問題143 福祉と就労などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ワークフェアとは、柔軟な労働市場を前提とし、他の労働市場に移動可能な就労支援プログラムを提供するシステムである。
2 ベーシックインカムとは、権利に基づく福祉給付を得るときに、就労という義務を課す政策である。
3 アクティベーションとは、福祉と就労を切り離し、国民に対して最低限の所得保障給付を行う政策である。
4 ディーセント・ワークとは、働きがいのある、人間らしい仕事のことをいう。
5 アウトソーシングとは、職場や地域における性別役割分担を見直そうとする考え方である。
ワークフェアは、権利に基づく福祉給付を得るときに、就労という義務を課す政策である。
2は×である。
ベーシックインカムは、福祉と就労を切り離し、国民に対して最低限の所得保障給付を行う政策である。
3は×である。
アクティベーションは、柔軟な労働市場を前提とし、他の労働市場に移動可能な就労支援プログラムを提供するシステムである。
4は○である。
5は×である。
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部に委託することを指す。自社に不足している人材やサービスを外部から調達することで、企業の生産性向上や競争力強化に寄与する場合がある。
正解4
㉝問143に類題がある。また、脚については、㉘問143肢1に同じ肢がある。㉗問31参照。
問題144 有期雇用労働者などの保護を定める労働法規に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けないよう努めなければならないと定められている。
2 「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、短時間・有期雇用労働者からの求めに応じ、通常の労働者との待遇差の内容や理由などについて説明しなければならないと定められている。
3 労働契約法では、有期労働契約による労働者について、その契約期間が満了するまでの間において、やむを得ない理由がなくても解雇できると定められている。
4 労働契約法では、有期労働契約が反復更新されて通算3年を超えたときには、労働者からの申込みにより、当該契約は無期労働契約に転換されると定められている。
5 短時間・有期雇用労働者は、労働者災害補償保険法の適用対象とはならない。
(注)「パートタイム・有期雇用労働法」とは、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」のことである。
1は×である。
「不合理と認められる相違を設けてはならない」(パートタイム・有期雇用労働法8条)。
2は〇である。パートタイム・有期雇用労働法14条2項。
3は×である。
契約期間中は、やむをえない理由がなければ解雇できない(労働契約法第17 条第1項)。
4は×である。5年を超えた場合である(労働契約法18条1項)。
5は×である。短時間・有期雇用労働者も、労働者災害補償保険法の適用対象である。
正解2
3と5は、常識的にも誤りと判断できる。4は悩むかもしれないが、3年という期間をどう考えるかにかかっている。残る1と2は、同一労働同一賃金の流れに、どちらがより即しているかという観点から判断する。
問題145 「障害者雇用促進法」が定める雇用義務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている精神障害者は、雇用義務の対象となる。
2 雇用率のカウントに際し、重度の知的障害者を1人雇用したときは、重度以外の知的障害者を3人雇用したものとして扱われる。
3 民間企業の法定雇用率は、国・地方公共団体の法定雇用率より高く設定されている。
4 厚生労働大臣は、法定雇用率未達成の民間事業主の企業名を公表しなければならない。
5 地方公共団体は、法定雇用率未達成の場合に、不足する障害者数に応じて納付金を納付しなければならない。
(注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
2は×である。3人ではなく、2人雇用したものとして扱われる。
3は×である。国・地方公共団体の法定雇用率の方が高く設定されている。
4は×である。
厚生労働大臣は、前条第一項の計画を作成した事業主が、正当な理由がなく、同条第五項又は第六項の勧告に従わないときは、その旨を公表することができる(障害者雇用促進法47条)。
5は×である。地方公共団体には、納付する義務はない。
正解1
問題146 事例を読んで、福祉事務所のK生活保護現業員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Lさん(28歳)は、両親(父68歳、母66歳)と同居し、両親の基礎年金と父のアルバイト収入により、3人家族で生活している。しさんは、健康状態に問題があるようには見えないにもかかわらず、仕事をせずに自宅に引き籠もる生活を数年続けている。世帯主である父親が病気で入院し、蓄えも尽き、医療費の支払いも困難になったため、Lさん家族は1か月前から生活保護を受けるようになった。担当のK生活保護現業員は、Lさんに対し、面談を行うなどして就労を促しているが、Lさんは、体調が優れないことを理由に働こうとしない。そこで、K生活保護現業員は、次の段階としてLさんにどのような対応をとるべきか、検討することにした。
1 生活保護現業員による指導・指示に従わないことを理由とする保護の停止に向けて、書面で就労を促す。
2 Lさんを世帯分離して、保護の必要性の高い父親と母親だけに保護を適用する。
3 医療機関での受診を促し、その結果を基にケース診断会議等によりLさんの就労阻害要因を探る。
4 早急に仕事に就くという自立活動確認書を作成するようLさんに命じる。
5 不就労がこのまま継続すると.稼働能力の不活用により保護の打ち切りが検討されることになる旨を説明し、Lさんに就労を促す。
1は×である。
現在、Lは家族で生活保護を受けている。父は医療費の支払いも困難な状況であることから、保護の停止に向けて動くのは不適切である。
2は×である。
Lが働こうとしない理由が明確でない段階で、形だけ世帯分離をしても、適切な解決には結びつかない。
3は〇である。
Lは体調がすぐれないことを理由に働こうとしないのであるから、Kが、それが何に起因するのかをたしかめるために、医療機関での受診を促し、その結果を基にケース診断会議等によりLさんの就労阻害要因を探ることは、適切な対応といえる。
4は×である。
Lに働く意欲が感じられない現状においては、早急に仕事に就くという自立活動確認書の作成を命じるのは強要となりかねない。
5は×である。
保護の打ち切りが家族に対してのものであるなら、1が不適切であることと同じことがいえる。また、L単独での廃止を意味しているとしても、3の方がより適切である。
正解3
確実に得点したい問題である。