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8.福祉行財政と福祉計画(R4年2月-第35回)

問題42 次のうち、厚生労働省に設置されているものについて、正しいものを1つ選びなさい。
1 子ども・子育て会議
2 障害者政策委員会
3 中央防災会議
4 孤独・孤立対策推進会議
5 社会保障審議会

1は×である。内閣府に置かれる。㉙問136参照。
2は×である。
内閣府に設置された機関である。2011年の障害者基本法の改正により、これまでの中央障害者施策推進協議会に代わって設置された(施行は2012年5月21日)。㉜問61参照。
3は×である。
中央防災会議は、内閣の重要政策に関する会議の一つとして、内閣総理大臣をはじめとする全閣僚、指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成されており、防災基本計画の作成や、防災に関する重要事項の審議を行う。
4は×である。内閣官房に置かれている。
5は〇である。

正解5
過去問で出題されているものもあり、2と5までは絞りたい。

問題43 次のうち、福祉行政における、法に規定された都道府県知事の役割として、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険法に規定される居宅介護サービス費の請求に関し不正があったときの指定居宅サービス事業者の指定の取消し又は効力の停止
2 老人福祉法に規定される養護老人ホームの入所の措置
3 子ども・子育て支援法に規定される地域子ども・子育て支援事業に要する費用の支弁
4 社会福祉法に規定される共同募金事業の実施
5 「障害者総合支援法」に規定される自立支援給付の総合的かつ計画的な実施
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1は〇である。㉚問132参照。
2は×である。市町村の役割である。
3は×である。市町村の役割である。
4は×である。実施主体は、各都道府県に設立された(社会福祉法人)共同募金会である。
5は×である。市町村の役割である。障害者総合支援法2条1項1号。

正解1
積極法で1を選べるとよい。十分な知識がない場合は、国-都道府県-市町村の役割分担の視点から、選択肢のそれぞれについて、どこが担うのが適切なのかという視点から考える。

問題44 「令和4年版地方財政白書」(総務省)に示された民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 民生費の歳出純計決算額の累計額を比べると、都道府県は市町村より多い。
2 民生費の目的別歳出の割合は、都道府県では生活保護費が最も高い。
3 民生費の目的別歳出の割合は、市町村では児童福祉費が最も高い。
4 民生費の性質別歳出の割合は、都道府県では人件費が最も高い。
5 民生費の性質別歳出の割合は、市町村では補助費等が最も高い。

1は×である。市町村の方が都道府県より多い。
2は×である。民生費の目的別歳出の割合は、都道府県では老人福祉費が最も高い。㉞問45肢3参照。
3は〇である。㉞問45肢3、㉜問44足肢4参照。
4は×である。民生費の性質別歳出の割合は、都道府県では補助費等が最も高い。㉞問45肢5参照。
5は×である。民生費の性質別歳出の割合は、市町村では扶助費が最も高い。㉞問45肢4参照。

正解3
㉞問45、㉝問46、㉜問44で出題されており、最低限の整理はしておくべきである。

問題45 社会福祉に係る法定の機関・施設の設置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県は、地域包括支援センターを設置しなければならない。
2 指定都市(政令指定都市)は、児童相談所を設置しなければならない。
3 中核市は、精神保健福祉センターを設置しなければならない。
4 市は、知的障害者更生相談所を設置しなければならない。
5 町村は、福祉事務所を設置しなければならない。

1は×である。市町村である。㉝問44参照。
2は〇である。㉜問142肢1参照。
3は×である。都道府県である。㉝問44参照。
4は×である。都道府県である。㉞問60参照。
5は×である。市は必置で、町村は任意である。㉜問68参照。

正解2
いずれの選択肢も関連する出題がなされている。なお、政令指定都市は50万人以上、中核市は20万人以上である。知っておくと役立つ場合がある。

問題46 次のうち、都道府県地域福祉支援計画に関して社会福祉法に明記されている事項として、正しいものを2つ選びなさい。
1 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
2 重層的支援体制整備事業の提供体制に関する事項
3 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
4 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項
5 厚生労働大臣が指定する福利厚生センターの業務に関する事項

1は〇である。社会福祉法108条1項3号参照。
2は×である。市町村が定めるよう努めることとなっている(社会福祉法106条の5)。
3は×である。市町村地域福祉計画で定める内容である(社会福祉法107条1項4号)。
4は○である。社会福祉法108条1項4号参照。
5は×である。福利厚生センターの業務に関する事項は、社会福祉法103条に規定されている。

正解1,4
意識して欲しいのは、都道府県地域福祉支援計画と市町村地域福祉計画が別々に存在していることである。そこを意識できれば、次は役割分担の話である。実際の現場に近い内容であれば、市町村地域福祉計画で定めた方がよい(2と3)。反対に、市町村レベルではなく、都道府県でまとめて行ったものがよいものについては都道府県地域福祉支援計画で定めた方がよい(1と4)。さらに、全国一律にすべき内容については、法律で定めることになる(5)。

問題47 次のうち、法律で市町村に策定が義務づけられている福祉に関連する計画として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく高齢者居住安定確保計画
2 健康増進法に基づく市町村健康増進計画
3 自殺対策基本法に基づく市町村自殺対策計画
4 再犯の防止等の推進に関する法律に基づく地方再犯防止推進計画
5 成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画

1は×である。努力義務である。
2は×である。努力義務である。
3は〇である。
2016(平成28)年に施行された改正自殺対策基本法により、都道府県及び市町村に自殺対策計画の策定が. 義務付けられた。
4は×である。努力義務である。
5は×である。努力義務である。

正解3
難問だったと思われる。問題文から、市町村の役割なのか、策定が義務かどうか、という2つの視点が導ける。これをヒントにある程度までは絞れる。例えば、2は「増進計画」、4は「推進計画」となっているので、基準以上のものを求める計画と考えられるので、策定は任意あるいは努力義務だと推測できる。また、5の成年後見制度の利用促進は比較的新しい法律であり、内容から考えて努力義務だと推定できる。1と3まで絞れれば、策定が義務付けられるものとしてより相応しいものはいずれかという視点から決めるしかない。

問題48 次のうち、法律に基づき、福祉計画で定める事項として、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画における地域支援事業の見込み量
2 都道府県障害者計画における指定障害者支援施設の必要入所定員総数
3 市町村子ども・子育て支援事業計画における地域子ども・子育て支援事業に従事する者の確保及び資質の向上のために講ずる措置に関する事項
4 市町村障害福祉計画における障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に関する事項
5 市町村老人福祉計画における老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置に関する事項

1は×である。
地域支援事業の見込み量は、市町村介護保険事業計画で定める事項である。介護保険法117条2項2号参照。
2は×である。
指定障害者支援施設の必要入所定員総数は、都道府県障害者福祉計画(障害者基本法)ではなく、都道府県障害福祉計画(障害者総合支援法88条2項3号参照)で定める。
3は×である。
都道府県子ども・子育て支援事業支援計画で定める。子ども・子育て支援法62条2項4号参照。
4は○である。障害者総合支援法88条2項1号参照。
5は×である。都道府県老人福祉計画で定める。老人福祉法20条の9第3項1号参照。

正解4
難問だったと思われる(特に肢2)。まず都道府県と市町村の役割分担からアプローチしてみる。
1の地域支援事業の見込み量は、都道府県より市町村が定めるべき事項と考えられる。反対に、3の「地域子ども・子育て支援事業に従事する者の確保及び資質の向上のために講ずる措置に関する事項」や5の「老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置」は、市町村ではなく、都道府県が定めるべき事項と考えられる。
ここまでの過程で、答えは2か4に絞られる。役割分担の視点からは、いずれとも決め難い。改めて2を見ると「都道府県障害者計画」となっており、これは障害者基本法に規定のある計画である。指定障害者支援施設の必要入所定員総数は、障害者総合支援法の「都道府県障害福祉計画」で定める事項となっているので、2は誤りとなる。

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