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8.福祉行財政と福祉計画(R6年2月-第36回)

問題 42 次のうち、法律で規定されている福祉計画の記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市町村障害者計画は、市町村が各年度における指定障害福祉サービスの種類ごとの必要な量の見込みについて定める計画である。
2 都道府県子ども・若者計画は、都道府県が子どもの貧困対策について定める計画である。
3 都道府県老人福祉計画は、都道府県が介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施の支援について定める計画である。
4 市町村地域福祉計画は、市町村が地域福社の推進について市町村社会福祉協議会の地域福社活動計画と一体的に定める計画である。
5 市町村子ども・子育て支援事業計画は、市町村が教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の確保について定める計画である。

★★
1は×である。
市町村障害者計画ではなく、市町村障害福祉計画である。㉛問47肢3参照。
2は×である。
都道府県は、子ども・若者育成支援推進大綱を勘案して、当該都道府県の区域内における子ども・若者育成支援についての計画(「都道府県子ども・若者計画」)を定めるよう努めるものとされている(子ども・若者育成支援推進法9条1項)。
令和3年の同大綱の基本的な方針は、①全ての子供・若者の健やかな育成、②困難を有する子供・若者やその家族の支援、③創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援、④子供・若者の成長のための社会環境の整備、⑤子供・若者の成長を支える担い手の養成・支援、にあり、子どもの貧困対策について定めるものではない。
3は×である。
都道府県老人福祉計画ではなく、都道府県介護保険事業支援計画である(介護保険法118条1項)。
4は×である。
市町村地域福祉計画は、地域福祉推進の主体である地域住民等の参加を得て、地域生活課題を明らかにするとともに、その解決のために必要となる施策の内容や量、体制等について、庁内関係部局はもとより、多様な関係機関や専門職も含めて協議の上、目標を設定し、計画的に整備していくことを内容とするものである(社会福祉法117条1項)。
これに対し、市町村社会福祉協議会の地域福社活動計画は。民間の活動・行動計画である。地域福社活動計画は、地域福祉活動計画を具体化するものであり、同計画と一体的に策定されることが望ましいが、そのことをもって、市町村地域福祉計画は地域福社活動計画と一体的に定める計画とはいえない。㉟問37肢1、㉜問36肢2参照。
5は〇である。

正解5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
市町村子ども・子育て支援事業計画の内容を直接問う出題は初と思われる。他の選択肢は、肢2の都道府県子ども・若者計画を除き、近時の試験で出されている。肢1に関する知識に有無が正誤をわけたと考えられる。

問題 43 次のうち、入所の仕組みを利用契約制度と措置制度に分けた場合、措置制度に分類されている施設として、適切なものを2つ選びなさい。
1 軽費老人ホーム
2 老人短期入所施設
3 障害者支援施設
4 児童養護施設
5 救護施設

★★★
1は×である。
利用契約による。
2は×である。
利用契約による。例外的に措置により利用が開始することもあるが、原則は契約による利用である。
3は×である。
利用契約による。障害者支援施設は、障害者の入所を受け入れて居住の場や食事と日常生活上の世話および介護を提供する施設である。日中のケアは日中活動支援の「生活介護」として提供され、それ以外(夜間等)の支援全般は「施設入所支援」として提供される。
その背景には、朝起きて学校や仕事に出かけるように、重い障害を負っていても昼間のアクティビティが確保されるべきだという考えがある。日中活動支援のサービスについては、施設内のものを利用するか、外に出かけて外部のサービスを利用するかを利用者が自由に選べる。
4は〇である。
措置制度に分類される。
5は〇である。
措置制度に分類される。㉝問134肢3参照

正解4,5

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
児童養護施設が措置制度に分類されていることは多くの人が気づけたのではないだろうか。残る一つであるが、救護施設が生活保護法状の施設であることを知っていれば、措置制度に分類されていると推測できたであろう。

問題 44 地方公共団体の事務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の事務は、自治事務.法定受託事務、団体委任事務、機関委任事務の4つに分類される。
2 児童扶養手当の給付事務は、自治事務である。
3 社会福祉法人の認可事務は、法定受託事務である。
4 生活保護の決定事務は、団体委任事務である。
5 児童福祉施設の監査事務は、機関委任事務である。

★★
1は×である。
団体委任事務、機関委任事務という分類は、現在はない。
2は×である。
法定受託事務である。㉚問42肢4参照。
3は〇である。
㉚問42肢2参照。
4は×である。
団体委任事務という分類は、現在はない。なお、生活保護の決定事務は、法廷受託事務である。
5は×である。
機関委任事務という分類は、現在はない。

正解3

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
2000年の地方分権改革にあたり、1999年に機関委任事務と団体委任事務は廃止された(㉜問42参照)。この知識があれば、1,4,5が×とわかり、正解は2または3に絞られる。
法定受託事務とは、国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるものをいう。
これに対し、自治事務とは、地方公共団体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたものをいう(㉞問44参照)。ただ、この知識があっても、2と3のいずれが正しいかについては、迷った人が多かったと思われる。

問題45「令和5年版地方財政白書(令和3年度決算)」(総務省)に示された民生費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 歳出純計決算額は、前年度に比べて減少した。
2 目的別歳出の割合は、都道府県では社会福祉費よりも災害救助費の方が高い。
3 目的別歳出の割合は、市町村では児童福社費よりも老人福祉費の方が高い。
4 性質別歳出の割合は、都道府県では繰出金よりも人件費の方が高い。
5 性質別歳出の割合は、市町村では補助費等よりも扶助費の方が高い。


1は×である。
民生費の歳出純計決算額は、前年度に比べて増加した。
2は×である。
度道府県では、社会福祉費が3兆3,969億円(36.4%)で、災害救助費が422億円(0.5%)であり、圧倒的に社会福祉費の割合の方が高い。
3は×である。
市町村では、児童福祉費が10兆7,917億円(42.2%)で、老人福祉費が4兆1,191億円(16.1%)であり、児童福祉費の割合の方が高い。
4は〇である。
都道府県では、人件費が12兆4,012億円(18.7%)で、繰出金が7,511億円(1.1%)であり、繰出金よりも人件費の方が高い。
5は〇である。
市町村では、補助費等が5兆6,622億円(8.4%)で、扶助費が17兆3,476億円(25.7%)であり、扶助費の方が高い。

正解4と5

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
㉟問44、㉞問45、㉝問46、㉘問45に類問がある。 公式に、正解5と発表されたが、正解は4と5ではないだろうか???
このURLを参照した。 https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/r05data/2023data/r05020304.html

問題 46 社会福祉に係る法定の機関に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。
2 都道府県は、発達障害者支援センターを設置しなければならない。
3 市町村は、保健所を設置しなければならない。
4 市町村は、地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
5 市町村は、身体障害者更生相談所を設置しなければならない。

★★
1は〇である。
児童福祉法12条。㉟問45参照。
2は×である。
都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(以下「発達障害者支援センター」という。)に行わせ、又は自ら行うことができる(発達障害者支援法14条1項本文)。㉝問44、㉚問45参照。
3は×である。
地域保健法第5条1項により、都道府県、政令指定都市、中核市及び政令で定める市又は特別区が、保健所を設置することとされている。㉚問45参照。
4は×である。
地方社会福祉審議会は、都道府県並びに政令市及び中核市に設置される(社会福祉法7条)。
5は×である。
都道府県は、身体障害者の更生援護の利便のため、及び市町村の援護の適切な実施の支援のため、必要の地に身体障害者更生相談所を設けなければならない(身体障害者福祉法11条)。

正解1

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
3,4,5は感覚的に×とわかるであろう(市町村単位で置くものではないという意味で)。1と2については、過去問参照。

問題 47 次のうち、現行法上、計画期間が3年を1期とすると規定されている計画として、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村こども計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村健康増進計画
5 市町村地域福祉計画

★★
1は×である。
5年を一期とする(子ども子育て支援法61条1項)。
2は×である。
3年を一期とする(介護保険法117条1項)。
3は×である。
障害者計画は、障害者基本法第11条第3項の規定に基づき、障害者のための施策に関する基本的な事項を定める計画である。計画期間は、概ね5年である。
4は×である。
健康増進計画とは、健康増進法第8条の規定に基づき、国の基本方針を勘案して、当該都道府県の住民の健康の増進の推進に関する施策について定める基本的な計画である。期間についての規定はないが、概ね10年程度で見直されている。
5は×である。
地域福祉計画の計画期間は、他の計画との調整が必要であることから概ね5年とし3年で見直すことが適当である、とされている。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
介護保険が3年を一期として動いていることは知っておいて欲しい。

問題 48 次のうち、福祉計画を策定する際に用いられるパブリックコメントに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 行政機関が計画の素案を公表して広く意見や情報を募集する機会を設けることにより、人々の意見を計画に反映させる。
2 特定のニーズに対応するサービスの種類と必要量を客観的に算出することにより、サービスの整備目標を算出する。
3 専門家等に対して同じ内容のアンケート調査を繰り返し実施することにより、意見を集約していく。
4 集団のメンバーが互いの知恵や発想を自由に出し合うことにより、独創的なアイデアを生み出す。
5 意見やアイデアを記したカードをグループ化していくことにより、様々な情報を分類・整理していく。

★★★

正解1

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
パブリックコメントとは、規制の設定又は改廃等にあたり、政省令等の案を公表し、この案に対して国民から提出された意見・情報を考慮して意思決定を行う手続である。過去問では、㉝問41、㉗問29で出題されている。知らない場合、福祉計画の策定で用いられるパブリックコメント(公の意見)とは、どのようなものをいうのだろうかと推測して解く。

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