お知らせnews

24.更生保護制度(R6年2月-第36回)

問題 147 事例を読んで、この場合の仮釈放の手続きに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
裁判所の判決で3年の懲役刑を言い渡されて、刑事施設に収容されていたJさんは、仮釈放の審理の対象となった。

1 仮釈放の要件として、刑の執行から最短でも2年を経過している必要がある。
2 仮釈放の要件として、改悛の状があることがある。
3 仮釈放を許す処分を決定するのは、地方裁判所の裁判官である。
4 仮釈放の対象となるのは、初めて刑事施設に入った者に限られる。
5 仮釈放の期間中、Jさんの希望により、保護観察が付される。

★★
1は×である。
最短でも2年経過しているという要件はない。有期刑では刑期の3分の1、無期刑では10年を経過していることが必要である。
2は○である。
3は×である。
仮釈放の決定は、地方更生保護委員会が行う。㉟問148肢2参照。
4は×である。
初めて刑事施設に入った者に限るという要件はない。これは感覚的に誤りと判断できるのではないだろか。
5は×である。
保護観察を付すかどうかは、本人の希望の有無にかかわらず、地方更生保護委員会が決定する。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
最近の過去問で問われていない肢が多く、迷った人も多かったと思われる。
ただ、感覚的(常識的)に誤りと判断できるものも多い。例えば、1は有期刑が2年よりも短い場合は仮釈放が認められないのはおかしいと感じられる。
4も初めて刑事施設に入った者に限る必要はないはずだと感じられる。
5は、保護観察が本人の希望に左右されるのはおかしいと感じられる。2と3まで絞れたら、正解できる確率が高くなる。

問題 148保護司に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 法務大臣から委嘱される。
2 検察官の指揮監督を受ける。
3 保護観察における指導監督の権限はない。
4 担当する事件内容によっては給与が支給される。
5 刑事施設収容中の者との面会は禁じられている。

★★
1は○である。
保護司は、保護観察所の所長が推薦し、法務大臣が委嘱する。㉛問148肢2参照。
2は×である。
保護司は、都道府県の保護観察所の指揮監督を受ける。検察官は刑事事件について、裁判所に公訴を提起し、その処罰を求めることが主な任務である。このことから、本肢は誤りと判断して欲しい。
3は×である。
保護司には、保護観察における指導監督の権限がある。保護観察官と保護司は、保護観察における指導監督と補導援護を協働で行う。㉘問148肢1参照。
4は×である。
保護司には給与は支給されない。ただし、職務に要した費用は実費弁償の形で支給されている。問148肢4参照。
5は×である。
刑事施設収容中の者との面会は禁じられていない。もしこれが禁止されているなら、保護司はその任務を遂行しえないだろう。

正解1

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
基本的な知識である1を積極法で選びたい。ただ、他の肢は、内容から誤りと判断できるものが多い。

問題 149事例を読んで、社会復帰調整官の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
精神保健観察中のKさんは、地域生活を送っている中で家族関係が悪化し、仕事にも行けなくなってきた。保護観察所は、関係機関の担当者とともにケア会議を開催し、Kさんの状態の情報共有と今後の処遇について話し合った。

1 Kさんが継続的に医療を受けるよう、保護司に指導を指示する。
2 指定通院医療機関への通院状況を確認する。
3 精神保健観察の期間延長を決定する。
4 指定入院医療機関に入院させることを決定する。
5 今回作成する処遇の実施計画の内容をKさんに秘匿することを決定する。

★★★
1は×である。
保護司への指揮監督は、保護観察所が行う。
2は○である。
Kは、家族関係が悪化し、仕事にも行けなくなってきているので、社会復帰調整官が指定通院医療機関への通院状況を確認することは適切である。
3は×である。
精神保健観察の期間延長は地方裁判所が決定する。
4は×である。
指定入院医療機関への入院は、裁判官と精神科医の合議体による審判によって決められる。㉞問150肢4参照。
5は×である。
処遇の実施計画の内容については、本人に説明し理解を得られるように努めるべきであり、秘匿するのは適切でない。

正解2

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
医療観察制度と社会復帰調整官の役割が大体理解できていれば、1,3,4が誤りであることは判断できる。残る2と5を比較した場合、正解である2を選ぶことは容易であろう。

問題150 刑の一部の執行猶予制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 本制度の導入により、検察官による起訴猶予の処分は廃止された。
2 本制度の導入により、執行する刑の全てを猶予する制度は廃止された。
3 本制度の導入により、釈放後の生活環境の調整をする制度は廃止された。
4 本制度の刑の一部の執行猶予期間は、刑期とともに判決時に言い渡される。
5 本制度において、保護観察が付されることはない。

★★
1は×である。
刑の一部の執行猶予制度が導入されても、検察官による起訴猶予の処分は存続している。起訴するかどうかを決める権限は検察官が有している。
2は×である。
執行する刑の全てを猶予する制度は廃止されていない。
3は×である。
刑の一部の執行猶予制度ができても、釈放後に生活環境の調整をする必要性はあるといえる。したがって、本肢は誤りと判断できる。
4は○である。
被告人にとっては、刑期と同様に、執行猶予も重要な意味を持つ。したがって、いずれも判決時に言い渡される。
5は×である。
刑の一部の執行猶予制度ができても、保護観察を付す必要性・合理性がある場合が考えられる。そのため、本肢は誤りと判断して欲しい。㉛問147肢3参照。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問を予想していた人は少数だったと思われる。しかし、起訴、執行猶予、保護観察の意味が(大体)わかっていれば、消去法で4を選ぶことは可能である。
第37回から新カリキュラムに基づく試験になるが、更生保護は名前を変えて存続する。多くの人が得点できる問題については、しっかりと点を稼ぎたい。

一覧に戻る