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11.低所得者に対する支援と生活保護制度(R3年-第34回)

問題 63 生活保護法が規定する基本原理・原則等に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 この法律により保障される最低限度の生活は,国民一般の平均的な資産基準によって決定される。 2 保護を申請できるのは,要保護者及びその扶養義務者に限られている。 3 保護は,厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし,そのうち金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う。 4 保護は,要保護者の年齢別,性別,健康状態等に関して,世帯の実際の相違を考慮することなく一定の必要の基準に当てはめて行う。 5 保護は,親族を単位としてその要否を定める。   生活保護法の基本原理・原則は必ず理解しておきましょう。 1:最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものです。 2:要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族が行うことができます。 3:正しい 4:要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行う。 5:世帯を単位としてその要否及び程度を定める。親族が単位ではありません。

【正解3】

問題 64  事例を読んで,Q市福祉事務所のH生活保護現業員(社会福祉士)がJさんに対して行う説明として,最も適切なものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Jさん(41 歳)は,近所のスーパーマーケットで働きながらアパートで高校生の長男と二人で暮らしていたが, 2 年前に病気によって仕事を辞めることになり,妹から仕送りを受けていた。しかし仕送りは約半年で途絶えてしまい, 1 年前から生活保護を受給することになった。通院を続けたことで, 1か月前から病状が大分良くなり,現在は医師から就労できる状態であると診断され,アパートが手狭になったことから長男と共に転居することも考えている。 1 妹からの仕送りが再開した場合,世帯の収入として認定されることはない。 2 長男がアルバイトをした場合,世帯の収入として認定されることはない。 3 就労した場合,保護が廃止されずに就労自立給付金を毎月受給できる。 4 住宅扶助の基準額を超える家賃の住宅に転居する場合,生活困窮者住居確保給付金を毎月受給できる。 5 医師から就労可能であると診断されても,直ちに保護が廃止されるわけではない。  就労自立給付金とか生活困窮者住居確保給付金などの難しい用語もありますが、常識力で答えを出すのは可能です。

【正解5】

問題 65 生活保護法で規定されている被保護者の権利及び義務に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 被保護者は,保護金品を標準として租税その他の公課を課せられることがある。 2 被保護者は,既に給与を受けた保護金品を差し押さえられることがある。 3 被保護者は,保護を受ける権利を譲り渡すことができる。 4 被保護者が能力に応じて勤労に励むことを怠っていると認められる場合,被保護者は受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。 5 急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けた場合,被保護者は受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。   前問同様に常識力で解けます。問題64,65は落とせない問題。 1~3:公課、差押、譲渡はできません。 4:働いていないからといって返還義務が生じるわけではありません。 5:正しい

【正解5】

問題66 生活保護法上の保護施設に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 保護施設は,救護施設,更生施設,宿所提供施設の 3 種類に分類される。 2 救護施設を経営する事業は,第二種社会福祉事業である。 3 特定非営利活動法人は,保護施設を設置することができる。 4 救護施設は,身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて,生活扶助を行うことを目的とする保護施設である。 5 更生施設は,身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて,生業扶助を行うことを目的とする保護施設である。   社会福祉法との横断学習が有効な問題。 1:保護施設は,救護施設,更生施設,宿所提供施設以外に医療保護施設、授産施設がある。 2:救護施設を経営する事業は,第一種社会福祉事業です。 3:特定非営利活動法人は,保護施設を設置できない。 4:正しい 5:更生施設は,身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設です。ひっかけ問題ですね。

【正解4】

問題67 事例を読んで,R市福祉事務所のK生活保護現業員(社会福祉士)の支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1つ選びなさい。 〔事 例〕 Lさん(60 歳)は単身で生活しており,親族とは 20 年以上音信不通である。Lさんは,退職金規程のない会社で働いていたが, 5 年ほど前から持病が悪化して仕事ができなくなり, 3 年前に会社を退職した。それ以降は無職となっている。退職後,消費者金融から借金をして生活しており,家賃や公共料金も滞納しているようである。現在も直ちには就労が困難な健康状態であるため,Lさんは生活保護の受給を希望し,R市福祉事務所に生活保護を申請した。 1 保護の要否判定を行うとともに,援助計画策定のために必要な情報収集を行う。 2 保護の申請に当たっての条件として,「無料低額診療事業」を利用するように指導する。 3 社会福祉協議会と連携して,日常生活自立支援事業の利用を促す。 4 福祉事務所からLさんの扶養義務者に連絡を取り,Lさんの借金の返済を要請する。 5 公共職業安定所(ハローワーク)で求職活動をするように指導する。 (注)「無料低額診療事業」とは,社会福祉法第 2 条第 3 項第 9 号に規定する「生計困難者のために,無料又は低額な料金で診療を行う事業」のことである。   生活保護現業員の職務です。 1:適切 2:無料低額診療事業を利用することが、保護の申請に当たっての条件というわけではありません。 3:経済的に困窮している人に日常生活自立支援事業は適当ではありません。 4:このような要請は越権行為と言えるでしょう。 5:持病の悪化が原因ですので、現時点での公共職業安定所(ハローワーク)での求職活動は適当ではありません。

【正解1】

問題68 生活保護の実施機関に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 都道府県知事は,生活保護法に定めるその職権を,知事の管理に属する行政庁に委任することはできないとされている。 2 社会福祉主事は,生活保護法の施行について,都道府県知事又は市町村長の事務の執行を代理する。 3 民生委員は,生活保護法の施行について,市町村の補助機関として位置づけられている。 4 保護の実施機関は,要保護者が急迫した状況にあるときでも,職権を用いて保護を開始することはできないとされている。 5 保護の実施機関は,被保護者が保護を必要としなくなったときは,速やかに,保護の停止又は廃止を決定しなければならない。   知らない規定もあるかもしれませんが、常識力で解くことは可能。どの科目もそうですが、知らないことが書かれている選択肢は出てきます。1つか2つの選択肢に知らないことが書かれていても解答できるような訓練も必要です。 1:第二十条 都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。 2:第二十一条 社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。 3:第二十二条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。 4:急迫の保護は常識です。 5:正しい 【正解5】 問題69 生活福祉資金貸付制度に関する次の記述のうち,正しいものを 1つ選びなさい。 1 実施主体は,国である。 2 市町村社会福祉協議会を通じて借入れを申し込むことができる。 3 資金の貸付けを受けるに当たって,公共職業安定所(ハローワーク)で求職活動を行うことが要件とされている。 4 総合支援資金については,貸付けを受けるに当たって,生活保護の申請をすることが要件とされている。 5 緊急小口資金については,貸付けを受けるに当たって,連帯保証人を立てることが要件とされている。   新型コロナウィルス感染症で話題になっています。新型コロナウィルス感染症に関する特例的なものと原則的なものを区別しましょう。この問題は原則的な生活福祉資金貸付制度に関するものです。 1:都道府県社会福祉協議会を実施主体としています。 2:正しい 3:このような要件はありません。 4:このような要件はありません。 5:総合支援資金などは原則として連帯保証人が必要ですが、緊急小口資金については連帯保証人は必要ありません。

【正解2】

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