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22.児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(R6年2月-第36回)

問題 136 子ども・家庭の生活実態に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「令和4年版男女共同参画白書」(内閣府)によると、子供がいる世帯の妻の就業状態は、パートタイム労働よりフルタイム労働の割合が高くなっている。
2 「令和4年版犯罪白書」(法務省)によると、少年の刑法犯等検挙人員は令和3年には戦後最大となった。
3 「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)によると、いじめの認知(発生)件数は、令和2年度に比べ減少した。
4 「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約8割である。
5 「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」の小学校調査によると、「ヤングケアラーと思われる子どもの状況」(複数回答)では、「家族の通訳をしている(日本語や手話など)」に比べて、「家族の代わりに、幼いきょうだいの世話をしている」が多い。
(注) 「令和3年度ヤングケアラーの実態に関する調査研究」とは、株式会社日本総合研究所が、令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業(厚生労働省)として実施したものである。母子家庭の世帯の平均年間収入は、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得の約8割である。

★★
1は×である。
フルタイム労働よりパートタイム労働の割合が高い。
2は×である。
令和3年の少年の刑法犯等検挙人員は2万9802人で、戦後最少を更新した。少年の刑法犯等検挙人員は、戦後の1951年以降、大きな流れとしては減少傾向にある。
3は×である。
いじめの認知(発生)件数は、令和3年度(61万5351件)の方が、令和2年度(51万7163件)より多い。
4は×である。
母子家庭の世帯の平均年間収入は373万円であり、同年の国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得(およそ813万円)の約45%である。8割は多すぎると感じた人が多かったのではないだろうか。
5は○である。

正解5

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
1,3,4については、感覚的に誤りと判断できる。2については、知っていた人も多かったのではないだろうか。消去法で5を選ぶ。

問題 137 児童福社法の総則規定に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 全て国民は、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重されるよう努めなければならない。
2 全て保護者は、その養育する児童の福祉を等しく保障される権利を有する。
3 国は、児童を育成する第一義的責任がある。
4 全て国民は、児童の最善の利益を実現しなければならない。
5 全て児童は、家庭で育てられなければならない。


1は○である。法2条参照。
2は×である。
「全て保護者は」ではなく、「すべての児童は、福祉を等しく保障される権利を有する」(法1条)と規定されている。
3は×である。
児童の保護者が、児童を育成する第一義的責任があることが規定されている(法2条2項)。
4は×である。
すべての国民は、児童の利益が優先して考慮されるよう努めなければならない(法2条1項)。
5は×である。
原則としては選択肢のとおりであるが、例外が認められることは明らかであろう。

正解1

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
3,5は、内容から誤りと判断できるであろうが、残りの肢は、知らないと悩むであろう。

問題 138 事例を読んで、R市子育て支援課のB相談員(社会福祉士)がR市で利用可能なサービスの中から紹介するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Cさん(2歳)の母親であるDさんは、他の子どもと比べてCさんの言葉が遅れていると気に病むようになり、外に出かけにくくなった。心配したCさんの祖母がDさんと共にR市子育て支援課に相談に来た。Bは、2人の話を聞き、どのようなサービスが利用可能かを一緒に検討することにした。

1 保育所への入所
2 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の利用
3 児童館の利用
4 子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の利用
5 児童相談所の利用

★★
1は×である。
Cの言葉の遅れについての対応ができない。
2は○である。
母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)は、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供することを目的に設立されたものであり、保健師等を配置して、妊産婦等からの相談に応じ、健診等の母子保健サービスと地域子育て支援拠点等の子育て支援サービスを一体的に提供できるよう、必要な情報提供や関係機関との調整、支援プランの策定などを行う機関である。
2024年4月から、同センターは、法に基づく子ども家庭センターに統合されている(母子保健法17条の2第3項、20条の2第1項、児童福祉法20条の2第1項参照)。
3は×である。
Cの言葉の遅れについての対応ができない。
4は×である。
Cの言葉の遅れについての対応ができない。
5は×である。
Cの言葉の遅れやDの悩みを相談する機関として適切ではない。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
Dは2歳の子Cに言葉の遅れがあることを心配してCの祖母と二人でR市子育て支援課に相談に来ている。相談を受けたR市子育て支援課のBが紹介するサービスとしては、Cに言葉の遅れがあるかどうかを判定できるところでなければならない。この観点から1,3が誤りであることはすぐに判断できる。
また、児童相談所も本事例のような相談を受けることを念頭に置いて設置されている機関ではないので、5も不適切だと判断できる。残る2と4については、知識がないと決めてに欠けるであろうが、名称からして2>4と判断した人も相当数いたと考えられる。

問題 139 児童扶養手当に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 生活保護を受給していることが支給要件である。
2 児童扶養手当法における児童とは、障害がない子どもの場合、18歳到達後の最初の3月31日までの間にある者をいう。
3 児童扶養手当は児童手当と併給できない。
4 支給額は、世帯の収入にかかわらず一定である。
5 父子世帯は、支給対象外となる。

★★
1は×である。
このような受給要件はない。むしろ保護の補足性からすれば、児童扶養手当の受給の方が優先するので、その結果、生活保護を受給しなくて済む場合が考えられる。
2は○である。
㉚問55肢5参照。知らなければ、△にして先に進む。なお、児童に一定の障害があるときは、20歳未満まで児童扶養手当が支給される。
3は×である。
児童扶養手当は児童手当と併給できる。㉟問140肢3参照。
4は×である。
支給額は、世帯の収入により異なる。
5は×である。
2010年8月から、父子世帯も支給対象となった。

正解2

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
過去問で2の知識を押さえていた人は、積極法で答えを導ける。
それが難しい場合は、消去法を用いることになる。1,3の×はわかりやすい。4も感覚的におかしく、5も近年の傾向から考えて誤りと判断できたのではないだろうか(㉟問26肢5参照)。

問題 140 次の記述のうち、次世代育成支援対策推進法に関して、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 少子化に対処するための施策を総合的に推進するために、全ての児童が医療を無償で受けることができる社会の実現を目的としている。
2 都道府県及び市町村には、10年を1期とする次世代育成支援のための地域における行動計画を策定することが義務づけられている。
3 政府には、少子化に対処するための施策を指針として、総合的かつ長期的な労働力確保のための施策の大綱を策定することが義務づけられている。
4 常時雇用する労働者の数が100名を超える事業主(国及び地方公共団体を除く)は、一般事業主行動計画を策定しなければならない。
5 都道府県を基盤とした一元的な保育の給付について規定されている。

★★
1は×である。
全ての児童が医療を無償で受けられる社会の実現は、次世代育成支援対策推進法の目的には入っていない。小学校就学前の児童の医療費無償化はすでに多くの自治体で行われており、医療を無償で受けられる社会の実現だけをことさらに強調している選択肢には違和感があるのではないだろうか。
2は×である。
5年を1期とする(法8条1項、9条1項参照)。㉝問140肢2参照。
3は×である。
総合的かつ長期的な労働力確保のための施策の大綱を策定することは義務つけられていない。そうした大綱は少子化対策とまったく関連性がないとまでは言えないが、かなり間接的なものだと感じる。
4は〇である。㉝問140肢3参照。
5は×である。
都道府県を基盤とした一元的な保育の給付についての法の規定はない。

正解4

🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
正解肢となる4については、最近の過去問で出題されているが、それを知らないと判断しづらい肢がいくつかある。
ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
都道府県と市町村の行動計画は、条文上は「策定することができる」だが、過去問解説書では、義務となっている。
根拠は何か?興味がある人は、是非、調べてみて下さい。

問題 141 特別養子縁組の制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 配偶者のない者でも養親となることができる。
2 養子となることができる子の年齢上限は、6歳である。
3 養親には離縁請求権はない。
4 特別養子縁組の成立には、実親の同意は原則として必要ではない。
5 特別養子縁組は、都道府県が養親となる者の請求により成立させることができる。

★★
1は×である。
養親となる者は配偶者のある者でなければならない(民法817条の3)。
2は×である。
年齢上限は15歳である(民法817条の5)。かつては6歳未満であったが、2019年の改正で年齢上限が引き上げられた。
3は〇である。
保護を必要とする幼児の養育という特別養子の趣旨から,養親から離縁を求めることはできない(民法817条の10参照)。㉛問78肢5参照。なお、養子,実父母又は検察官は、離縁を請求することができる。
4は×である。
実親の同意が必要である(民法817条の6)。
5は×である。
都道府県ではなく、家庭裁判所である(民法817条の2)。㉞問140参照。

正解3

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
㉛問78を解いていた人には、解きやすい問題だったといえる。ただし、そのときの問題では肢2が正しいことを前提にした出題となっている。近年、民法の改正が目立つので、注意が必要である。

問題 142事例を読んで、この時点でのU児童養談施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の対応について、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
F さん(40歳代、男性)は、息子Gさん(8歳)と父子家庭で生活していた。Gさんが3歳の時に、Fさんによる妻への暴力が原因で離婚した。Fさんは、行儀が悪いと言ってはGさんを殴る、蹴る等の行為が日常的にみられた。
額にひどいあざがあるような状態でGさんが登校したことから、学校が通告し、GさんはU児童養護施設に措置された。入所後、家庭支援専門相談員であるEがFさんに対応している。FさんはEと会う度に、「自分の子どもなのだから、息子を返して欲しい」と訴えていた。Gさんとの面会交流が進んだ現在では、「返してもらうにはどうしたらよいのか」と発言している。

1 Fさんに二度と叩かないことを約束すれば、家庭復帰できると伝える。
2 Fさんが反省しているとわかったので、家庭復帰できると伝える。
3 Fさんに「なぜ叩いたのですか」と問い反省を求める。
4 Fさんが体罰によらない子育てができるよう一緒に考える。
5 Fさんは暴力による方法しか知らないのだから、家庭復帰は諦めるようにと伝える。

★★★
1は×である。
Fが二度と叩かないことを約束しただけで、家庭復帰を認めることは適切ではない。
2は×である。
Fが反省していることのみをもって、庭復帰を認めることは適切ではない。
3は×である。
Fに叩いた原因を聞くことはあってもよいが、反省を求めることは適切ではない。むしろ、これから先にどうするかを考えることが必要である。
4は〇である。
行儀が悪いと言ってはGさんを殴る、蹴る等の行為が日常的にみられたFに、体罰によらない子育てができるよう一緒に考えることは、選択肢の中では最も適切な対応といえる。
5は×である。
Fが変わる可能性を否定できないことから、家庭復帰を諦めるように伝えるのは適切ではない。

正解4

ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
「最も適切な最も適切なもの」を選べという問題では、選択肢を絞って比較することが必要になる。本問では、3<4と判断できるかが問われている。

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