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17.相談援助の理論と方法(R3年-第34回)2/3

問題106 事例を読んで,V児童養護施設のK児童指導員(社会福祉士)による退所時の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Lさん(18 歳)は 5 歳の時に父親が亡くなり,その後,母親と二人で暮らしていた。母親は生活に追われ,Lさんへのネグレクトが継続したことから,児童相談所が介入し,翌年,LさんはV児童養護施設に入所した。そして,Lさんが 10 歳の時に母親は再婚し,相手の子を出産した後も,Lさんを引き取ることなく疎遠になった。Lさんは今春,高校を卒業することになり,V児童養護施設の退所者が多く就職している事業所に就職が決まったため,施設を退所することになった。退所に際して,LさんにK児童指導員が面接を行った。 1 退所後は人に頼ることなく,自ら問題を解決するように伝える。 2 退所後に相談があるときは,児童相談所に行くように伝える。 3 職場での自律的な人間関係を尊重するため,施設から職場には連絡を取らないと伝える。 4 施設が定期的に行っている交流会への参加を促す。 5 母親のことは,あてにせず関わらないように伝える。   サービス問題と言えます。間違えると痛い。 1:終結後もフォローアップ体制を整えておき, 必要に応じた援助を行うことが求められる。 2:1と同様な理由で、児童養護施設もフォローアップ体制を整えておくべきである。 3:一般論としては間違っていないかもしれないが、あえてこのようなことを言う必要もないと思われる。もし、迷うようなら△にして次に進む。 4:適切。退所後も施設が定期的に行っている交流会に参加してもらうことにより、フォローアップ体制を整えておくのが適切である。 5:Lが母親にどのような感情を抱いているのかは、簡単にわかるものではない。

【正解4】

問題107 事例検討会進行の際の留意点に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 事例提供者の心理状態や気持ちにも配慮しながら進行する。 2 検討の際,参加者の個人的な体験に基づいて検討するよう促す。 3 終了時刻が近づいてきても,検討が熱心に続いているのであれば,終了時刻を気 にせず検討を継続する。 4 検討の論点のずれの修正は,参加者に委ねる。 5 経験の長さと発言の長さが比例するように話を振り,時間配分する。   事例検討会を進行する立場で考えてみれば、自ずと選択肢は絞られてくるはずである。 1:適切。きわめて常識的で的を得た内容といえる。 2:参加者の個人的な体験に基づいて検討するだけでは、事例から得られた知見を一般化、抽象化して他の事例に応用することが難しくなる。 3:終了時刻を意識して、進行することも求められている。 4:検討の論点のずれにつていは、進行する者も一緒に考えて修正していくことが求められる。 5:ケースバイケースで、臨機応変に対処するのがよいと思われる。

【正解1】

問題108 相談援助の面接を展開するための技法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 言い換えとは,クライエントの語りに意識を集中させ,感情を感じながら積極的に耳を傾けることである。 2 感情の反射とは,クライエントが答える内容を限定せずに自由に述べられるように問い掛けることである。 3 傾聴とは,クライエントの感情に焦点を当て,クライエントが語った感情をそのまま返していくことである。 4 焦点化とは,複雑に絡み合う多くの現実の要素をクライエントと一緒に点検して整理することである。 5 開かれた質問とは,クライエントの話した事実や感情を簡潔に別の言葉に置き換えて伝え返すことである。   専門用語として出てきていますが、一般的な言葉の解釈でも十分答えは出せます。 1:言い換えとは,クライエントの話した事実や感情を簡潔に別の言葉に置き換えて伝え返すこと。 2:感情の反射とは,クライエントの感情に焦点を当て,クライエントが語った感情をそのまま返していくこと。 3:傾聴とは,クライエントの語りに意識を集中させ,感情を感じながら積極的に耳を傾けること。 4:適切 5:開かれた質問とは,クライエントが答える内容を限定せずに自由に述べられるように問い掛けること。

【正解4】

問題109 ケアマネジメントの意義や目的に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。 1 複数のサービス事業者が支援を行うため,ケアマネジャーのモニタリング業務が省略できる。 2 幅広い生活課題に対応するため,身体面,精神面だけでなく,住環境や家族関係など多面的にアセスメントを行う。 3 住み慣れた地域で長く生活が続けられるようにするため,身近な資源を活用・調整する。 4 家族の望みどおりのケアプランが作成されるため,利用者の満足度が高くなる。 5 標準化されたケアプランを選択すればよいため,利用者の負担軽減になる。   ケアマネ経験者等には簡単な問題。ケアマネ以外の人も概ね解ける問題です。 1:ちょっと考えられない。 2:適切 3:適切 4:家族の意向を無視するわけではありませんが、基本は利用者本人の希望が重要です。 5:ちょっと考えられない。

【正解2,3】

問題110 相談援助における社会資源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 フォーマルな社会資源の提供主体には,社会福祉法人も含まれる。 2 クライエント本人の家族などは,活用する社会資源に含まれない。 3 インフォーマルな社会資源はフォーマルな社会資源に比べ,クライエントの個別的な状況に対しての融通性に乏しい。 4 クライエント自身の問題解決能力を高めるために,社会資源の活用を控える。 5 社会資源の活用においては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。   ちょっと分かりにくい、問題なので迷った人もいたかもしれません。 1:適切。社会福祉法人は営利企業とは違う位置付けの法人であることは確かですが、フォーマルの主体を行政と考えている人もいるような気もします。 2:家族も社会資源と考える。 3:インフォーマルの方が融通性がある。 4:ちょっと考えられない。 5:地域包括ケアシステムは、財源の問題でもあると感じている人は多いと思います。公助や共助よりも互助を推進している雰囲気もありますが、原則は「適切な社会資源の活用」です。5で迷った人もいたかもしれませんね。

【正解1】

問題 111 グループワークの展開過程におけるソーシャルワーカーの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 準備期では,情報収集のため,メンバーを一つのグループとして集め,活動を開始する。 2 開始期では,援助の枠組みを明確にする必要がないので,メンバーの行動に対して制限を加えることは避ける。 3 作業期では,メンバーを同化させ,メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。 4 作業期では,メンバーがソーシャルワーカーの指示に従って,目標達成に向けて課題に取り組んでいけるよう促す。 5 終結期では,メンバーがグループ体験を振り返り,感情を分かち合えるように援助する。   この問題も何となく解ける問題。 1:準備期に活動を開始するというのは変です。 2:開始期に援助の枠組みを明確にしないと何をして良いか分からない。 3:メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助するのではなく、集団独特の行動の仕方や物の考え方を踏まえ、メンバー個人の具体的な目標を明らかにする。 4:基本的に、ソーシャルワーカーは指示を出す専門職ではありません。 5:適切

【正解5】

問題112 グループワークにおけるグループの相互作用に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 グループのメンバー同士の相互作用が促進されるにつれ,グループ規範は消滅していく。 2 サブグループが構成されると,サブグループ内のメンバー同士の相互作用は減少する。 3 グループのメンバー同士の関係性が固定的であるほど,グループの相互援助システムは形成されやすい。 4 同調圧力によって,メンバー同士の自由な相互作用が促進される。 5 グループの凝集性が高まると,メンバーのグループへの所属意識は強くなる。   何となくできる問題。 1:ちょっと考えられない。 2:ちょっと考えられない。 3:メンバーが固定的と読み間違えると、マークした人もいるかもしれない。 4:同調圧力と自由は、反対語と言っても良いと思います。 5:適切

【正解5】

問題113 事例を読んで,R市役所のM婦人相談員(社会福祉士)による部下のA婦人相談員(社会福祉士)に対するスーパービジョンとして,適切なものを 2つ選びなさい。 〔事 例〕 R市役所で働き始めて 2 年目のA婦人相談員は,ある日,Bさん(19 歳,女性)からの相談を受けた。Bさんは親からの金銭的搾取と暴言が耐えられず, 1 年前に家出をし,繁華街の飲食店で仕事をしてきた。しかし,先月,勤め先が倒産して仕事を失い,生活に困窮しているという。また,同居人からの暴力があり,家に居づらく,気持ちが沈み,以前のように活動的に生活できないという。A婦人相談員は,Bさんからの相談内容が多岐にわたり,援助をどのように進めていくべきか決めるのが難しいと感じていた。そこで,職場のM婦人相談員にスーパービジョンを求めた。 1 A婦人相談員にもっと気楽に仕事をするよう助言する。 2 連携するべき関係機関を共に確認し,A婦人相談員が連絡するよう促す。 3 Bさんのアセスメントを行い,援助内容を決めて,A婦人相談員に伝える。 4 A婦人相談員の業務遂行が組織の指針に沿ったものかについて,専門家に相談するよう提案する。 5 A婦人相談員による実際の面接場面やアセスメントを,ジェノグラム等の記載や記録を通し,共に振り返る。   スーパービジョンという用語は少し曖昧なところがある様に感じます。明確な定義があるというよりは、人により微妙な違いがある様に思います。そういう難しさはありますが、この問題も概ね解けるのではないでしょうか。 1:このような助言は実際にあるかもしれないが、スーパービジョンとして適切なものとはいえない。 2:適切。教育的機能と管理的機能を有しており、スーパービジョンとして適切なものである。 3:Mが自らアセスメントを行い、援助内容を決めることはスーパービジョンとして適切なものとはいえない。 4:A婦人相談員の業務遂行が組織の指針に沿ったものかについて、共に考えたり助言するのではなく、単に専門家に相談するよう提案することは、スーパービジョンとして適切なものとはいえない。 5:適切。教育的機能を有しており、スーパービジョンとして適切なものである。

【正解2,5】

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