お知らせnews

13.権利擁護と成年後見制度(R3年-第34回)

問題77 行政行為の効力に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,取り消されるまでは,その行政行為の効果は否定されない。 2 行政行為の無効確認訴訟の出訴期間は,一定期間に制限されている。 3 行政行為の効力は,国家賠償請求訴訟によっても取り消すことができる。 4 行政庁は,審査請求に対する裁決など,判決と似た効果を生ずる行政行為であっても,自ら違法であると気付いたときは,職権で取り消すことができる。 5 行政庁は,税の滞納処分など,判決を得なくても強制執行をすることができる。   すべての選択肢の正誤を自信を持って答えられる人はほとんどいないと思います。5が正しいと思えるかどうかが分かれ道です。 1:行政の行為は、基本的には正しいことを前提にします。なぜなら、そうでなければ世の中が回りません。但し、重大かつ明白な瑕疵のある行政行為については別な扱いになります。 2:訴訟に時効はつきものですが、無効等確認の訴えは出訴期間経過後に行うものです。 3:国家賠償請求訴訟には、行政行為の取消し等に関する規定はありません。 4:審査請求は上級官庁に対して行うのが原則です。その審査請求において裁決が出たものを覆すようなことを職権で取り消すことはできません。 5:正しい

【正解5】

問題78 後見登記に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 任意後見契約は登記できない。 2 未成年後見は登記することができる。 3 保佐人に付与された代理権の範囲は登記できない。 4 自己が成年被後見人として登記されていない者は,登記官への請求に基づき,登記されていないことの証明書の交付を受けることができる。 5 誰でも,登記官への請求に基づき,成年後見人が記録された登記事項証明書の交付を受けることができる。   登記に関することは知らない人も多いかもしれません。 1:任意後見契約も登記されます。 2:未成年後見は登記されません。 3:保佐人に付与された代理権の範囲も登記されます。 4:正しい 5:登記事項証明書を取得できるのは、一定の限られた人になります。

【正解4】

問題79 次のうち,成年後見人になることができない者として,正しいものを1つ選びなさい。 1 兄弟姉妹 2 被保佐人 3 解任の審判を受けた補助人 4 本人の配偶者の成年後見人 5 社会福祉法人   民法にずばりの条文がありますので参考にしてください。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス (後見人の欠格事由) 第八百四十七条 次に掲げる者は、後見人となることができない。 一 未成年者 二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 三 破産者 四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族 五 行方の知れない者

【正解3】

問題 80 事例を読んで,任意後見契約に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事 例〕 Jさん(70 歳)は,将来に判断能力が低下して財産の管理がおろそかになることを心配し,S市社会福祉協議会の権利擁護センターに相談した。Jさんは,同センターの職員Kさんの助言を受け,親友のLさんを受任者として,任意後見契約に関する法律に従った任意後見契約を締結することにした。 1 任意後見契約は,社会福祉協議会の事務所において,公証人でなくても第三者の立会いがあれば締結することができる。 2 締結された任意後見契約の効力を生じさせる際,家庭裁判所は,必要がなければ,任意後見監督人を選任しない方法をとることができる。 3 締結された任意後見契約の効力を生じさせる際,Jさんからの推薦があれば,家庭裁判所は,推薦されたKさんを任意後見監督人として選任しなければならない。 4 任意後見契約が締結されたとしても,家庭裁判所は,請求があり,Jさんの利益のため特に必要があると認めるときは,後見開始の審判等をする。 5 任意後見契約に本人意思尊重義務の定めがある場合に限って,LさんはJさんの意思を尊重する義務を負う。   任意後見契約は公証役場で行う。任意後見契約は家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後に発効する。 1:公証人がいなければならない。 2:任意後見監督人を選任しないで任意後見契約の効力を生じさせることはできない。 3:任意後見監督人は家庭裁判所の職権で選任する。 4:適切 5:任意後見契約の契約内容に関わらず本人の意思の尊重は必要です。

【正解4】

問題 81 親権に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 成年年齢に達した学生である子の親は,その子が親の同意なく行った契約を,学生であることを理由に取り消すことができる。 2 父母が離婚し,子との面会交流について父母の協議が調わないときは,家庭裁判所がそれを定める。 3 父母が裁判上の離婚をする場合,家庭裁判所の判決により,離婚後も未成年者の親権を共同して行うことができる。 4 嫡出でない子を父が認知すれば,認知により直ちにその父がその子の親権者となる。 5 親にとって利益となるが子にとって不利益となる契約であっても,親は,その子を代理することができる。   子の利益を主眼にして考えましょう。 1:成年に達した場合、学生という理由で親が契約を取り消せるわけではありません。 2:正しい 3:どちらか一方が親権者になります。 4:ちょっと考えられない。 5:ちょっと考えられない。

【正解2】

問題82 事例を読んで,日常生活自立支援事業による支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Mさん(50 歳)は,軽度の知的障害があり,自宅で母親と二人で暮らしていたが,2か月前に母親が死去した。その後,Mさんは障害者支援施設の短期入所を利用していたが,共同生活援助(グループホーム)への転居が決まった。さらにMさんを担当するA相談支援専門員の助言で,T市社会福祉協議会が実施している日常生活自立支援事業の利用に至り,B専門員がその担当となった。 1 Mさんが日常生活自立支援事業の契約締結前に利用した短期入所の費用の支払を,Mさんとの利用契約に基づきB専門員が行うことができる。 2 Mさんの母親の遺産相続に関する法律行為をMさんに代わりB専門員が行うことができる。 3 Mさんの共同生活援助(グループホーム)入居後のB専門員による金銭管理の内容を,B専門員とA相談支援専門員との協議で決める。 4 共同生活援助(グループホーム)に入居するMさんについては,ホームの支援者による見守りが期待されるため,日常生活自立支援事業による訪問支援は行わないこととする。 5 Mさんの成年後見制度への移行を視野に入れ,日常生活自立支援事業の開始とともに直ちに関係機関との調整に入らなければならない。   なんとなく答えは出るのではないでしょうか。 1:適切 2:母親の遺産相続に関する法律行為は後見人等の権限がないと難しい。 3:本人を無視して良いはずがない。 4:グループホーム入居を理由に訪問支援を行わないと決めつけることは良くない。 5:遺産相続の問題がある為、現実的には成年後見人等の選任を視野に入れると思うが、直ちに調整に入るという部分が変です。

【正解1】

問題83 成年後見制度における市町村長の審判申立てに関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 市町村長が審判を申し立てない場合,都道府県知事が代わって審判を申し立てることができる。 2 「成年後見関係事件の概況(令和 2 年 1 月~12 月)」(最高裁判所事務総局家庭局) によると,「成年後見関係事件」の申立人の割合は,市町村長よりも配偶者の方が多い。 3 市町村長申立てにおいて,市町村長は,後見等の業務を適正に行うことができる者を家庭裁判所に推薦することができないとされている。 4 知的障害者福祉法に基づき,知的障害者の福祉を図るために特に必要があると認めるときは,市町村長が後見開始の審判等の申立てを行うことができる。 5 市町村長申立ては,後見開始及び保佐開始の審判に限られ,補助開始の審判は含まれないとされている。 (注)「成年後見関係事件」とは,後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件をいう。   成年後見制度は民法に基づく制度ですが、民法の条文には市町村長の申立てについての条文はありません。老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、知的障害者福祉法に民法の規定に基づき申立てをするという規定があります。 1:このような規定はありません。 2:市町村長→子→本人の順で申立てが多い。 3:このような規定はありません。 4:正しい 5:補助開始の審判の申立てもできます。

【正解4】

一覧に戻る