問題147 保護観察に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察処分少年の保護観察の期間は、少年の希望を反映して決定される。
2 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除する。
3 保護観察所の長は、少年院仮退院者について、少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。
4 仮釈放を許された者は、仮釈放の期間満了後、保護観察に付される。
5 懲役刑の全部の執行を猶予された者は、被害者の請求により保護観察に付される。
1は×である。
保護観察処分少年の保護観察の期間は、原則として20歳まで(その期間が2年に満たないときは2年)である(更生保護法66条本文)。少年の希望が反映されるものではない。
2は〇である。
保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除するものとする(同法69条)。
3は×である。
少年院に戻して収容する旨の決定は、家庭裁判所が行う(同法72条1項)。
4は×である。
仮釈放の期間中、保護観察に付されるのであり、仮釈放の期間満了後は、保護観察は終了する。なお、無期刑の仮釈放の場合は、一生仮釈放の状態なので、保護観察も一生続くことになる。
5は×である。被害者の請求による保護観察はない。
正解2
問題148 事例を読んで、X保護観察所が行うことができる措置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
少年院に収容されているMさん(17歳)は、親元に帰住することが難しいため、親元以外への帰住を希望している。X保護観察所はどのような措置をとるか検討した。
1 Mさんの少年院入院中に、釈放後の住居を確保することを調整する。
2 Mさんの仮退院を許可する。
3 Mさんの仮退院時に特別遵守事項を定める。
4 Mさんの少年院入院中に、一般遵守事項から住居に関する事項を削除する。
5 Mさんの仮退院時に保護観察期間を定める。
護観察 とは、犯罪をした人または非行のある少年が、社会の中で更生するように、保護観察官及び保護司による指導と支援を行うものである。その中には、釈放後の住居を確保するための調整も含まれる。
2は×である。仮退院の許可は、地方更生保護委員会が行う(更生保護法41条)。
3は×である。仮退院時に特別遵守事項を定めるのは、地方更生保護委員会である(同法52条2項、3項)。
4は×である。このような規定はない。
5は×である。仮退院時の保護観察期間は、原則として20歳までであり、X保護観察所が決められるものではない。
問題149 更生保護における就労支援に関わる機関・団体に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 保護観察所は、保護観察対象者の補導援護として、必要に応じて職業のあっせんを行っている。
2 保護観察対象者は、公共職業安定所(ハローワーク)において、補導援護を受けることが義務化されている。
3 公共職業安定所(ハローワーク)は、協力雇用主に対し、保護観察対象者の雇用を命ずることができる。
4 保護観察所は、協力雇用主に対し、刑務所出所者のみを雇用することを命ずることができる。
5 公共職業安定所(ハローワーク)は、個々の保護観察対象者に対し、求人開拓から就職まで総合的な就労支援を行っている。
保護観察所の補導援護には、就労に関する情報の提供や、ハローワークへの同行が含まれるが、職業のあっせんは行わない。
2は×である。
保護観察官は、基本的に、地区(例:東京都千代田区)ごとに担当が割り振られ、当該地区に居住する保護観察対象者をすべて担当する。個々の保護観察対象者には、保護観察官が直接、保護観察を実施する場面や、担当の保護司(1人又は複数)が指名される場合があり、保護観察官と保護司が役割を分担しながら協働して指導・支援が行われる。保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、指導(指導監督)、支援(補導援護)を行うことにより実施する。㉘問題147肢4参照。
3は×である。協力雇用主は、雇い入れの自由を有している。常識的に考えても誤りと判断できる。
4は×である。
肢3と同じことがいる。なお、保護観察の対象となった人などを雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う協力雇用主に対し、奨励金が支払われる制度がある。
5は〇である。
厚生労働省及び法務省は、2006年度(平成18年度)から、刑務所出所者等の就労の確保のため、刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施している。この取組は、矯正施設在所者に対しては、ハローワークと矯正施設が連携して、本人の希望や適性等に応じて職業相談、職業紹介、事業主との採用面接及び職業講話等を実施するなどして計画的に支援を行うとともに、保護観察対象者等に対しては、ハローワーク職員が保護観察官とチームを作り、本人に適した就労支援の方法を検討した上で、職業相談・職業紹介を実施するものである。
正解5
本問は、1か5かで迷った人が多かったと思われる。
問題150 「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対象となる行為は、殺人、放火、強盗、強制わいせつ、強制性交等及び傷害等に当たる行為である。
2 社会復帰調整官は、各地方裁判所に配属されている。
3 入院決定を受けた者に対して医療を実施する指定入院医療機関は、都道府県知事が指定した病院である。
4 通院決定がなされた場合、指定通院医療機関による医療を受けることができる期間の上限は10年である。
5 地域社会における精神保健観察は、保護観察官と保護司が協働して実施すると規定されている。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
1は〇である。一定の重大な犯罪に限られている。
2は×である。社会復帰調整官が配属されるのは、保護観察所である。㉜問62肢2参照。
3は×である。指定するのは、厚生労働大臣である。㉝問149肢2参照。
4は×である。
当該決定があった日から起算して三年間とする。ただし、裁判所は、通じて二年を超えない範囲で、当該期間を延長することができる(医療観察法44条)。㉝問149肢5参照。
5は×である。
社会復帰調整官が行う。地域社会において行われる通院医療,精神保健観察及び精神保健福祉サービス等の援助の内容や方法を明らかにするため,保護観察所では,関係する機関と協議して,対象となる一人ひとりについて「処遇の実施計画」を作成する。地域社会における処遇は,この実施計画に基づいて,関係機関が相互に連携協力して進めるものとされている。
正解1