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12.福祉サービスの知識(R2年10月-第23回)3/3

問題 56 介護保険における認知症対応型共同生活介護について正しいものはどれか。2つ選べ。 1 事業所の立地場所については、園芸や農作業を行いやすい自然の豊かな場所でなくてはならない。 2 1つの共同生活住居の入居定員は、5人以上9人以下である。 3 複数の共同生活住居がある事業所の場合には、認知症対応型共同生活介護計画の作成担当者のうち1人は、介護支援専門員でなくてはならない。 4 認知症対応型共同生活介護計画を作成した期間についても、居宅サービス計画を作成しなければならない。 5 認知症対応型共同生活介護事業者は、提供するサービスの質について、定期的に外部評価を受けていれば、自己評価を行う必要はない。   認知症対応型共同生活介護とは、いわゆるグループホームのことである(これを知らない人は勉強の仕方を見直したほうがよい)。 難易度A 次の問題57の肢1は、本肢と似たような設問の作りになっている。   1はとてもよいことが書かれているが、立地場所を「自然の豊かな場所でなくてはならない」と義務付けるのはおかしいと感じて欲しい。 それでは都心部にはグループホームが作れないだろうと突っ込みをいれるのでもよい。実際に都心の集合住宅の1フロアがグループホームになっていることもある。1は×である。 2は自信がなければ△にして次に進む。 3はどうか。グループホームも介護保険上のサービスの一つであり、介護支援専門員が関わる必要性があることはわかるであろう。 内容的には〇の方向で考えてもよいと感じられる肢ではないだろうか。結論からいうと3は〇だが、ズバリの過去問はH22-問22とかなり古い。ただ、H28-問13を解いていれば対応可能だったと思われる。 4は悩んだ人もいたかもしれない。3に関する知識と深くかかわっている。 認知症対応型共同生活介護は、基本的に包括報酬制であり、基本的に外部のサービスを使えない(※例外については要注意)。 サービス内容をケアプランで管理するのは、グループホームの介護支援専門員である。 そうだとすると、認知症対応型共同生活介護計画を作成した期間については、居宅サービス計画を作成する必要はないと考えるのが素直である。4は×である。 ズバリの過去問はH21-問54とかなり古い。 5は、外部の評価を受けていれば、自己評価はいらないという内容である。 一読して違和感を覚えた人が多いのではないだろうか。外部の評価は常時行われるわけではないし、それとは別に自己評価も必要だと考えるべきである。 5は×である。

【正解2,3】

問題 57 指定介護老人福祉施設について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 身体的拘束等の適正化のための指針を整備している場合には、その対策を検討する委員会は開催しなくてもよい。 2 入所者が居宅での生活を営むことができるかどうかについて、生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等の従業者間で協議しなくてはならない。 3 施設サービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない。 4 夜間には、常勤の介護職員が介護に従事しなくてもよい。 5 サービス提供上必要と認められる場合であれば、1の居室の定員を2人にすることができる。   難しい肢がある場合、できるだけ肢を絞ってから比較検討する。 難易度A 3つ比較するよりも2つ比較するほうが適切な判断をしやすい。   1は×である。指針を整備してあれば対策についての検討委員会を開催しなくてもよいとの結論には違和感がないだろうか。直感的に×ではないかと感じられる内容である。 2は特に問題のない記述であり、〇ぽい。 3は施設入所のニーズが高い人を優先的に入所させるようにしましょうということであり、内容的には適切である。〇と判断してよいであろう。 4はどうか。本問で悩むとしたら、この肢をどう理解するかである。 夜間は多くの人が寝静まっているのだから非常勤職員でも問題ないと考えるのか、夜間だからこそ常勤の職員がいるべきだと考えるのか、である。 ただ、少し冷静になって本肢を読むと、「夜間には、常勤の介護職員が介護に従事しなくてもよい。」などという規定をわざわざ設けるだろうかという素朴な疑問が湧かないだろうか。 仮に、夜間は多くの人が寝静まっているにしても、法律や規則でわざわざこのようなことを規定するのは変だなという感覚がある。 5はどうか。具体的にこのような場面を考えると夫婦で1の居室を使った方が、落ち着けるというようなケースである。これは認められてもよいのではないだろうか。 4と5を比較した場合、4 < 5 と感じられればよい。4は×で5は〇である。

【正解2,3,5】

問題 58 生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 すべての被保護者に対する要介護認定は、介護扶助の必要性を判断するため、生活保護制度で独自に行う。 2 生活に困窮する外国人は、生活保護の取扱いに準じて必要な保護を受けることができる。 3 居宅介護支援事業所が生活保護受給者に対して居宅介護支援を行う場合には、介護保険法の指定のほかに、生活保護法による指定を受ける必要がある。 4 葬祭扶助は、原則として、現物給付である。 5 福祉事務所で生活保護を担当する査察指導員と現業員は、社会福祉主事でなければならない。   消去法で解くのに適した問題だといえる。 難易度A   1は×である。このような規定は存在しない。 2は〇である。実務上、外国人で受給している方を知っている人もいるのではないだろうか。 3は悩んだ人が多いのではないだろうか。結論から言うと〇であるが、自信がなければ△にして次に進む。 4は×である。原則として現物給付なのは医療扶助と介護扶助である(※まずこの2つを絶対に覚える)。R元-問59、H26-問58などでも問われており、受験生であれば知っておくべきことといえる。 5は知らないと何ともいえないであろう。社会福祉主事という用語はH30-問48で出ているものの、5は知識がないと自信をもって判断できない内容である。 結論は〇であるが、本肢で勝負するのは得策とはいえない。

【正解2,3,5】

問題 59 成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。 1 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要である。 2 後見開始の申立は、本人の所在地を管轄する地方裁判所に行う。 3 市町村は、当該市町村における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めることとされている。 4 後見開始の審判は、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も請求することができる。 5 任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。   法定後見制度は民法。任意後見制度は、任意後見契約に関する法律が根拠法となっている。 難易度B 肢4は初登場だが、肢1の〇と肢2の×がわかれば、残りを比較検討することにより正解を導けたのではないだろうか。   1は〇である。H22-問58、H28-問59で出題されている。 2は×である。地方裁判所ではなく、家庭裁判所である。ズバリの肢はないが、家庭裁判所が扱っていることが推測できる問題は何回か出されている。 3は知らないと自信をもって判断できないが、この記述だけでは間違いと推測することはできないであろう。〇ぽいまたは△にして次に進む。 4はどうか。法律婚を望まない人もいて、事実婚は最近少しずつ保護されるようになってきた。しかし、最大の欠点は画一的判断ができない点にある。 いきなり関係ない人が出てきて、判断能力の衰えた人の事実上の妻(または夫)なので後見開始の審判を請求しますということも考えられる。 残念ながら(?)、現在の制度ではそこまでは認めていない。よって、4は×である。 5は〇である。落ち着いて問題文の場面を念頭に置くとよい。 ここでは、任意後見人と任意後見監督人とが夫婦、親子、兄弟(姉妹)の関係にあってもよいかが問われている。 任意後見監督人任意後見人監督する立場にある。 もし両者が親しい関係にあると、被後見人の保護が十分に図れない。 そのため、5のような規定が置かれている(任意後見契約に関する法律第5条)

【正解1,3,5】

問題 60 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律について正しいものはどれか。2つ選べ。 1 養護者による高齢者を衰弱させるような著しい減食は、高齢者虐待に当たる。 2 市町村又は市町村長は、虐待の通報又は届出があった場合には、高齢者を一時的に保護するために老人短期入所施設等に入所させることができる。 3 養介護施設には、地域包括支援センターは含まれない。 4 養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認める場合であっても、市町村の職員は、警察の許可なく高齢者の居所に立ち入ることはできない。 5 都道府県は、養護者の負担軽減のため、養護者の相談、指導及び助言その他の必要な措置を講じなければならない。   同法の「養介護事業」にも注意して欲しい。 難易度B   1は〇と判断してよいだろう。深読みして悩まないほうがよい。 2も〇としてよさそうである。このような場合のために老人福祉法の措置制度がある。 3はどうか。×だと思った人も多かったのではないだろうか。知らなければ△にして次に進んだほうがよい。 4は×である。警察が立ち入りの当否を判断すること自体がおかしいし、「高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認める場合」であれば当該高齢者の利益のための行動を優先させるべきだといえるからである。 5は×である。「都道府県」ときたところで×ではないかと感じて欲しい。保険者は市町村であり、養護者の相談、指導及び助言その他の必要な措置は身近な行政機関である市町村が行うことだろうと気づく必要がある。以上から4と5が×であることは判断しやすい。悩むのは1,2,3の中から2つを選ぶ段階になってからである。 3の養介護施設は虐待が行われやすい入所系の施設に限られると考えて×だとした人もいたのではないかと思われるが、高齢者虐待防止法の「養介護施設」には地域包括支援センターも含まれている(法5条1号参照)。 よって、3は×となる。

【正解1,2】

ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼ 「養介護施設」第2条3項 老人福祉施設若しくは有料老人ホーム又は地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院若しくは地域包括支援センター 「養介護事業」第2条5項 老人居宅生活支援事業又は居宅サービス事業、地域密着型サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防サービス事業、地域密着型介護予防サービス事業若しくは介護予防支援事業 ※高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 

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