and Tasks」のことである。

1は×である。
ワグナー報告(1988)の内容である。
2は×である。
シーボーム報告(1968)の内容である。㉙問33肢1参照。
3は〇である。
㉙問33肢4参照。
4は×である。
グリフィス報告(1988)の内容である。㉙問33肢5参照。
5は×である。
国民保健サービス及びコミュニティケア法(1990)の内容である。㉛問55肢2、㉙問55肢1参照。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
イギリスの福祉改革期における一連の流れを聞く問題は、㉙問33以来の出題である。本問は知識がないと解くのは困難であるが、マークしていた人もいたと思われる。
バークレイ報告がコミュニティケアの改革に関する報告であることを押さえていた人は多かったと思われるが、選択肢にあるような説明にはなじみがなかったと思われる。2がシーボーム報告、5が国民保健サービス及びコミュニティケア法に関するものであることはわかりやすいので、まずこれらを消去する。
残る1,3,4を比較した場合、1は家族全体を視野に入れているという特徴、4はケースマネジメントの技能の応用という特徴があるのに対し、3はコミュニティケアの一般的な改革に関するものであることがわかる。
よって、バークレイ報告の内容は3ではないかと推測できる。

本問には、もう一つ別の解き方があります。
問題文(注)に記載の「Social Workers: Their Role and Tasks」を訳すと「ソーシャルワーカー:彼(彼女)らの役割と仕事(任務)」となります。
つまり、本問では、この内容(訳)に最も即した選択肢を選ぶということです。この考え方を用いれば、バークレイ報告についての知識がなくても正解を出すことができます。

問題 113 事例を読んで、A市社会福祉協議会がソーシャルワーク実践の対象としたシステムとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A市社会福祉協議会では、市内の視覚障害者から、行政機関が発信する生活や災害に関する情報が十分に届いていないため困っているという相談が相次いだ。こうした中、A市社会福祉協議会は行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達経路が不十分であり、その改善が必要であることをA市に要望した。それを受け、A市は視覚障害者への情報提供支援として,点字や音声による情報提供や広報を開始し,情報が広く行き届くようになった。

1 ミクロシステムのみ
2 メゾシステムのみ
3 マクロシステムのみ
4 ミクロシステムとメゾシステム
5 ミクロシステムとマクロシステム

正解5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
ミクロ<メゾ<マクロの理解は、必衰といえる。その上で、本問では、「A市社会福祉協議会がソーシャルワーク実践の対象としたシステム」について問われていることを確認する。
各システムについては、ミクロ:個人・家族、メゾ:地域・施設・機関、マクロ:国・社会・法律・制度くらいの理解は多くの人ができているであろう。
事例について考えた場合、A社協は、相談してきた市内の視覚障害者の相談にのっているので、ミクロシステムを対象としていることがわかる。次に、A市社協は、行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達経路が不十分であり、その改善が必要であることをA市に要望しているが、これがメゾシステムあるいはマクロシステムのいずれを対象としたものなのかを検討する。
これについて、後掲のガイドラインでは、メゾレベルを「家族ほど親密ではないが、グループや学校・職場、近隣など有意義な対人関係があるレベルで、クライエントに直接、影響するシステム」と捉えている。A市と視覚障害者とは、有意義な対人関係があるレベルにはない。
よって、A社協のA市への働きかけは、メゾシステムではなく、マクロシステムを対象としたものと考えるべきである。以上から、A社協がソーシャルワーク実践の対象としたのは、ミクロシステムとマクロシステムの2つということになる。

この問題のテーマは、㊱問92、㉞問95、㉜問106で出題されているが、本問は事例の中から、ソーシャルワーク実践の対象となっているシステムを選択させるものであり、過去に出題された問題よりも難易度が高い。

ミクロレベル:直接援助の対象である個人と家族への介入。
メゾレベル:家族ほど親密ではないが、グループや学校・職場・近隣など有意義な対人関係があるレベルで、クライエントに直接、影響するシステムの変容をめざす介入。
マクロレベル:対面での直接サービス提供ではなく、社会問題に対するための社会計画や地域組織化。

※「ソーシャルワーク実習指導・実習のための教育ガイドライン(2021年8月改訂版)」p33から引用

問題 114 事例を読んで、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のBさんへのアドボカシーを意図した最初の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
脳卒中で4か月入院しているBさん(83歳)は、現在は本人の意思を確認することが困難である。看取りの場を検討するにあたり、妻は可能な限り一緒に過ごしたいため、自宅退院を希望している。しかし、医師や看護師は、心臓に持病を持つ妻の自宅での介護は大変ではないかと妻に伝えた。その後、妻は、看取りの場について相談するために、医療相談室に来室した。Aは、Bさんが病気で入院する前に、看取りの場についてBさんと妻で話し合ったことがあるという話を聞いていた。

1 妻に対して、自宅退院に向けて利用可能な介護サービスについて説明する。
2 医師や看護師が心配する介護負担と妻の病状について、妻の考えを確認する。
3 妻の希望は自宅退院であることを、Aから医師と看護師に再度伝える。
4 妻に対して、Bさんはどこで最期を迎えたいと言っておられましたかと尋ねる。
5 妻に対して、看取りの場としての緩和ケア病棟の機能について説明する。

1は×である。
事例からは、看取りの場について、Bが妻と話し合ったことがあることはわかるが、Bの意思がどのようなものであったかについては、触れられていない。そこを確認せずに、自宅退院に向けて介護サービスの説明をすることは、Bへのアドボカシーを意図した対応とはいえない。
2は×である。
介護負担について、妻の考えを確認することは、Bへのアドボカシーを意図した対応とはいえない。
3は×である。
ここに書かれているのは、Bの妻へのアドボカシーを意図した対応である。
4は〇である。
現在、B本人の意思を確認することは困難な状況にあるので、Bが病気で入院する前に、看取りの場についてBが妻と話し合った内容を聞くことは、Bのアドボカシーを意図した最初の対応として、最も適切なものといえる。
5は×である。
Bの意思を検討することなく、看取りの場としての緩和ケア病棟の機能について説明することは、Bへのアドボカシーを意図した対応とはいえない。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
問われているのは、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の「Bさんへのアドボカシーを意図した最初の対応」として最も適切なものである。

現在、B本人の意思を核にすることが難しいことから、Bのアドボカシーを意図した行動をするには、Bが意思を表明できたときに、どのように考えていたか、どのような思いを持っていたのかを探っていくしかない。
A医療ソーシャルワーカーがBの意思を探求するために関係者に話を聞くことは、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年(平成30年)改訂版)」(厚生労働省)に沿った対応といえる。㊱問76参照。

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