問題 126「令和5年版高齢社会白書」(内閣府)に示された日本の高齢者を取り巻く社会情勢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 人口の高齢化率は、2022年(令和4年)10月1日現在で、約16%となっている。
2 高齢化率の「倍加年数」をアジア諸国で比較すると、韓国は日本よりも短い年数となっている。
3 総人口に占める 75歳以上の人口の割合は、2070年(和52 年)に約40%に達すると推計されている。
4 2022年(令和4年)の労働力人口総数に占める 65歳以上の者の割合は、2013年(平成25年)以降の10年間でみると、漸減傾向にある。
5 2021年(令和3年)の65歳以上の者の死因別の死亡率をみると、悪性新生物よりも肺炎の方が高くなっている。
(注)「倍加年数」とは、人口の高齢化率が7%から14%に達するまでに要した年数のことである。
★
1は×である。
2022年(令和4年)10月1日現在で、約29%となっている。
2は〇である。
倍加年数の意味は、(注)に記されている。日本は24年(1970年~1994年)であるのに対し、韓国は18年である。
3は×である。
2070年には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人(約25%)が75歳以上になると推計されている。
4は×である。
漸増傾向にある。少子化は改善されておらず、2015年には団塊の世代が65歳に到達していることからすると、増加傾向にあると推測できる。
5は×である。
65歳以上の者の死因別の死亡率は、①悪性新生物、②心疾患(高血圧性を除く)、③老衰、の順になっている。
正解2
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
韓国の合計特殊出生率が日本よりも低いことを知っていた人はいるかもしれないが(㉝問15肢5参照)、倍化年数の違いを押さえて人は少なかったであろう。
1,3,4,5については、人口動態に関する基本的な知識などがあれば、間違いだと判断しやすい。消去法で解いた人が多かったと思われる。
問題 127 第二次世界大戦後の日本における高齢者保健福祉制度の展開過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1950年(昭和25年)の生活保護法では、常時介護を必要とする老人の家庭を訪問する老人家庭奉仕員が規定された。
2 1963年(昭和38年)の老人福祉法では、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームを含む、老人福祉施設が規定された。
3 1982年(昭和57年)の老人保健法では、70歳以上の高齢者にかかる医療費のうち、その自己負担分を無料化する老人医療費支給制度が規定された。
4 1997年(平成9年)の介護保険法では、要介護認定を受け、要介護と判定された高齢者等は、原則3割の利用者負担で、介護サービスを利用できることが規定された。
5 2000年(平成12年)の社会福祉法の改正では、高齢者保健福祉推進十年戦路(ゴールドプラン)が策定されたことを受け、地域包括ケアシステムが規定された。
★★
1は×である。
老人家庭奉仕員は、日本では,1950年代後半に,いくつかの自治体が全国にさきがけて,在宅老人福祉事業としてホームヘルパーの派遣を開始し,1962年から老人家庭奉仕員派遣事業の名称で国庫補助の対象となった。この制度が確固たるものになったのは、1963年の老人福祉法の制定のときである。㉙問127肢4参照。
2は〇である。
㉝問127肢2、㉙問127肢1参照。
3は×である。
老人医療費支給制度が規定されたのは、1973年である。この制度が廃止され、代わりに1982年(昭和57年)に老人保健法が誕生した。㉟問127肢1参照。
4は×である。
原則1割の利用者負担で、介護サービスを利用できることが規定された。
5は×である。
高齢者保健福祉推進十年戦路(ゴールドプラン)が策定されたのは1989年である。地域包括ケアシステムが規定されたのは、2015年の介護保険法改正のときである。㉞問127参照。
正解2
問題 128事例を読んで、地域包括支援センターの社会福祉士によるJさんの長女への助言として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
自宅で一人暮らしのJさん(82歳、男性)は、脳伷塞の後道症により軽い左片麻運があり、要支援1の認定を受けているが介護保険サービスは利用していない。2か月前に買物に行こうとして玄関先で転倒し、軽傷ですんだものの、それ以来自宅から出ようとしなくなった。近隣に住んでいる長女は、週に2、3度自宅を訪れ、買物や掃除・洗濯を手伝ってきた。しかし、「父は一人で大丈夫というが、むせることもあり食事量が減ってきて心配です。父はどのようなサービスが利用できますか」と地域包括支援センターに相談に来た。
1 看護小規模多機能型居宅介護の利用
2 介護老人福祉施設への入所
3 介護予防通所リハビリテーションの利用
4 短期入所生活介護の利用
5 管理栄養士による介護予防居宅療養管理指導の利用
★★★
1は×である。
利用できるのは、要介護1以上の者である。
2は×である。
入所できるのは、原則として要介護3以上の者である。また、要支援者は入所できない。
3は〇である。
4は×である。
本肢はやや判断に迷う。もしJが利用するのであれば、介護予防短期入所生活介護なので誤りということであろうか。
5は〇である。
正解3,5
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
事例問題というよりも、要支援1のJが利用できるサービスはどれかを聞く問題といって良い。
問題 129 移動の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 片麻痺がある人が枝歩行を行う場合、杖は麻痺側に持つ。
2 左片麻痺者が階段を上る時は、杖の次に左足を上げる。
3 視覚障害者の歩行介助を行う場合、介助者は視覚障害者の後方を歩く。
4 片麻痺がある人のベッドから車いすへの移乗では、車いすを要介護者の健側に置く。
5 車いすで大きな段差を下るときは、前向きで降りる。
★★
1は×である。
杖は健側に持つ。そもそも麻痺側では杖を持てないことに気づいて欲しい。
2は×である。
杖の次に右足(健側の足)を上げる。これは悩んだ人が多かったのではないだろうか。㉛問128肢3参照。3は×である。介助者は視覚障害者の前方を歩く。介助者がリードしてあげる必要がある。
3は×である。
4は〇である。
車いすを要介護者の健側に置くのは、その後に健側を軸にしてベッドから移乗するためである。㉜問120肢2参照。
5は×である。
後向きで降りる。
正解4
問題 130 介護保険法に定める福祉用具貸与の種目として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 腰掛便座
2 移動用リフトの吊り具の部分
3 認知症老人徘徊感知機
4 簡易浴槽
5 入浴補助用具
★★★
1は×である。
福祉用具貸与の種目として適切ではない。㉙問129参照。
2は×である。福祉用具貸与の種目として適切ではない。安全性に配慮。
3は〇である。㉙問129参照
4は×である。㉙問129参照
5は×である。
福祉用具貸与の種目として適切ではない。㉝問133肢5参照。
正解3
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
類問が㉝問133、㉙129で出題されている。ポイントは使い回しに適したものかどうかである。腰掛便座、簡易浴槽、入浴補助用具の使い回しには、抵抗を感じる人が多いであろう。
また、安全性の観点から、移動用リフトの吊り具の部分も使い回しに適しない。