12.保健医療(R3年-第34回)
問題70 事例を読んで,公的医療保険とその給付などに関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
〔事 例〕
大手企業の会社員Mさん(50 歳)は専業主婦の妻(所得なし)と二人で生活し,年収は 640 万円,標準報酬月額は 41 万円である。年次有給休暇は計画的に取得し,日常の仕事の負担は重いとは感じていなかったが,11 月中旬にW病院で胃がんと診断され,12 月 1 日に入院となった。病床は本人の希望によって有料個室とした。翌日に胃全摘術を受け,12 月 20 日に退院した。退院前日に病院から入院医療費の総額が 96 万 9 千円となることが告げられた。
1 Mさんの医療費は,労働者災害補償保険から給付される。
2 Mさんの自己負担は,当該医療費の 1 割である。
3 Mさんの差額ベッド代は,公的医療保険からの給付の対象外となる。
4 Mさんの自己負担は,高額療養費制度を適用すれば,全額免除となる。
5 Mさんが加入する公的医療保険は,Mさんの妻が加入する公的医療保険とは異なる。
日常の仕事の負担は重いとは感じていないという記述が労災の可能性を排除しています。また、加入している医療保険について考える場合、年齢と会社員などであるかどうかに注目しましょう。75歳以上は必ず後期高齢者医療保険ですね。
1:労務上の疾病ではありません。
2:50歳ですので3割負担確定です。
3:正しい
4:高額療養費制度は支払う上限額があるということであり、全額免除になるわけではありません。
5:Mさんの妻はMさんの加入する健康保険の被扶養者ですので、同じ保険と言えます。
【正解3】
問題71 「平成 30 年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,2018 年度(平成30 年度)の国民医療費に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 国民医療費は,50 兆円を超えている。
2 国民医療費の国民所得に対する比率は 3 %に満たない。
3 国民医療費の財源の内訳は,保険料の割合よりも公費の割合の方が大きい。
4 国民医療費は,診療種類別にみると,薬局調剤医療費の占める割合が最も大きい。
5 人口一人当たり国民医療費は,75 歳以上の人口一人当たり国民医療費よりも低い。
1~4について知らなくても、5が正しいということは簡単に分かる。一人当たり国民医療費について、75歳以上が国民全体よりも高い、国民全体の方が低いのは容易に想像が付く。
1:約43兆円です。
2:約7.9%です。
3:保険料の割合が多い。
4:医科診療医療費が最も大きい。
5:正しい
【正解5】
問題72 災害拠点病院に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。
1 24 時間対応可能な救急体制は必要ないとされている。
2 災害発生時,被災地外の災害拠点病院の医療従事者は,被災地に入らず待機することになっている。
3 各都道府県に 1 病院ずつ,全国に 47 病院が設置されている。
4 重篤救急患者に対応できる高度な診療機能は求められていない。
5 災害派遣医療チーム(DMAT)を保有することになっている。
災害拠点病院は、平成8年に当時の厚生省の発令によって定められました。阪神・淡路大震災が平成7年に発生していますので、この大地震と関連があると思います。阪神・淡路大震災と言えば、その他にもNPO法成立のキッカケになったとも言われています。震災の時のボランティア活動が非営利活動の法制化に影響したのです。
1:24 時間対応可能でなければなりません。
2:ヘリコプターなどを使用して被災地に入ることもできます。
3:600を超える病院が指定されています。
4:高度な診療機能は求められていています。
5:正しい
【正解5】
問題73 次の記述のうち,2014 年(平成 26 年)の医療法改正(第六次)の内容として,正しいものを 1つ選びなさい。
1 地域医療支援病院制度が創設された。
2 医療計画に地域医療構想の策定が位置づけられた。
3 特定機能病院制度が創設された。
4 地域的単位として,新たに区域(医療圏)が創設された。
5 療養型病床群の設置が制度化された。
医療法改正は何度もありますので、整理が難しいと思います。勉強の仕方としては、各改正の代表的なものだけを覚えるということになると思います。
1:地域医療支援病院は、1997年(平成9年)の医療法の第3次改正で制度化されました。
2:正しい
3:特定機能病院は、1992年(平成4年)の医療法の第2次改正で制度化されました。
4:何を指しているかはっきりわからないが間違い。
5:療養型病床群は、1992年(平成4年)の医療法の第2次改正で制度化されました。
【正解2】
問題74 患者の治療方針の決定に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 肝臓がんとの診断を受けたAさん(66 歳)は,インフォームドコンセントとして,検査結果の内容と今後の治療方針について医師から説明を受け,治療に同意した。
2 終末期にあるBさん(52 歳)の家族は,インフォームドチョイスとして,本人に気付かれないように主治医と治療方針を決定した。
3 小児がん患者のCちゃん(11 歳)の保護者は,インフォームドアセントとして,本人の意思を確認せずに終末期医療における延命医療の拒否を医師に伝えた。
4 終末期にあるDさん(78 歳)と家族と医療従事者は,パターナリズムモデルに従って,繰り返し治療選択について話し合い,意思決定を行った。
5 E医師は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行したFさん(48 歳)の意思を推測し,心肺停止時に心肺蘇生措置をしない旨をリビングウィルとしてカルテに記載した。
正解してもらいたい問題です。ある意味、社会福祉士の基本です。
【正解1】
問題75 次の記述のうち,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が行うとされる業務として,正しいものを 1つ選びなさい。
1 理学療法士が,入院患者の生命維持管理装置を操作する。
2 理学療法士が,脳伷塞後遺症の患者に歩行訓練を行う。
3 作業療法士が,リハビリテーション中に気分不良を訴えた患者に点滴をする。
4 作業療法士が,看護師の指導の下で外来患者の採血をする。
5 言語聴覚士が,在宅患者の胃ろうチューブの交換を行う。
この問題を間違えるとまずい。
【正解2】
問題76 事例を読んで,G医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるHさんの経済的な不安への対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん(48 歳)は,企業に勤務する会社員で,専業主婦の妻(46 歳)と大学生の長男(20 歳)の 3 人暮らしである。 2 週間前に脳伷塞を発症し,現在,急性期病院に入院中である。主治医から,重度の麻痺により今後は歩行が困難になるため,来週リハビリテーション病院に転院し, 3か月ほどのリハビリテーション治療が必要であることを告げられた。転院等の相談のためにG医療ソーシャルワーカーが紹介された。G医療ソーシャルワーカーは,「医療費及び生活費などの経済的なことが心配です」と訴えるHさんに具体的な情報を提供した。
1 転院前に障害年金を受給できることを説明する。
2 介護保険の要介護認定を受ければ,生活費が支給されることを説明する。
3 療養の給付により医療費の一部負担金が全額免除されることを説明する。
4 勤務先から入院中の休業に対して報酬が支払われていなければ,傷病手当金を受給できることを説明する。
5 特別児童扶養手当を申請すれば,支給されることを説明する。
具体的な情報です。
1:将来障害年金を受け取れる可能性はありますが、転院前ではありません。
2:要介護認定で生活費が支給されるということはありません。
3:療養の給付は健康保険の制度です。労災の制度なら医療費の自己負担金がありませんが、健康保険の場合は自己負担金は発生します。
4:適切。但し、正確には報酬の支払いがあったとしても、給与の日額が、傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
5:特別児童扶養手当は、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。
【正解4】
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