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13.社会福祉(H31年-前期)1/4

問1  次の文は、社会福祉の概念等に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 「生活保護法」の第1条には、「社会福祉法の理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障すること」が、定められている。 B 「母子及び父子並びに寡婦福祉法」の第1条には、「母子家庭等及び寡婦に対し、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もつて母子家庭等及び寡婦の福祉を図ること」が、定められている。 C 「身体障害者福祉法」の第1条には、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ること」が、定められている。 D 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第1条には、「その社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めること」が、定められている。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○  ○  ×  × 2 ○  ×  ○  ○ 3 ○  ×  ○  × 4 ×  ○  ○  ○ 5 ×  ○  ×  ○   法律の問題です。 A生活保護法社会福祉法は同じ法律です。法律が制定される場合、同じ位置にあるものの理念に基づくということはありません。~の理念に基づいて制定されるとするなら、法律よりも上位にあるものです。つまり、憲法か条約以外ありません。生活保護法の場合は、言うまでもなく憲法です。憲法第25条が生活保護法の根拠条文ということも有名な話しですので、併せて覚えましょう。 生活保護法 第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 Bひっかけ問題です。法律の名称から父子がないことをおかしいと思うかもしれませんが、第1条には父子という言葉は出てきません。 母子及び父子並びに寡婦福祉法 第一条 この法律は、母子家庭等及び寡婦の福祉に関する原理を明らかにするとともに、母子家庭等及び寡婦に対し、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もつて母子家庭等及び寡婦の福祉を図ることを目的とする。 この法律は、2014年(平成26年)の法改正までは「母子及び寡婦福祉法」という名称でした。この名残りがあるのかもしれませんし、父子家庭よりも母子家庭の年収が少ないという現実もあるため、意図的に父子を入れていないのかもしれませんね。 Cぱっと見て間違いではなさそうです。 身体障害者福祉法 第一条 この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。 Aと同様に他の法令との関係についての規定もあります。「相まって」と表現されており、法令に上下関係がないことが分ります。 DこれもC同様ぱっと見て間違いはなさそうです。 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第一条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。 この法律にも障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律と相まってという規定があります。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス 障害者に関する法律の簡便な理解ですが、次のような整理をすると理解しやすいと思います。 障害者基本法⇒障害者に対する理念や施策 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法などの各種法律⇒各々該当する障害者についての細目 障害者総合支援法⇒障害者等が利用する主なサービスなどについて 加えて、虐待、雇用など個別の事案についての法律があります。

【正解4】

問2  次の文は、子育て世帯の支援の施策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A ファミリー・サポート・センターのサービス提供会員は、子育てを支援するボランティアであり、報酬を受け取らない。 B 子育て支援の専門職として、保育所に家庭支援専門相談員を配置しなければならない。 C いじめ、不登校、暴力行為などの問題を抱える児童生徒の課題解決を図るため、学校等にスクールソーシャルワーカーの配置が進んでいる。 D 子育て支援を強化するために、福祉事務所に子育て支援員の配置が進んでいる。 (組み合わせ) A B C D 1 ○  ○  ○  ○ 2 ○  ○  ×  ○ 3 ○  ×  ×  ○ 4 ×  ○  ○  × 5 ×  ×  ○  ×   問1と関係がありますので、子ども・若者育成支援推進法の第一条を載せておきます。 子ども・若者育成支援推進法 第一条 この法律は、子ども・若者が次代の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子ども・若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子ども・若者の健やかな育成、子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組(以下「子ども・若者育成支援」という。)について、その基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めるとともに、子ども・若者育成支援推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な子ども・若者育成支援のための施策(以下「子ども・若者育成支援施策」という。)を推進することを目的とする。 子ども・若者育成支援推進法の規定では、問1の生活保護法に関する問題で、理念についてのこと、障害者総合支援法に関して相まってという規定があったことと同様の規定がありますので、確認しておきましょう。上位の法令等と同等の法律について引用する場合の表現です。 Aファミリーサポートは有料です。ただ、会員間で行う相互援助活動であるため、最低賃金法などの適用はありません。 B家庭支援専門相談員は、児童相談所との密接な連携のもと、入所児童の早期家庭復帰、里親委託等を目的として相談・指導を行います。乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に配置が義務づけられています。保育所には配置義務はありません。 Cスクールソーシャルワーカーについては、学校への配置が進んでおり福祉関係者以外にも知られる存在になっていると思われます。 D子育て支援員とは、子育て支援の分野で働く上で必要な知識や技術等を修得したと認められる方です。福祉事務所に配置が進んでいるわけではありません。基本的な性格は、保育の現場では保育士の補助者、放課後児童の現場では放課後児童支援員の補助者、施設においては施設現業員の補助者という役割です。

【正解5】

問3  次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 「平成 28 年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は、200 万円以下である。 B 「平成 28 年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の平均年間収入は、児童のいる世帯の平均所得を 100 として比較すると、50 を割っている。 C 生活保護を受給している父子家庭は、母子加算を受けることができない。 D ひとり親家庭の児童に対する母子家庭生活向上事業(ひとり親家庭等生活向上事業)には、児童に対する学習に関する支援を行う事業が認められている。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○  ○  ○  ○ 2 ○  ○  ×  ○ 3 ○  ×  ×  ○ 4 ×  ○  ○  × 5 ×  ×  ○  ×   Cの母子加算は父子家庭も受け取ることができます。 ちょっと紛らわしいですね。これとは逆に、母子生活支援施設に父子は入所できません。整理して覚えましょう。 後のA、B、Dはその通りです。

【正解2】

問4  次のうち、「社会福祉法」に定められているものを○、定められていないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 社会福祉協議会 B 障害者差別解消支援地域協議会 C 共同募金会 (組み合わせ)   A B C 1 ○  ○  ○ 2 ○  ○  × 3 ○  ×  ○ 4 ×  ○  ○ 5 ×  ×  ×   社会福祉法の問題です。 A 社会福祉法は2000年の改正までは社会福祉事業法という名称でした。社会福祉協議会のことは、社会福祉法第百九条~第百十一条に規定があります。 B 障害者差別解消支援地域協議会は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第十七条に規定があります。 C 共同募金会は、社会福祉法第百十三条に規定があります。

【正解3】

問5  次の文は、国民年金制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 保険料の支払い期間は、20 歳から 70 歳未満である。(任意加入被保険者を除く) B 20 歳以上の大学生は、本来は保険料を支払う義務を負うが、学生納付特例制度によって、在学期間の納付が免除される。 C 遺族基礎年金は、子どもの有無に関わらずに支給される。 D 障害者が障害年金を受給するためには、原則として事前の保険料拠出を必要とするが、国民年金に加入する 20 歳前に障害を持った場合はこの限りではない。 (組み合わせ)   A B C D 1 ○  ○  ○  ○ 2 ○  ○  ×  ○ 3 ○  ×  ○  × 4 ×  ○  ○  × 5 ×  ×  ×  ○   試験センターの答えは5となっていますが、選択肢Bは必ずしも間違いとは言えません。 確かに、学生納付特例制度により納付が免除されるためには、申請と本人の所得が一定以下であることが必要です。または、日本年金機構のホームページでは、納付の免除ではなく猶予という表現になっている為、免除と猶予は厳密には違うというニュアンスで選択肢Bを間違いにしたのかもしれませんが。  A国民年金の保険料の支払い期間は、20歳~60歳です。 B申請をすれば一定以下の収入(118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)の場合、在学期間の納付が免除される。 C年金は、保険者により国民年金と厚生年金に分けられます。また、支給事由により分けると老齢、障害、死亡となります。つまり、細かなものを除くと、保険者2×支給事由3=6種類あると考えましょう。また、誰に支給されるかという観点からは、老齢、障害は本人、死亡は本人以外(遺族)に分かれます。遺族基礎年金とは、国民年金の死亡を事由として支給されるものですが、厚生年金の遺族厚生年金と違い対象となる遺族は、子か子のある配偶者(実際はもう少し細かな決まりがある)です。遺族厚生年金の場合は、子がなくとも配偶者には支給されます。  D保険金(保険給付)は通常、保険加入者(被保険者)であり保険料を支払っているものに支給されますが、支払義務到来前の障害については例外として支給されます。 

【正解5】

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