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15.相談援助の基盤と専門職(R3年-第34回)

問題 91 社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士と,精神保健福祉士法における精神保健福祉士に関する次の記述のうち,これらの法律に明記されている共通する責務として,正しいものを 1つ選びなさい。 1 集団的責任の保持 2 権利擁護の促進 3 多様性の尊重 4 資質向上 5 倫理綱領の遵守   1以外はどれもありそうな感じです。間違えた人は必ず確認しておきましょう。 これは知らないと解きにくい問題といえる。設問の法律に明記されている共通する責務の資質向上である(社会福祉士及び介護福祉士法47条の2、精神保健福祉士法41条の2)。 この科目は常識で何とかなると思っていた受験生の中には面食らった人もいるのではないだろうか。 出だしの問題でつまずいても尾を引かないように気をつけよう。

【正解4】

問題92 ソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する次 の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 ホリス(Hollis, F.)は,「状況の中の人」という視点で,心理社会的アプローチを提唱した。 2 トール(Towle, C.)は,「ケースワークは死んだ」という論文を発表し,社会問題へ目を向けることを提唱した。 3 パールマン(Perlman, H.)は,社会的要因が心理的要因に従属させられていると指摘し,両者の再統合を提唱した。 4 ロビンソン(Robinson, V.)は,内的な特徴と外的な特徴を統合させて人間を理解することを提唱した。 5 ハミルトン(Hamilton, G.)は,社会科学とのつながりを意識して,「リッチモンドに帰れ」と原点回帰を提唱した。   人名と理論の問題です。覚えていない人はマークをして次に進もう。 知識がないと解くのは困難である。【ホリス―状況の中の人-心理社会的アプローチ】は過去問で問われており、正解できた人の多くは積極法で1を選んだのではないかと思われる。 ちなみに、選択肢2のケースワークは死んだ、はパールマンの言葉で、選択肢5のリッチモンドに帰れ、はマイルズの言葉です。

【正解1】

問題93 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」 (2018 年(平成 30 年)(厚生労働省))と「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2017 年(平成 29 年)(厚生労働省))における意思決定支援に関 する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 認知症の人の意思決定支援では,家族は本人と利害が対立することがあることから,意思決定支援チームの一員に入らないこととされている。 2 認知症の人の意思決定支援では,本人が実際の経験をすると本人の意思が変わることがあるので,体験利用などの提案は控えた方がよいとされている。 3 障害者の意思決定支援では,それに必要な情報の説明は本人が理解できるように工夫して行い,自己決定の尊重に基づくことが基本的原則である。 4 障害者の意思決定支援では,職員等の価値観においては不合理でも,また他者の権利を侵害する場合でも,その選択を実現する支援を行うことが基本的原則である。 5 障害者の意思決定支援では,本人の自己決定や意思確認の前に,本人をよく知る関係者が集まり,本人の意思を推定する支援を行うことが基本的原則である。   この二つのガイドラインを正確に記憶している人はいないと思います。従って、選択肢の記述内容から適切なものを選べるかという問題です。 1:家族をチームの一員にしないという一択はあり得ません。 2:体験利用は控えた方がよい、とは考えにくい。 3:適切 4:本人の意思の尊重は基本ですが、他者の権利を侵害する場合は例外になり得ます。 5:全否定できる内容ではありませんが、意思決定支援の本質とは違います。

【正解3】

問題94 ソーシャルワークの専門職化に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 1 ミラーソン(Millerson, G.)は,職業発展の過程から,ソーシャルワーク専門職が成立するプロセスを提示した。 2 グリーンウッド(Greenwood, E.)は,既に確立している専門職と,ソーシャルワーカーを比較することによって,準専門職の概念を提示した。 3 カー-ソンダース(Carr-Saunders, A.)は,専門職が成立する属性を挙げ,その中でテストによる能力証明の必要性を主張した。 4 エツィオーニ(Etzioni, A.)は,専門職が成立する属性を挙げ,その中で専門職的権威の必要性を主張した。 5 フレックスナー(Flexner, A.)は,専門職が成立する属性を挙げ,ソーシャルワークがいまだ専門職とはいえないことを主張した。   人名と理論の問題です。このような問題に対処する一番の方法は、自分でエクセル表みたいなものを作ることだと思います。 1:職業発展の過程から、ソーシャルワーク専門職が成立するプロセスを提示したのは、カーソンダース(Carr-Saunders, A.)です。 2:準専門職の概念を提示したのは、エツィオーニ(Etzioni, A.)です。 3:テストによる能力証明の必要性を主張したのは、ミラーソン(Millerson, G.)です。 4:専門職的権威の必要性を主張したのは、グリーンウッド(Greenwood, E.)です。 5:適切

【正解5】

問題95 事例を読んで,Y病院のC医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行う介入レベルごとのソーシャルワーク実践として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Q政令指定都市の拠点病院であるY病院には,患者サポートセンターがあり,そこには複数の社会福祉士が配置されている。患者サポートセンターでは,ここ数年,身寄りのない患者の退院支援に取り組んできたが,その数は増加傾向にある。そこでC医療ソーシャルワーカーは,増加傾向にあるこうした患者に対する総合的かつ包括的な援助活動や,支援体制の構築に向けた活動を行うこととした。 1 ミクロレベルの介入として,民生委員児童委員協議会に,身寄りのない患者が増加している問題を訴える。 2 ミクロレベルの介入として,Q市と福祉事務所との総合的な連携の在り方について協議する。 3 メゾレベルの介入として,身寄りのない患者との詳細なアセスメント面接を行う。 4 メゾレベルの介入として,病院内に対策検討委員会を設置することを提案する。 5 メゾレベルの介入として,退院の際,個別に日常生活自立支援事業の活用を提案する。   介入レベルには、ミクロ、メゾ、マクロとあります。ミクロは、個人や家族に関わるもの。メゾは集団に関わるもの。マクロは、地域社会に関わるもの。 1:メゾ 2:メゾ 3:ミクロ 4:適切 5:ミクロ

【正解4】

問題96 社会福祉士が参加する多職種等によって形成されるチーム(以下「多職種チーム」という。)に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 多職種チームを構成する他の専門職の文化や価値を理解する。 2 多職種チームのメンバーには,利用者を含めてはならない。 3 多職種チームでは,メンバーが同一の施設や機関に所属している必要がある。 4 多職種チームを機能させるために,社会福祉士がリーダーとなりヒエラルヒーを構成する。 5 多職種チームでは,チームの方針・目標の設定よりも,社会福祉士としての独自の方針や目標設定を優先する。   サービス問題です。これを間違えると痛い。 1:適切 2:多職種チームのメンバーに利用者を含めることに問題はない。むしろチームの中心にいるべき存在ともいえる。 3:メンバーが同一の施設や機関に所属している必要はない。このような制約があるとしたら、多職種チームの形成そのものが困難となってしまう場合が多いであろう。 4:常にリーダーが社会福祉士である必要はない。 5:多職種チームでは、チームの方針•目標の設定を優先する。

【正解1】

問題97 事例を読んで,生活困窮者を対象とした自立相談支援機関で相談に当たっているD相談支援員(社会福祉士)のこの段階における対応として,適切なものを2つ選びなさい。 〔事 例〕 Eさん(45 歳,女性)から相談窓口に,「毎日不安でたまらない。どうしたらよいか」という電話があり,その結果,来所面接となった。Eさんは独身で,兄弟はおらず,両親を 15 年前に相次いで亡くしている。高校卒業後,様々なパートタイムの勤務をしたが長続きはせず,現在は失業中である。軽度のうつ病のため通院しており,主治医からは時間をかけて治療していきましょうと言われている。 両親の没後,古い家を相続して住んではいるが,一時,収入があると,物を購入することがやめられず,家中が物で溢れている。既に,手持ちの資金が底をついており,就労を考えたこともあるが,勤務先でのつらい体験が思い浮かび,何事をするにも自信が持てない。また,友人など周囲に相談できる人はほとんどおらず,孤立感を感じている。 1 生活困窮者一時生活支援事業の利用を勧める。 2 生活福祉資金貸付制度の利用を勧める。 3 債務処理に詳しい司法の専門家と連携を取る。 4 Eさんの症状を把握するため,Eさんの了解を得て,通院先の病院と連携を取る。 5 地域での孤立感を軽減するため積極的にボランティア活動へ参加することを提案する。   まずは事例をきちんと読んで、Eの状況を把握する。それがきちんとできれば、3,4,5の正誤は判断できる。 1:生活困窮者一時生活支援事業は、住居のない生活困窮者、現在の住居を失うおそれのある生活困窮者等が対象であるため適さない。 2:適切 3:債務処理の段階ではありません。 4:適切 5:孤立感はありますが、経済的な問題もあることを考えるとボランティア活動が適切とは言えないと思います。

【正解2,4】

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