問題 131 介護保険制度における厚生労働大臣の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 要介護認定の審査及び判定に関する基準を定める。
2 要介護者等に対する介護給付費の支給決定を行う。
3 介護支援専門員実務研修を実施する。
4 介護給付等費用適正化事業を実施する。
5 財政安定化基金を設置する。
★★
1は○である。
要介護認定の審査及び判定に関する基準は全国で一律のものにすべき内容である(都道府県や市町村ごとに違ったものにできない)。
2は×である。
介護保険の保険者である市町村の役割である。
3は×である。
都道府県の役割である。
4は×である。
介護給付等費用適正化事業は市町村の役割である。
5は×である。
都道府県の役割である。㉝問132肢1、㉚問127肢3参照。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
国-都道府県-市町村の役割分担の問題である。令和6(2024)年度の試験から福祉行財政と福祉計画がなくなるが、今後も本問のような形で出題が予想される。
問題 132事例を読んで、病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が、この時点でLさんへの支援のために検討すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Kは、変形性膝関節症で外来通院中のLさん(82歳、女性、独居、要支援2)から相談を受けた。Lさんは屋外の歩行が不自由で材を使っているが、介護サービス等は利用していない。Lさんは、数年ぶりに趣味の歌舞伎鑑賞に出かけようと思い、介護保険制度のサービス利用について市役所に問い合わせたところ「本市では趣味のための移動支援は実施していない」と説明されたと言う。Lさんは転倒の心配もあり、歌舞伎鑑賞には見守り支援を利用したいと言っている。
1 Lさんの支援を在宅医療・介護連携推進事業の担当者に依頼する。
2 市役所の対応に関して、都道府県国民健康保険団体連合会へ苦情の申し立てを行うよう、Lさんに提案・助言を行う。
3 Lさんの歩行機能の改善を図るため、地域介護予防活動支援事業の利用を勧める。
4 Lさんの疑問や不安に対応してもらえるよう、介護サービス相談員と連携を図る。
5 Lさんの居住地を担当する「生活支援コーディネーター(第2層)」に連絡を取り、Lさんが利用できる、制度外の外出時の見守り支援策について相談・調整を図る。
(注) 「生活支援コーディネーター(第2層)」は、中学校区域を基本とする日常生活圏域で業務に当たる職員である。
★★
1は×である。
在宅医療・介護連携推進事業は,医療と介護が必要な者のためのものであり、高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。㉙問130肢3参照。
2は×である。
苦情申し立てをしてもすぐにLの要望の実現にはつながらず、この時点での対応として最も適切ものとはいえない。
3は×である。
地域介護予防活動支援事業は、市町村が65歳以上の高齢者に介護予防のための活動を提供する一般介護予防事業の一つである。Lの「歩行機能の改善を図る」ことは、同事業がカバーする活動とはいえない。㉟問40肢1参照。
4は×である。
介護サービス相談員派遣等事業(旧介護相談員派遣等事業)は、苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。㉞問133肢3、㉛問132肢2参照。
5は〇である。
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)とは、高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進していく事を目的とし、地域において生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者のことである。㉞問40、㉚問37参照。
正解5
問題 133 介護福社士に関する次の記述のうち。正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の法律上の定義には、介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とすることが含まれている。
2 介護福祉士が介護保険制度における訪問介護員として従事する際には、その資格とは別に、政令で定める研修を修了していることがその要件となる。
3 介護福祉士は、医師の指示のもと、所定の条件下であれば、医療的ケアの一つとして脱水症状に対する点滴を実施することができる。
4 介護福祉士は業務独占資格の一つであり、法令で定める専門的な介護業務については、他の者が行うことは禁じられている。
5 認定介護福祉士を認定する仕組みは、2005年(平成 17年)に制定された介護保険法等の一部を改正する法律において法定化され、その翌年から施行された。
★★
1は○である。
社会福祉士及び介護福祉士法2条2項参照。
2は×である。
介護福祉士であれば、別に政令で定める研修を修了していることは必要ではない。
3は×である。
介護福祉士は設問のような医療行為を行うことはできない。
4は×である。
名称独占資格である。社会福祉士及び介護福祉士法48条2項参照
5は×である。
認定介護福祉士とは、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構によって創設された民間資格である。2015年から認定が開始された。
正解1
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
社会福祉士については、㉛問91、㉚問91に出題がある。本問は、社会福祉士についての扱いを知っていれば、消去法で正解を導くことができる。
問題 134 事例を読んで、地域包括支援センターのM職員(社会福祉士)が訪問・相談を行った時点での対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Q市に住むAさん(85歳、女性、要介護3)は長男(56歳)と二人暮らしである。Aさんは5年前から物忘れが進み、排せつには介助を要し、日常的に長男が介護をしている。また、短期入所生活介護を2か月に1回利用している。今朝、長男から「気分が落ち込んでしまいここ 3日ほどは眠れない」「当分は母の介護ができそうにない」と沈んだ声で地域包括支援センターに電話相談があった。これまでにもこのような相談が度々あり、それを受け、M職員がすぐに訪問・相談を行った。
1 Aさんの要介護状態の改善を図る必要があるため、介護予防ケアマネジメントの実施を検討する。
2 総合相談支援業務として、長男の状態について同センターの保健師と相談し、気分の落ち込みや睡眠の問題に対応できる専門機関を探す。
3 権利権護業務として、Aさんへの虐待リスクがあることについて、市に通報する。
4 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務として、Aさんを担当する居宅介護援事業所の介護支援専門員とともに、早急に今後の対応を検討する。
5 Aさんと長男が住む地域の課題を検討するため、地域ケア会議で報告する。
★★★
1は×である。
Aの要介護状態の改善よりも、長男のレスパイトを考えることを優先すべきである。
2は〇である。
3は×である。
Mが相談を行った時点では、Aによる虐待の心配より、A自身の心身状態の確認(肢2)とレスパイトも含む今後の対応の検討(肢4)を優先すべきである。
4は〇である。
5は×である。
地域の課題を検討するよりも、Aのことと今後の対応を優先すべきである。
正解2,4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問の類似問題にもチャレンジしよう!㉙問111参照。
問題 135 「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選なさい。
1 この法律における高齢者とは、65歳以上で介護保険制度における要介護認定・要支援認定を受けた者と定義されている。
2 この法律では、セルフネグレクト(自己放任)の状態も高齢者虐待に該当することが定義されている。
3 この法律における高齢者虐待の定義には、保険医療機関における医療専門職による虐待が含まれている。
4 この法律では、市町村が養護者による虐待を受けた高齢者の居所等への立入調査を行う場合、所轄の警察署長に援助を求めることができると規定されている。
5 この法律は、市町村に対し、高齢者虐待の防止・高齢者とその養護者に対する支援のため、司法書士若しくは弁護士の確保に関する義務を課している。
(注) 「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
★★
1は×である。要介護認定・要支援認定を受けているかどうかは問わない。
2は×である。この法律では、セルフネグレクトは虐待の定義に含まれていない。
3は×である。この法律では、保険医療機関における医療専門職による虐待は含まれない。
4は〇である。高齢者虐待防止法12条1項参照。
5は×である。市町村に対し、このような義務は課されていない。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
本問の類似問題にもチャレンジしよう!㉜問83、㉜問135、㉙問77参照。