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14.社会調査の基礎(R3年-第34回)

問題84 社会調査の倫理や個人情報保護に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 施設職員を調査対象者にして,福祉サービスの一般的な苦情対応に関する調査を実施する際に,施設職員は調査に協力する義務があると依頼状に明記した。 2 調査者が,研究目的で住民基本台帳から作成した調査対象者の住所リストを,調査終了後に自分の主催する介護予防啓発イベントの案内状の郵送に利用した。 3 質問紙調査の回答の仕方で分からない箇所があるので教えて欲しいという調査対象者からの問合せに,調査対象者全体への公平性に欠けるため説明を控えた。 4 面接調査の音声データから記録を作成する際,調査対象者の名前や面接の中で出てきた人名を,アルファベット順に記号化した。 5 面接調査終了後,調査対象者 1 名から協力辞退の申出があったため,その調査対象者のデータについて年齢と所属を書き換えてから分析に利用した。   迷うとしたら3と4です。後の選択肢は消去できると思います。 1:義務ではありません。 2:個人情報の目的外使用です。 3:全ての質問に答えては駄目というわけではありません。 4:適切 5:これはデータの改ざんですね。

【正解4】

問題85 横断調査と縦断調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 同一の調査票を使って,昨年はN県,今年はP県で量的調査を実施することは,パネル調査に当たる。 2 横断調査と縦断調査の違いは,調査地域の広さや調査対象者数などといった調査の規模が異なることによる。 3 パネル調査では,調査を重ねるごとに調査対象者が増加する傾向がある。 4 出生時期を同じくする集団を調査対象にして,複数の時期に調査を行うことは,縦断調査に含まれる。 5 縦断調査のデータ分析は,横断調査に比べて,二つの変数間で原因と結果という因果関係を推論することには適していない。   まずは、横断調査と縦断調査の違いをおさえる。パネル調査のパネルは持つ板状のものを指すのではなく、パネラー(人)と関係があります。 1:昨年と今年で場所が違うので、パネラー(継続的な調査対象者)は存在しないことになります。従って、パネル調査ではありません。 2:横断調査と縦断調査の違いは,規模によるのではなく、時間軸です。横断調査は一時点での調査、縦断調査はパネラーに日時や年を違えて継続的に調査をします。 3:パネル調査はパネラー(継続的な調査対象者)に対して行います。ということは、増えることはなく、死亡などにより減ることはあるということです。 4:適切 5:反対です。縦断調査が原因と結果を調べるのに適しています。横断調査は、原因と結果は分かりません。

【正解4】

問題86 質問紙調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 インターネット調査は,自計式であるため,調査コストを抑えることができる。 2 留置調査は,他計式であるため,調査対象者以外の者が回答することを回避できる。 3 郵送調査は,他計式であるため,調査対象者の匿名性が確保されにくい。 4 電話調査は,自計式であるため,質問数が多い調査に向いている。 5 訪問面接調査は,自計式であるため,調査者の態度が調査対象者の回答に与える影響を抑制できる。   言葉の感じから解くことができると思います。 1:適切 2:留置調査は,自計式です。また、調査対象者以外の者が回答する可能性もあります。 3:郵送調査は,自計式です。また、匿名性は比較的高いと思います。 4:電話調査は,他計式です。また、質問数が多い調査に向いているとは思えません。 5:訪問面接調査は,他計式です。また、面接ですので調査者の態度が影響を与えそうです。

【正解1】

問題87 調査票の回収後の手続に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1  1 問も回答されていない状態の調査票であっても,有効回答に含める。 2 調査票の数が非常に多い場合,個別の調査票ごとの誤記入や回答漏れの確認は必ずしも必要ではない。 3 自由回答のデータ化では,事前に用意したコード表に該当するものがない場合,新たにコードを追加することはできない。 4 調査票の中に,それまでの回答から判断して回答が矛盾していると明確に確認できる箇所があっても,調査者は修正を加えることはできない。 5 データ分析をする前に,データに入力の誤り等が含まれていないかを確認するため,予備的に集計しチェックする必要がある。   答えの出し方が難しい。 1:不適切となっている。しかし、調査数の母数として含めるかどうかを考える場合はどうなのか・・・ 2:誤記入や回答漏れの確認は必ずしも必要ではないということはない。 3:自由回答という趣旨から、事前に用意できないコードはあるはずなので、追加は可能と考える。 4:回答が矛盾していると明確に確認できるという表現から、修正を加えることができないとは言えない。 5:適切

【正解5】

問題88 事例を読んで,集計結果に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Xデイサービスでは,本日 9 名の参加者が来所して交流を行い,心身機能の維持のための活動を行った。 参加者は,男性が 65 歳,68 歳,72 歳の 3 名であり,女性が 65 歳,65 歳,66 歳,67 歳,70 歳,77 歳の 6 名である。 1 参加者全体の年齢の中央値は 65 である。 2 男性参加者の年齢の分散は,女性参加者の年齢の分散より大きい。 3 男性参加者と女性参加者の年齢の最小値は異なる。 4 女性参加者の年齢の最頻値は 77 である。 5 参加者全体の年齢の範囲は 12 である。   読めばできる問題です。落とすと痛い。 1:中央値は真ん中の数です。全体は65,66,67,68,70,72,77で中央値は68です。少なくとも65が中央値でないことは分かると思います。 2:分散とは数値データのばらつき具合を表すための指標です。数式にすると難しく感じますが、単純に見て女性の分散が大きいだろうと思えます。 3:男女とも年齢の最小値は65です。 4:最頻値とは、データ上で最も出てくる頻度が高い数値です。女性参加者の年齢の最頻値は65です。 5:正しい

【正解5】

問題89 調査手法としての観察法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 マジックミラー(ワンウェイミラー)を使った観察を行ってはならない。 2 調査者が,調査対象とする集団や地域社会に入り込み,人々と活動や生活を共にしながら,データ収集をすることもある。 3 実験室のような人工的な環境を作り,その中を観察して調査することはしない。 4 調査対象者の生活に関わる日記や写真を質的データとして扱うことはない。 5 客観的データを収集するためには,調査者は調査対象者とオーバーラポールになる必要がある。   観察法については、㉝-問90でも出題されている。前年に出ているからといって油断できない。 1:マジックミラー(ワンウェイミラー)を使った観察も行われる。この場合、完全なる観察者となる。 2:適切。設問のような観察法をアクションリサーチという。アクションリサーチンについては、㉘-問89で正面から出題されているが、選択肢の一つとして過去問に何度か登場している(㉛-問84など)。 3:設問のような調査を統制的観察法という。 4:調査対象者の生活に関わる日記や写真を質的データとして扱うこともある。 5:客観的データを収集するためには、オーバーラポールになるべきではない。オーバーラポールはあまり聞き慣れない用語だが、度を超えたラポール形成の状態と推測できる。

【正解2】

問題90 調査手法としての面接法に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 1 面接調査の質問項目が構造化されているほど,調査者に高度な面接能力が必要とされる。 2 グループインタビューでは,調査対象者同士が相互に影響を与えることを防ぐために,調査者は一人ずつの調査対象者に対して順に質問し回答を得る。 3 半構造化面接では質問項目を事前に用意し,いつ,どの順番で質問を行うかを面接中に調査者が判断する。 4 非構造化面接では,予想される調査対象者の回答を「イエス」「ノー」で記入できるシートを作成する。 5 録音データを分析する場合は,調査者が面接中に最も重要と判断した部分を要約して逐語記録を作成する。   構造化、半構造化、非構造化を整理しよう。 1:構造化面接とはあらかじめ質問事項と評価基準を設定しておき、マニュアルに従って面接を実施する面接手法ですので、構造化されるほど高度な面接能力が必要というのは反対方向です。 2:グループインタビューでは、調査対象者に自由に発言してもらいます。 3:適切。半構造化面接とは構造化面接と非構造化面接の中間とも言える面接方法で、最初は決めておいた質問を行いますが、その後は状況に応じて面接官が自身の裁量によって質問を行います。 4:非構造化面接とは調査対象者の反応に応じて調査者が自由に質問を投げかける面接方法です。 5:調査者が判断した部分というのは変です。

【正解3】

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