問題131 介護保険制度における第一号被保険者の介護保険料(以下「第一号保険料」という。)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 第一号保険料の額は、政令で定める基準に従い、各市町村が条例で定める保険料率に基づいて算定され、第一号被保険者に賦課される。
2 第一号保険料は、被保険者の前年の所得に応じて、原則として3段階を標準とした保険料率が定められている。
3 第一号保険料が特別徴収となるのは、公的年金の受給額が年額120万円以上の第一号被保険者である。
4 第一号被保険者が医療保険の被用者保険(健康保険など)の被保険者の場合、第一号保険料は医療保険者が医療保険料と一体的に徴収する。
5 第一号被保険者が被保護者(生活保護受給者)であって第一号保険料が普通徴収となる場合、その保険料は介護扶助として支給される。
1は〇である。
保険者は市町村(特別区=東京23区も含まれる)なので、第一号保険料の額は市町村が定めるが、政令で定める基準に従う。
2は×である。
現在は、9段階が標準になっている。3段階では、少なすぎると感じて欲しい。
3は×である。
受給額が年額18万円であれば、特別徴収の対象となる。㉘問42肢3参照。
4は×である。
医療保険者が医療保険料と一体的に徴収するのは、第2号保険料である。
5は×である。
この場合の保険料は、生活扶助に加算して支給される。
正解1
問題132 指定居宅介護支援事業者とその介護支援専門員の役割などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 指定居宅介護支援事業者は、利用者が介護保険施設への入所を要する場合、施設への紹介など便宜の提供は行わず、利用者の選択と判断に委ねることとなっている。
2 居宅サービス計画は、指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員に作成を依頼することなく、利用者自らが作成することができる。
3 指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員による居宅サービス計画作成業務の保険給付(居宅介護支援)では、利用者の自己負担割合が1割と定められている。
4 地域住民による自発的な訪問や民間事業者が市場サービスとして行う配食サービスなどについては、居宅サービス計画に位置づけることはできないとされている。
5 介護支援専門員は、居宅サービス計画の実施状況の把握のため、少なくとも2週間に1度は利用者宅を訪問することが義務づけられている。
介護支援専門員は、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが総合的かつ効率的に提供された場合においても、利用者がその居宅において日常生活を営むことが困難となったと認める場合又は利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うものとする(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準13条17号)。常識的に誤りと判断できればいい。
2は〇である。
居宅サービス計画は、利用者自らが作成することができる。主に家族が介護を行い、必要なときにショートステイを使うような人の場合、セルフプランで賄うようなケースがある。介護保険法第41条第6項、介護保険法施行規則第64条第1号ニ参照。
3は×である。
ケアマネに依頼した場合、介護報酬の自己負担はない。将来的にはわからないが、現行制度はそうなっている。
4は×である。
介護給付等対象サービス以外の保健医療サービス又は福祉サービス、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて居宅サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない。前掲基準13条4号。
5は×である。少なくとも1月に1回である。前掲基準13条14号意イ参照。
正解2
2についての知識がなければ、消去法で肢を絞ってから、比較して最も良さそうなものを選ぶ。
問題133 介護保険制度における要介護認定・要支援認定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護認定審査会の委員は、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者及び第一号被保険者から都道府県知事が任命する。
2 介護認定審査会は、市町村長が定める認定基準に従って審査・判定を行い、その結果を申請者(被保険者)に通知する。
3 介護認定審査会は、被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項などの意見を市町村に述べることができる。
4 認定調査員は、新規申請の場合も、更新・区分変更申請の場合も、市町村職員以外の者が担うことはできない。
5 認定調査員は、申請者である被保険者若しくは同居家族が自記式で記入した調査票の回答に基づいて調査結果を取りまとめる。
介護認定審査会の委員は、保健、医療、福祉に関する学識経験者のみであり、第一号被保険者からは選出されない。
2は×である。結果を申請者(被保険者)に通知するのは、市町村である。
3は〇である。
4は×である。
2020年4月に要件が緩和されたが、新規の場合は市区町村の職員と、地方自治体に委託された事務受託法人(社会福祉法人、民間企業、日本赤十字等)に限定されている。更新時や要介護認定変更申請がされた際の調査は、上記に加えて居宅介護支援事業者や介護施設の介護支援専門員も行える。
5は×である。
調査票は、認定調査員が記入する。常識的に考えても選択肢は誤りと判断できる。
正解3
問題134 老人福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 法律の基本的理念として、要援護老人の自立支援の重要性が規定されている。
2 老人福祉施設の一つとして、介護老人保健施設が規定されている。
3 やむを得ない事由で介護保険法の保険給付などが利用できない場合、市町村が採ることのできる福祉の措置の一つとして、居宅における介護等が規定されている。
4 市町村社会福祉協議会には、老人福祉センターを設置する義務があることが規定されている。
5 市町村老人福祉計画は、社会福祉法に基づく市町村地域福祉計画と一体のものとして作成されなければならないことが規定されている。
要援護老人の自立支援の重要性については規定されていない。老人福祉法2,3条参照。
2は×である。
老人福祉法の制定は1963年である。介護老人保健施設は、老人保健法(1982年)に基づく(2008年度より「高齢者の医療の確保に関する法律」に全面改正された)。
3は〇である。
老人福祉法の措置が現在も使われていることは受験生なら知っておくべき知識である。その措置の一つとして、居宅における介護等が規定されている(老人福祉法10条の4)。
4は×である。このような義務は規定されていない。
5は×である。
市町村老人福祉計画は、介護保険法第百十七条第一項に規定する市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成されなければならない(老人福祉法20条の8第7項)。
正解3
問題135 事例を読んで、B社会福祉士が、Cさんの希望を踏まえて特に意見を聴くべき職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。
・
〔事例〕
急性期病床を有する病院に医療ソーシャルワーカーとして勤務するB社会福祉士は、10日前から入院中のCさん(79歳.一人暮らし)の退院時カンファレンスに臨んだ。その会議には、Cさんを担当する看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカー、Cさん本人が同席した。Cさんは軽度の脳梗塞を初めて発症して入院し、その後の治療等によって、基本的な日常生活動作や、言語・コミュニケーションに関する症状はほぼ消失したため、医学的には定期的な外来通院に移行できる状態である。しかし、利き腕の右手を動かしづらく既存の調理器具ではうまく調理ができなくなっており、在宅生活には支援が必要な状況である。Cさんは.「調理はずっと行ってきたことなので、上手にできるようになりたい」と希望している。
1 看護師
2 理学療法士
3 作業療法士
4 管理栄養士
5 言語聴覚士
正解3
リハビリの専門家であるPT,OT,STの区別ができるくらいのイメージが必要。
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
Cさんは軽度の脳梗塞を初めて発症して入院し、その後の治療等によって、基本的な日常生活動作や、言語・コミュニケーションに関する症状はほぼ消失している。
しかも、調理をずって行ってきたにも関わらず、利き腕の右手を動かしづらく既存の調理器具ではうまく調理ができない。
この状況下で、Bが、退院時カンファレンスにおいて、Cさんの希望を踏まえて特に意見を聴くべき職種は、作業療法士である。
作業療法士は、「食事をする」「料理をする」「入浴する」「学ぶ・仕事をする」「余暇を楽しむ」といった日々の生活に必要な応用的動作・社会適応能力の回復を目指したリハビリで、患者が自分らしい生活を送ることを支援する職種である。