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5.現代社会と福祉(R6年2月-第36回)2/2

問題27 次のうち、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」で示された内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 在留外国人の出身国籍が多様化する傾向が止まり、南米諸国出身の日系人が在留者の大部分を占めるようになった。
2 日本社会に活力を取り込むために、高度で専門的な技術・知識を有する者以外の外国人材の受入れを抑制する。
3. 外国人との共生社会は、一人ひとりの外国人が日本社会に適応するための努力をすれば実現可能である。
4 外国人が安全に安心して暮らせるように、外国人に対する情報発信や相談体制を強化する。
5 共生社会の実現のために、在留外国人には納税及び社会保険への加入の義務を免除する。
(注)「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」とは、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議が 2022年(令和4年)6月14日に策定した文書のことである。

★★★
1は×である。
日本に住む在留外国人については、国籍の多様化が進んでいる。国別に多いのは、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジルの順であり、圧倒的多数を占めているのはアジアの国である。選択肢の前半はわからないとしても、後半部分は誤りだとわかる。
2は×である。
日本社会に活力を取り込むには、多様な人材の受け入れが必要になる。
3は×である。
個々の外国人の努力だけでは、共生社会の実現は難しい。
4は○である。
外国人に対する情報発信や相談体制を強化することは、外国人との共生社会の実現のために必要だといえる。
5は×である。
在留外国人に社会保険への加入が納税の義務を免除するなら、共生社会は実現できないだろう。

正解4

本問は推論で解くことができる。

問題 28 次のうち、エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen, G.)の福祉レジーム論に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 福祉レジームは、残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。
2 市場や家族の有する福社機能は、福祉レジームの分析対象とはされない。
3 スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。
4 各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。
5 福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いる。

★★★
1は×である。
残余的モデルと制度的モデルは、ティトマスが提唱した。
2は×である。
市場や家族の有する福社機能も分析対象となっている。
3は×である。
スウェーデンは社会民主主義レジーム、ドイツは保守主義レジームである。
4は×である。
会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析は、アンデルセン以前の主要な考察対象だった。アンデルセンは、それとは異なる分析枠組を提示した。
5は○である。
(労働力の)脱商品化は、アンデルセンのキーワードである。

正解5

㉞問24肢1、㉘問22参照。少し前に良く出された問題である。

問題 29 所得の再分配に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 市場での所得分配によって生じる格差を是正する機能を有しうる。
2 現物給付を通して所得が再分配されることはない。
3 同一の所得階層内部での所得の移転を、垂直的な所得再分配という。
4 積立方式による公的年金では、世代間の所得再分配が行われる。
5 高所得者から低所得者への所得の移転を、水平的な所得再分配という。

★★★
1は○である。
2は×である。
現物給付を通しての所得の再分配も考えられる。
3は×である。
水平的な所得の再分配である。
4は×である。
積立方式なら、積立てた世代での所得再分配となる。賦課方式の場合に、世代間の所得再分配が行われる。
5は×である。
垂直的な所得の再分配である。

正解1

所得の再分配に関する基礎的知識の有無を聞く問題である。

問題30 次のうち、社会福社法に設置根拠をもつものとして、正しいものを2つ選びなさい。
1 地域包括支援センター
2 母子家庭等就業・自立支援センター
3 福祉に関する事務所(福祉事務所)
4 運営適正化委員会
5 要保護児童対策地域協議会

★★★
1は×である。
介護保険法115条の46参照。
2は×である。
母子及び父子並びに寡婦福祉法30条、31条。
3は○である。
社会福祉法14条から17条参照。
4は○である。
社会福祉法83条から87条参照。
5は×である。
児童福祉法25条の2参照。

正解3,4

社会福祉法なので、障害、児童、高齢、母子や父子といったカテゴリーを超えたものについての規定が置かれていると考えることができる。そうすると、1,2,5は、分野が限られているので、誤りではないかと推測でき、消去法で答えを導くことができる。

問題 31 居住支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 住宅確保要配慮者居住支援協議会は、住宅確保要配慮者に対して家賃の貸付けを行っている。
2 住居確保給付金は、収入が一定水準を下回る被用者に限定して、家賃を支給するものである。
3 シルバーハウジングにおけるライフサポートアドバイザーは、身体介護を行うために配置されている。
4「住宅セーフティネット法」は、住宅確保要配慮者が住宅を購入するための費用負担についても定めている。
5 地方公共団体は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者を対象とする公営住宅を供給している。
(注)「住宅セーフティネット法」とは、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」のことである。


1は×である。
住宅確保要配慮者居住支援協議会は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に 特に配慮を要する者 (住宅確保要配慮者) が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう推進する組織である(住宅セーフティネット法10条)が、家賃の貸付は行っていない。
2は×である。
生活困窮者住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)第6条に基づき、離職、自営業の廃業、またはこれらと同等の状況に陥ったことにより、経済的に困窮し、住居を喪失した方又は住居を喪失するおそれのある人を対象に、家賃相当額(上限あり)を支給する制度である。㉞問34肢1参照。
3は×である。
アドバイザーと身体介護はかみあわないであろう。ライフサポートアドバイザーは、シルバーハウジング、サービス付き高齢者向け住宅等に居住している高齢者に対して、日常の生活指導、安否確認、緊急時における連絡等のサービスを行なう。
4は×である。
住宅セーフティネット法の柱である「入居者の経済的支援」には、家賃と家賃債務保証料等の低廉化及びセーフティネット登録住宅への住替えに対する補助があるが、購入するための費用については定められてない。
5は〇である。
都営住宅や県営住宅という言葉は多くの人が耳にしていると思われる。その根拠は公営住宅法である。

正解5

判断に迷う肢もあるが、本問については積極法で5を選べれば十分である。

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
住宅セーフティネット法は
①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅(セーフティネット登録住宅)の登録制度。
②登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
③住宅確保要配慮者に対する居住支援
の3つの柱からなる。

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