問題49 「国立社会保障・人口問題研究所の人口推計」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 2020年から2045年にかけて、0∼14歳人口は増加する。
2 2020年から2045年にかけて、高齢化率は上昇する。
3 2020年から2045年にかけて、15∼64歳人口は増加する。
4 65歳以上人口は、2045年には5,000万人を超えている。
5 2020年から2045年にかけて、総人口は半減する。
(注) 「国立社会保障・人口問題研究所の人口推計」とは、「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の出生中位(死亡中位)の仮定の場合を指す。
★★
1は×である。
0∼14歳人口は減少する。少子化の傾向から抜け出せない現状を知っていれば、本肢が×であることは推測できる。
2は〇である。
少子化にくわえて、2025年に団塊の世代が後期高齢者になること、団塊の世代以降も出生数は今よりも多かったことから、2025年以降は65歳以上人口が増え、高齢化率も上昇すると推測できる。
3は×である。
2020年時点で、15歳の人は2005年に生まれた人であり、64歳の人は1956年生まれの人ということになる。団塊の世代(第1次ベビーブーム)以降、出生数は緩やかに減少してきているので、2020年から2045年にかけて、15∼64歳人口は減少すると推測できる。
4は×である。
日本の総人口は、2010年代には減少に転じている。2045年の時点で仮に1億人位になっていると仮定してみた場合、2045年の時点で65歳以上人口が5,000万人を超えているとすると、高齢化率50%ということになる。ここまで高齢化率が上がるという話は聞いたことがないであろう(3人に1人が65歳以上という話は耳にしたことがあるはず)。
5は×である。
2020年の総人口は、約1億2600万人であるが、2045年にこれが半分になるという話は聞いたことがないのではないだろうか。総人口は、令和2(2020)年国勢調査による 1 億 2,615 万人が 2070 年には 8,700 万人に減少すると推計(出生中位・死亡中位推計)されている(「日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要」p1参照)。
正解2
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
団塊の世代の高齢化、少子化傾向をもとに推論をまじえながら解く。
問題 50 出産・育児に係る社会保障の給付等に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「産前産後期間」の間は、国民年金保険料を納付することを要しない。
2 出産育児一時金は、産前産後休業中の所得保障のために支給される。
3 育児休業給付金は、最長で子が3歳に達するまで支給される。
4 児童手当の費用は、国と地方自治体が折半して負担する。
5 児童扶養手当の月額は、第1子の額よりも、第2子以降の加算額の方が高い。
(注) 「産前産後期間」とは、国民年金の第1号.保険者の出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3月前から6か月間)を指す。
★
1は〇である。
次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産した際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度が平成31年(2019年)4月から始まった。この制度は、国民年金保険料を月額100円程度引き上げることにより、国民年金の被保険者全体によって支えられている。㉜問54肢1で出題されている。
2は×である。
出産育児一時金は。出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度である。産前産後休業中の所得保障のために支給されるのは、出産手当金である。㉝問71肢4ほか。
3は×である。
育児休業給付金は、原則として養育している子が1歳となる日の前日(民法の規定では誕生日の前日に満年齢に達するとみなされるため、実際には1歳の誕生日の前々日)まで支給されるが、例外として、子が1歳6ヵ月になるまで育休期間が延長されるときは、育児休業給付も最長で子が1歳6ヵ月になるまで支給される。㉜問51肢3参照。
4は×である。
児童手当の費用は、国と地方(都道府県・市区町村)の負担割合を2:1とし、被用者の3歳未満(所得制限額未満)について7/15を事業主の負担(残りを国と地方2:1)とする。㉚問55肢2参照。
5は×である。
児童扶養手当とは、離婚・死亡・遺棄などの理由で、父親又は母親と生計を同じくしていないひとり親世帯等の生活の安定と自立を促進するために設けられた手当である。第1子の額が最も高い。肢4の児童手当の話と混同しないように注意する。
正解1
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肢1については、比較的最近の過去問で出題されている。それを知っていた人には容易な問題であっただろう。
問題 51 社会保険の負担に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 国民年金の第1号被保険者の月々の保険料は、その月の収入に応じて決まる。
2 介護保険の保険料は、都道府県ごとに決められる。
3 後期高齢者医療の保険料は、全国一律である。
4 障害基礎年金を受給しているときは、国民年金保険料を納付することを要しない。
5 国民健康保険の保険料は、世帯所得にかかわらず、定額である。
★★★
1は×である。
国民年金の第1号被保険者の月々の保険料は定額である。
2は×である。
市(区)町村ごとに定められる。保険者は市町村である。
3は×である。
後期高齢者医療の保険者は、都道府県広域連合である。
4は〇である。
障害基礎年金の受給は20歳から可能であるが、受給者は国民年金保険料を納付することを要しない。これは保険料を払いつつ年金を受け取ることはおかしいとの考えによるものである。
5は×である。
国民健康保険の保険料は、世帯の所得によって異なる。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
4は初めての出題だと思われる。自分の判断に自信が持てなければ、消去法で解く。4の記述については、生活保障のために障害基礎年金を受給するのに、その一方で障害基礎年金の保険料を拠出するのはおかしいのではないかと考えられれば十分であろう。
問題52事例を読んで、Hさんに支給される社会保障給付として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Hさん(45歳)は、妻と中学生の子との3人家族だったが、先日、妻が業務上の事故によって死亡した。Hさんは、数年前に、持病のためそれまで勤めていた会社を退職し、それ以来、無職、無収入のまま民間企業で働く妻の健康保険の被扶養者になっていた。
1 国民年金法に基づく死亡一時金
2 厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金
3 国民年金法に基づく遺族基礎年金
4 健康保険法に基づく埋葬料
5 労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金
★
1は×である。
死亡一時金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときに支給される。Hの妻は第2号被保険者なので、死亡一時金は支給されない。
2は×である。
遺族厚生年金は、妻の死亡時に55歳以上の夫に支給される。Hは45歳なので、遺族基礎年金は支給されない。
3は〇である。
遺族基礎年金を受け取ることができるのは、「子のある配偶者」または「子」である。「子」とは18歳になった年度の3月31日までにある者、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある者をさす。
4は×である。
Hの妻は、業務上の事故によって死亡しているので、労災保険が適用される場面である。Hが受け取れるのは、労災保険の葬祭料である。なお、通勤災害で亡くなったときは、葬祭給付と呼ばれる。
5は×である。
Hの妻は業務上の事故で死亡しているので、(労災保険からの)傷病補償年金はそもそも発生していない。また、傷病補償年金を受け取れるのは、Hの妻であり、Hではない。
正解3
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悩んだ人が多かったのではないだろうか。年金保険について、ここまで細かい知識を問うものはこれまで出題されていなかった。
問題 53 労働保険に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 労働者災害補償保険の療養補償給付を受ける場合、自己負担は原則1割である。
2 労働者災害補償保険は、政府が管掌する。
3 日雇労働者は、雇用保険の適用除外とされている。
4 雇用保険の失業等給付の保険料は、その全額を事業主が負担する。
5 教育訓練給付は、雇用保険の保険者ではなくなった者には支給されない。
★★★
1は×である。
労災保険の療養補償給付を受ける場合、自己負担はない。㉝問52肢3参照。
2は〇である。
3は×である。
日雇労働者にも雇用保険の適用がある。
4は×である。
失業等給付等の保険料は、事業主と労働者が負担する。なお、雇用保険二事業の保険料は、事業主のみが負担する。
5は×である。
雇用保険の保険者ではなくなった者でも、受講開始日が被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であれば、教育訓練給付金が支給される。
正解2
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前の問題と同様に、これまでの本試験にない細かい知識が出されているが、基本的知識があれば、積極法で、肢2を選ぶことができる。
問題 54 事例を読んで、障害者の所得保障制度に関する次の記述のうち 最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Jさんは、以前休日にオートバイを運転して行楽に出かける途中、誤ってガードレールに衝突する自損事故を起こし、それが原因で、その時から障害基礎年金の1級相当の障害者となった。現在は30歳で、自宅で電動車いすを利用して暮らしている。
1 Jさんの障書の原因となった事故が17歳の時のものである場合は、20歳以降に障害基礎年金を受給できるが、Jさんの所得によっては、その一部又は全部が停止される可能性がある。
2 Jさんの障害の原因となった事故が25歳の時のものであった場合は、年金制度への加入歴が定められた期間に満たないので、障害基礎年金を受給できない。
3 Jさんの障害の原因となった事故が雇用労働者であった時のものである場合は、労働者災害補償保険の障害補償給付を受けられる。
4 Jさんに未成年の子がある場合は、Jさんは特別障害者手当を受給できる。
5 Jさんが障害の原因となった事故を起こした時に、健康保険の被保険者であった場合は、給与の全額に相当する傷病手当金を継続して受給することができる。
★★
1は〇である。
20歳前の傷病による障害基礎年金については、前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となる(日本年金機構HP2024.6.16閲覧)。㉙問52肢4参照。
2は×である。
Jが、初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あれば、保険料納付要件を充たす。
3は×である。
Jは行楽に出かける途中に事故に遭っているので、業務上のけがとはいえない。
4は×である。
特別障害者手当は、精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の者に支給される。未成年の子がいるかどうかは関係ない。㉝問53、㉜問76参照。
5は×である。
傷病手当金が支給されるとしても標準報酬月額の3分の2である。また、傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月である。㉜問51肢1参照。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
肢2は老齢基礎年金の保険料納付要件が10年以上であることとの混同を狙ったものと思われるが、ひっかからないで欲しい。肢1については過去問で出題されているが、そこで自信を持てなくても、消去法で肢を絞れば、正解を導くことが可能である。
問題 55 老齢基礎年金に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 老齢基礎年金は、受給者の選択により 55歳から繰り上げ受給をすることができる。
2 老齢基礎年金は、保険料納付済期間が25年以上なければ、受給することができない。
3 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、どちらか一方しか受給することができない。
4 老齢基礎年金は、支給開始時に決められた額が死亡時まで変わらずに支給される。
5 老齢基礎年金の年金額の算定には、保険料免除を受けた期間の月数が反映される。
★★★
1は×である。
老齢基礎年金の繰り上げ受給は、60歳から可能である。しばしば耳にする話題である。
2は×である。
法改正により、保険料納付済期間が10年以上あれば受給できるようになっている。㉚問52肢5参照。
3は×である。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、併給可能である。例えば、会社勤めを20年した後、自営業を20年したような場合を考えてみて欲しい。
4は×である。
老齢基礎年金の額は、賃金や物価の変動に応じて毎年改定されることになっている。年金受給額が減ってきているといった話を耳にしたこともあるであろう。
5は〇である。
㉟問55肢4,㉙問53肢2参照。
正解5
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
肢5については、過去問でも何度か出題されている。