問題27
国際連合の協力組織が公表している「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」の2017 年版の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 幸福度の指標として,生活満足感のような主観的意識が考慮されている。
2 一人当たりGDPは,幸福度の指標としては考慮されていない。
3 社会とのつながりなど社会関係の豊かさは,幸福度の指標としては考慮されていない。
4 日本の2014-2016 年における幸福度ランキングは,公表された155か国中上位4 分の1 に入っている。
5 日本の2014-2016 年における幸福度は,2005-2007 年と比べ変化していない。
(注) 国際連合の協力組織とは,国連とアメリカのコロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(Sustainable Development Solutions Network)のことをいう。
これが出たか~。今後も類似した統計に関する出題が考えられる。
1は特に問題がない記述である。知っていればここで〇。2は
GDPも考慮されているので×。3の「社会的関係の豊かさ」も考慮の対象となっているので、本肢は×である。4であるが、日本の幸福度ランキングはもっと低い。日本人はマイナス思考なのかもしれない。5はおよそ10年で変化があったかどうかを聞いている。おそらくあったと考えるほうが素直であろう。×ぽい。
※なお、イギリスでは2018年1月に孤独担当大臣が設置され、「孤独」そのものに焦点を当てた対策が講じられている。
【正解1】
問題28
日本における性同一性障害や性的指向・性自認に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 法務省の「性的指向及び性自認を理由とする偏見や差別をなくしましょう」という啓発活動では,LGBTという表現は使われていない。
2 文部科学省の「いじめの防止等のための基本的な方針」(2017 年(平成29 年)改定)には,性的指向・性自認に係る児童生徒への対応が盛り込まれている。
3 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律により,本人の自己申告で性別の取扱いの変更が認められるようになった。
4 性的指向・性自認への理解を求める取組は,地域共生社会の実現という政策課題には当てはまらない。
5 同性婚のための手続が民法に規定されている。
(注) LGBTとは,(Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender)の頭字語である。
これまたトピックに関する問題である。受験生の多くは1と2で迷うと思うが、知らないと決め手に欠ける。
1はLGBTという表現が入っていた方がイメージは湧きやすい。知らなければ△。2も、そこまで盛り込んでいた方がよいといえるが、果たして…。知らなければ△。3は「本人の自己申告」だけでは不十分だと感じられる。×ぽい。4の「性的指向・性自認への理解を求める取組」は「地域共生社会の実現という政策課題にあてはまらない」とまではいえまい。×ぽい。5の
「同性婚のための手続」に関する規定は、設けられていない。もし設けられれば、大きな話題になるであろう。民法に規定がないからこそ、条例で認められることになった自治体では、大きく報道で取り上げられた。知っていた人はラッキーかも。×である。
【正解2】
問題29
「育児・介護休業法」において定められた介護休業制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護休業を取得することができる対象家族には,配偶者と子は含まれない。
2 期間を定めて雇用される者は,雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
3 介護休業は, 2 週間以上の常時介護を必要とする状態にある家族を介護するためのものである。
4 一人の対象家族についての介護休業の申出の回数には,制限がない。
5 一人の対象家族についての介護休業の合計は,150 日までである。
(注) 「育児・介護休業法」とは,「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。
この問題を法律に関するものと捉えるのか、時事問題として考えるのか、トピック的色彩も強い法律問題である。
1は注意深く読む必要がある。「育児・介護休業法」において定められた介護休業制度に関する、となっているので、子は含まれないとしてもよいかもしれない。しかし配偶者まで除くのはおかしな感じがする(親の介護だけではあるまい)。2は、「雇用の期間にかかわらず」がひっかかる。×ぽい。3は
「2週間以上」とあるが、知らないときつい。これが〇である。4は「申し出の回数に制限がない」とあるが、この表現は×ぽい。5は知らないと悩むであろう。
93日まで(約3ヶ月)なので、×である。
【正解3】
問題30
社会福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 第一種社会福祉事業の経営は,国・地方公共団体に限定されている。
2 2000 年(平成12 年)の社会福祉基礎構造改革の際に,社会福祉事業法の題名が改められたものである。
3 「社会福祉事業」を行わない事業者であっても社会福祉に関連する活動を行う者であれば,社会福祉法人の名称を用いることができる。
4 市町村に対して,福祉人材センターの設置を義務づけている。
5 国,地方公共団体と社会福祉事業を経営する者との関係を規定した「事業経営の準則」は,社会福祉法では削除された。
歴史も含めた社会福祉法に関する問題である。知識がないと解くのは難しい。
1は「社会福祉法人」が抜けているので×。2は〇である(およそ
半世紀ぶりの大改正であった)。3の
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的とする団体なので×である。4の
福祉人材センターは、都道府県レベルの話である。本肢は×である。5は知らないと何ともいえない。
ソーシャルワンカーからのワン ポイントアドバイス
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人。
社会福祉法人の3つの特徴
①社会福祉事業という「公益」を目的としている。
②「非営利性」が求められる。
③所轄庁の設立認可、監督を受ける。
【正解2】
問題31
日本の最低賃金制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域別最低賃金額は,特定最低賃金額を上回るものでなければならない。
2 地域別最低賃金額は,労働者の生計費を考慮せずに決定される。
3 地域別最低賃金額は,労使が行う賃金交渉によって決定される。
4 最低賃金の適用を受ける使用者は,労働者にその概要を周知しなければならない。
5 支払能力のない事業者は,地域別最低賃金の減額適用を受けることができる。
(注) 特定最低賃金とは,特定の産業について設定されている最低賃金をいう。
常識力を問うものである。なぜなら、最低賃金法を詳しく知っている人は、ほとんどいないと思われるので。
1であるが、(注)に特定最低賃金の定義が書かれている。そこでいう
「特定の産業」は、通常の産業よりも条件が厳しいものだと考えるのが素直である。すなわち、賃金で言えば
(地域別最低賃金<特定最低賃金)の関係にあるだろうということである。1は×だろうと推測できる。2は
「労働者の生計費を考慮せずに」決定されるはずはないので、×である。3は「労使が行う賃金交渉」によって決まるのは基本的に
「企業内」だと考えられるので×ぽい。4は当たり前過ぎる内容だが、他との肢との比較でみれば無難な内容である。これが〇かな。5のように支払能力のない事業者が,地域別最低賃金の減額適用を受けることができるとすれば、「地域別最低賃金額」を設けた意味がなくなる。×である。
【正解4】