問題1
次の年齢のうち,エリクソン(Erikson, E.)の発達段階に関する理論にいう「アイデンティティ」が発達課題となる年齢として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 3 歳
2 7 歳
3 15 歳
4 30 歳
5 50 歳
正確な知識があれば即答できる問題である。
仮に、知識がなければ、多くの受験生は、3と4で迷うのではないだろうか。ただし、エリクソンの発達段階において
「アイデンティティ」は有名な発達課題であるので、
正解して欲しい問題である
。
★ポイント★
エリクソンによる自我の発達理論(対の概念)
【正解3】
問題2
人体の各器官の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 副交感神経は,消化管の運動を亢進(こうしん)する。
2 脳幹は,上部から延髄・中脳・橋の順で並んでいる。
3 大脳の側頭葉は,視覚に関わる。
4 脊髄神経は,中枢神経である。
5 三半規管は,外耳と中耳の境目に位置する。
知識がないと正解を出すのは難しい。
副交感神経はリラックス、交換神経は興奮状態、という大まかなイメージは頭に入れておこう。バイタルは、交換神経が働いているときに向上し、副交感神経が働いているときに低下するということは多くの人が知っているはず。この関係でいうと1は✕ではないかと感じるかもしれない。
しかし、
リラックスしているときの方が消化管の運動は活発化するのである。従って、1は〇である。普段勉強しているときに、この部分だけ「えっ」と思うのだが、今回はその部分を聞かれたので、報われた感がある。2は延髄が上部にないことはわかる(試験場で首の後ろを触ってみるとよい)。✕である。3は知らないと△。4も同様に△。5の三半気管はもっと内側にあるので✕。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
人体の各器官構造と機能は、視覚に訴える教材を用いたほうが記憶に残りやすい。自分の体をイメージして覚えるという方法を試してみよう。
【正解1】
問題3
国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活機能とは,心身機能,身体構造及び活動の三つから構成される。
2 活動は,能力と実行状況で評価される。
3 活動とは,生活や人生場面への関わりのことである。
4 個人因子には,促進因子と阻害因子がある。
5 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。
ICFに関する基本的知識がないと解くことは難しい。しかし、落ち着いて解けば正解できる問題である。
ICFについては、その考え方自体は多くの人が知るところとなったが、
実際に試験問題として使いこなせるかといえば、まだまだ苦手意識を持つ人も少なくない。
1は参加が抜けており✕。2は結果としては〇だが、自信がなければ△にして次に行く。3は「人生場面」があるので、「参加」の話であり✕である。4は、意外と悩む。背景因子には個人因子と環境因子があるが、本肢は個人因子の内容をさらに分けている。
受験用参考書には掲載されていない事項である。嫌らしい選択肢である。5は参加制約ではなく「活動制約」の話である。✕である。迷うとしたら2か4のいずれを選ぶかであろう。
【正解2】
問題4
健康に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一次予防とは,疾病の悪化を予防することである。
2 日本の特定健康診査は,メタボリックシンドロームに着目した健康診査である。
3 「健康日本21(第二次)」の基本的方向は,平均寿命の延伸である。
4 現在,日本の死因の第1 位は心疾患である。
5 WHOが提唱したヘルスプロモーションは,ヘルシンキ宣言において定義された。
知らないと正解するのは、難しい問題だが、あきらめずに、攻めの心理で解答しよう!
1の「一次予防」はもっと前の段階の予防活動である
(普及啓発のイメージ)。2は〇である。3は「健康日本21(第二次)」の基本的方向が「平均寿命の延伸」というのは、時代錯誤だと感じて欲しい。✕;ぽい。4は現在の第1位は「悪性新生物(癌)であるから✕である。5は知らない何とも言えない。迷うとしたら2か5である。ここまでくれば、確率は50%になる。
ソーシャルワンカーと一緒にワン ステップUP‼
ヘルスプロモーションとは
1986年にカナダで開催されたヘルスプロモーション会議で示された考え方である。これに関する宣言文がまとめられたのは、オワタ憲章である。オワタ憲章でヘルスプロモーションは、「人々が自らの健康をコントロ-ルし、改善できるようにするプロセスである」と定義されている。
【正解2】
問題5
高血圧に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 高血圧の診断基準は,収縮期(最高)血圧160 mmHg 以上あるいは拡張期(最低)血圧90 mmHg 以上である。
2 本態性高血圧(一次性高血圧)は,高血圧全体の約50 %を占める。
3 続発性高血圧(二次性高血圧)の原因の第1 位は,内分泌性高血圧である。
4 高血圧の合併症に脳血管障害がある。
5 血液透析の導入の原因の第1 位は,高血圧性腎硬化症である。
正解して欲しい問題である。
1の収縮期(最高)血圧160 mmHg 以上は、基準が高すぎる。✕である。2の本態性血圧の割合は約90%である。✕である。3は知らなければ△。4はずばり○である。高血圧⇒血管に負荷がかかる⇒脳血管障害という流れである。5は知らなければ△。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
「高血圧治療ガイドライン2014」では、収縮期血圧(最高)/拡張期血圧(最低)の両方あるいはどちらか一方が、140mmHg/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されるとあります。
本能性血圧とは、原因を特定することができない高血圧のことを意味します。
一方で、原因を特定することが可能な高血圧を「続発性高血圧(二次性高血圧)」と言います。
例えば、特定のホルモンが過剰分泌され、その結果として血圧が上昇するような、内分泌性高血圧などはこれにあたりますが、最も多い要因は、腎臓疾患が原因で生じる高血圧で、続発性高血圧(二次性高血圧)の3/4は、腎性高血圧と言われています。透析導入患者の原疾患第1位は、糖尿病性腎症である。
【正解4】
問題6
障害に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 遂行機能障害は,高次脳機能障害に含まれる。
2 白血病による免疫機能障害は,身体障害者福祉法の内部障害に含まれる。
3 先天性の疾患は,聴覚障害の原因疾患に含まれない。
4 脳性麻痺は,身体障害者福祉法の肢体不自由の原因疾患に含まれない。
5 糖尿病の合併症は,視覚障害の原因疾患に含まれない。
正解しなければならない問題である。
1の遂行機能障害は高次脳機能障害の特徴である。〇ぽい。2は知らなければ△。3は、先天性の疾患を聴覚障害の原因疾患に含めない理由がわからない。現に、先天性の聴覚障害者は存在しているので✕。4は脳性麻痺を身体障害者福祉法の肢体不自由の原因疾患に含めない理由がわからない。現に、当然含まれているので✕。5は
糖尿病の合併症に網膜症があることは受験生なら知っていないといけない(介護保険の特定疾病でもある)。✕である。迷うとしたら1か2である。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
身体障害者福祉法に規定されている内部障害は、心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・直腸・小腸・肝臓の機能障害とHIVによる免疫機能障害の7つである。
【正解1】
問題7
精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM- 5 )における「神経性やせ症/神経性無食欲症」の診断基準に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 はっきりと確認できるストレス因がある。
2 体重は標準体重以上である。
3 対人恐怖がある。
4 やせることに対する恐怖がある。
5 過食を生じるタイプもある。
受験テクニックを用いて、正解したい問題である。
1は、もし「はっきりと確認できるストレス因がある」というなら、「神経性やせ症/神経性無食欲症」はもっと克服されているであろう。✕ぽい。2は「体重は標準体重以上」なら「やせ症」とはいえない。出題者の優しさかも。✕である。3は知らなければ△。4は「やせることに対する恐怖」ではなく
太ることに対する恐怖であろう。✕である。2や4の選択肢のような
言葉のマジックや言葉のトラップにひっかからないことも、受験テクックと言えよう。5は文末の
「もある」という表現に注目。このような場合、〇である可能性が高い。受験テクニックとして覚えておくと便利である。同時に、「神経性やせ症/神経性無食欲症」であっても、反動で一時的な過食は起こりうるので〇である。迷うとしたら3か5だろう。身近な症例を知っていると解く上でのヒントになる。年輩の人ならカーペンターズのカレン・カーペンターが有名である。
【正解5】