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6.地域福祉の理論と方法(R6年2月-第36回)1/2

問題 32 社会福祉協議会の歴史に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 1951年(昭和26年)に制定された社会福祉事業法で、市町村社会福祉協議会が法制化された。
2 1962年(昭和37年)に社会福祉協議会基本要項が策定され、在宅福祉サービスを市町村社会福祉協議会の事業として積極的に位置づける方針が示された。
3 1983年(昭和58年)に社会福祉事業法が一部改正され、都道府県社会福祉協議会を実施主体とする地域福祉権利擁護事業が開始された。
4 1992年(平成4年)に新・社会福祉協議会基本要項が策定され、社会福祉協議会の活動原則として住民主体の原則が初めて位置づけられた。
5 2000年(平成12年)に社会福社法へ改正されたことにより、市町村社会福祉協議会の目的は地域福祉の推進にあることが明文化された。

★★★
1は×である。
市町村社協の法制化は1983年のことである。
2は×である。
1962年に社会福祉協議会基本要項が策定されたとの前半部分は正しいが、後半部分は1979年の在宅福祉サービスの戦略で示された。
3は×である。
地域福祉権利擁護事業が開始されたのは、2000年である。
4は×である。
1992年に新・社会福祉協議会基本要項が策定されたとの前半部分は正しいが、住民主体の原則は1962年の社会福祉協議会基本要項で示されている(肢2参照)。
5は〇である。
㉝問36参照。

正解5

個々の正確な年号までは覚えていなくても構わないが、1から4までが誤りであることには気づけて欲しい。それができれば、消去法で正解を導くことができる。

問題 33地域福祉に関連する法律、事業に規定されている対象に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 ひきこもり支援推進事業の対象となるひきこもり状態にある者のひきこもりとは、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」によれば、原則的には2年以上家庭にとどまり続けていることをいう。
2 ヤングケアラー支援体制強化事業におけるヤングケアラーとは、家族への世話などを日常的に行っている 18歳から39歳までの者をいう。
3 生活福祉資金の貸付対象における低所得世帯とは、資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯であって、必要な資金の融通を他から受けることが困難である者をいう。
4生活困窮者自立支援法における生活困窮者とは、最低限度の生活を維持できていない者をいう。
5 日常生活自立支援事業の対象者とは、本事業の契約内容について理解できない者のうち、成年後見制度を利用していない者をいう。
(注) 「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」とは、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業(厚生労働省)においてまとめられたものである。

★★
1は×である。
2年ではなく、原則的に6か月以上である。2年では、介入するタイミングとして遅すぎると感じられればよい。
2は×である。
ヤングケアラーは、本来、18歳未満の者を念頭に置いている。ヤングケアラーがなぜ問題にされているのかといえば、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを子どもが日常的に行うことで、責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうからである。本肢については、正確に年齢を言えなくても、「18歳から39歳までの者」という限定がおかしいと感じられればよい。
3は〇である。
4は×である。
最低限度の生活を維持できていない者は生活保護の対象である。
5は×である。
日常生活自立支援事業を利用するには、同事業の契約内容については理解できることが必要である(そもそも本人が契約して利用するのだから)。

正解3

本問は一見すると知識がないと解けないようにみえるが、個々の選択肢は少し考えると正誤を判断できるものが多い。肢3が単独で正解とわからなくても、残りが誤りと判断できれば、消去法で答えは出る。

問題 34 次の記述のうち、市町村地域福祉計画に関する社会福祉法の規定として、正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項について定める。
2 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項について定める。
3 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項について定める。
4 市町村地域福社計画を定め、または変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聞かなければならない。
5 市町村地域福祉計画の公表に当たって、市町村はその内容等について、都道府県の承認を受けなければならない。


1は×である。
都道府県地域福祉支援計画で定める内容である(法108条1項3号)。㉟問46肢1参照。
2は×である。
都道府県地域福祉支援計画で定める内容である(法108条1項4号)。㉟問36肢4参照。
3は〇である。
法107条1項1号参照。
4は×である。
市町村は、市町村地域福祉計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、地域住民等の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする(法107条2項)。㉟問33肢2参照。 5は×である。
肢4の解説参照。

正解3

4と5については、もし設問のような規定があるとしたら、市町村地域福祉計画の意義が減殺されることから、誤りだと判断できる。残る3つの肢からどれを選べばよいのか迷った人が多かったと思われるが、その場合、「地域の…」を決め手に選んだ人もいたと思われる。都道府県地域福祉支援計画に関する1,2については、前年の㉟問46で出題されている。

問題35 社会福祉法に規定されている市町村による重層的支援体制整備事業に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 重層的支援体制整備事業は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するための事業である。
2 重層的支援体制整備事業は、市町村の必須事業である。
3 市町村は、重層的支援体制整備事業の実施にあたって、包括的相談支援事業、参加支援事業、地域づくり事業のいずれか一つを選択して、実施することができる。
4重層的支援体制整備事業のうち、包括的相談支援事業は、住宅確保要配慮者に対する居住支援を行う事業である。
5 市町村は、重層的支援体制整備事業実施計画を策定しなければならない。

★★
1は〇である。
2は×である。
任意事業である(法106条の4第1項参照)。
3は×である。
重層的支援体制整備事業を実施するときは、包括的相談支援事業、参加支援事業、地域づくり事業を一体のものとして行う必要がある(法106条の4第2項参照)。㉞問35肢4参照。
4は×である。
包括的相談支援事業は、属性や世代を問わず包括的に相談を受け止め、支援機関のネットワークで対応し、複雑化・複合化した課題については適切に多機関協働事業につなぐことにある(法106条の4第2項1号参照)。
5は×である。
重層的支援体制整備事業を実施する場合でも、策定は努力義務である(法106条の5第1項参照)。

正解1

重層的支援体制整備事業は、㉞問35、㉟問33、㉟問34、㉟問36で、断片的に出題されていた。本問は、重層的支援体制整備事業に焦点を当てた問題であるが、事業の概要を知っていれば、積極法で1を選べたであろう。

問題 36 地域福社に係る組織、団体に関する現行法上の規定の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 特定非営利活動促進法において、特定非営利活動法人は、内閣府の認可により設立される。
2 民生委員法において、民生委員協議会は、民生委員の職務に関して、関係各庁に意見を具申することができる。
3 社会福祉法において、社会福祉法人は、社会福祉事業以外の事業を実施してはならない。
4 保護司法において、保護司会連合会は、市町村ごとに組織されなければならない。
5 社会福社法において、市町村社会福祉協議会の役員には、関係行政庁の職員が5分の1以上就任しなければならない。

★★★
1は×である。
特定非営利活動法人の設立認証等を行う所轄庁は、原則として主たる事務所が所在する都道府県知事とである。その事務所が一の指定都市の区域内のみに所在する場合は、 当該指定都市の長となる(特定非営利活動促進法9条)。㉞問119参照。
2は〇である。
㉚問34肢2参照。
3は×である。
社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益を目的とする事業又はその収益を社会福祉事業若しくは公益事業(略)の経営に充てることを目的とする事業(「収益事業」)を行うことができる(社会福祉法26条1項)。㉚問38肢1参照。
4は×である。
保護司は、その置かれた保護区ごとに保護司会を組織する(保護司法13条1項)。
5は×である。
「5分の1を超えてはならない」が正しい(法109条5項)。関係行政庁の職員が役員になる割合が多すぎても問題であろう。具体的な数がわからなかったとしても、「〇〇以上就任しなければならない」という規定に違和感を感じて欲しい。

正解2

2は関連した出題があるが、知っていた人はそう多くはないかもしれない。ただ、内容的には特に問題のない記述といえる(設問のような規定の必要性も許容性もある)。これが正しいそうだと感じたら、他の肢はどこかに変な部分がないかを確認するというのも解くための一つの方法である。

問題37 事例を読んで、生活困窮者自立相談支援事業のB相談支援員(社会福社土)の支援方針として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕 Cさん(60歳)は、一人暮らしで猫を多頭飼育している。以前は近所付き合いがあったが今はなく、家はいわゆるごみ屋敷の状態である。B相談支援員は、近隣住民から苦情が出ていると民生委員から相談を受けた。そこでBがCさん宅を複数回訪問すると、Cさんは猫を可愛がっており、餌代がかかるため、自身の食事代を切り詰めて生活していることが分かった。Cさんは、今の生活で困っていることは特になく、近隣の苦情にどのように対応すればよいか分からない、と言っている。

1 Cさんの衛生環境改善のため、市の清掃局にごみを強制的に回収してもらうことにする。
2 Cさんの健康のため、保健所に連絡をして猫を引き取ってもらうことにする。
3 Cさんの地域とのつながりを回復するため、苦情を言う住民も含めて、今後の関わり方を検討することにする。
4 Cさんの主体性を尊重するため、Cさんに積極的に関わることを控えることにする。
5 Cさんと地域とのコンフリクトを避けるため、引っ越しのあっせんを行うことにする。

★★★
1は×である。
強制的に回収するという方法は、支援方法として適切とはいえない。
2は×である。
ごみ屋敷の状態にあり、猫の餌代のために自身の生活費を切り詰めているとはいえ、Cは健康上の不安を訴えているわけでもなく、今の生活で困っていることも特にないと感じている。
3は〇である。
4は×である。
あまりにも消極的な対応である。㉝問32肢1参照。
5は×である。
現在の状況に何の問題も感じていないCが応じるとは思われないし、根本的な問題の解決にならない。

正解3

知識に頼るよりも、事例に照らして、選択肢の中から社会福祉士の支援方針としてもっとも適切なものを見つければよい。

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