お知らせnews

2.心理学理論と心理的支援(R6年2月-第36回)

問題8 知覚に関する次の記述のうち、大きさの恒常性の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 形と大きさが同じ図形は、空間内でまとまっているように知覚される。
2 電光掲示板で表示されている絵や文字が動いて、大きさが変化して見える。
3 同じ人物が遠くにいる場合と近くにいる場合とでは、距離の違いほどに人の大きさが違って見えない。
4 線遠近法を使った絵画では、奥行きを感じることで書かれている物の大きさの違いが知覚される。
5 月を見ると、建物の上など低い位置にあるときは、天空高くにあるときよりも大きく見える。

★★★
1は×である。
類同による知覚の体制化である。
2は×である。
仮現運動によるものであり、知覚的補完である。
3は〇である。
知覚の恒常性である。
4は×である。
奥行きの知覚についての説明である。
5は×である。
錯視である。

正解3

大きさの恒常性については、㉝問9,㉛問9,㉙問10で出題されている。なお、恒常性という用語を頼りにすれば、たとえ大きさの恒常性について知らなくても、2,4,5が誤りであることは推測できると考える。

問題 9 次の記述のうち、オペラント条件づけの事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 電車に乗っているときに事故にあってしまい、それ以降電車に乗るのが怖くなってしまった。
2 以前に食べたときに体調が悪くなった食品を見ただけで、気分が悪くなってしまった。
3 犬にベルの音を聞かせながら食事を与えていると、ベルの音だけで唾液が分泌するようになった。
4 人に迷惑をかけるいたずらをした子どもを叱ったら、その行動をしなくなった。
5 病院で受けた注射で痛い経験をした子どもが、予防接種のときに医師の白衣を見ただけで怖くなって泣き出した。

★★
1は×である。
レスポンデント条件付けの事例である。
2は×である。
レスポンデント条件付けの事例である。
3は×である。
レスポンデント条件付けの事例である。パブロフの犬の実験で有名。
4は〇である。
オペラント条件づけの事例であり、正の罰(弱化)の場合である。
5は×である。
レスポンデント条件付けの事例である。

正解4

㉞問8、㉜問8、㉚問9参照。オペラント条件づけとレスポンデント条件付けの違いが理解できているかを聞く問題である。応用問題であり、対策を立てていなかった人にはきつかったと思われる。自分が納得のいく区別の方法を持っておくとよい。

問題 10 記憶に関する次の記述のうち、ワーキングメモリー(作動記憶)について、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自転車の運転など、一連の動作に関する記憶である。
2 休みの日に外出したなど、個人の経験に関する記憶である。
3 カラスは鳥であるなど、一般的な知識に関する記憶である。
4 感覚器が受け取った情報を、長期間そのまま保持する記憶である。
5 暗算をするときなど、入力された情報とその処理に関する一時的な記憶である。

★★
1は×である。
手続記憶である。 2は×である。
エピソード記憶である。 3は×である。
意味記憶である。 4は×である。
感覚記憶である。 5は〇である。
㉜問11肢1で出題されているが、そこでは加齢による影響を受けるかどうかという観点からの出題だった。

正解5

長期記憶については、さらに陳述記憶(言語的記憶)と非陳述記憶(非言語的記憶)の違い、種類についても押さえておく必要がある。具体例とともに覚える方が、記憶に残りやすい。

問題 11 職場でうまく適応できない原因に関する相談者の次の発言のうち、ワイナー(Weiner, B.)による原因帰属の理論に基づき、安定し、かつ外的な原因による例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自分の能力不足が原因だと思います。
2 最近の体調不良が原因です。
3 業務内容が難しかったことが原因です。
4 たまたま運が悪かったのが原因です。
5 自分の努力不足が原因だと感じています。

★★★
1は×である。
内的な原因である。
2は×である。
内的な原因である。
3は〇である。
外的な原因であり、安定したものといえる。
4は×である。
外的な要因であるが、不安定である。
5は×である。
内的な要因である。

正解3

原因帰属の理論については、㉚問8で出題されているが、その場で考えれば解ける問題だった。本問も同様である。
①原因が安定したものかどうかという視点。
②外的か内的かという視点。
上記、2つの視点から分類していけばよい。
原因が外的か内的かの判断の方が容易であるから、そこから、まず肢を3と4に絞る。後は、原因が安定したものか否かについてみれば、答えが導ける。

問題 12 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状に関する次の記述のうち、回避症状の事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ささいな事でもひどく驚いてしまうようになった。
2 事故が起きたのは全て自分のせいだと考えてしまう。
3 つらかった出来事を急に思い出すことがある。
4 交通事故にあった場所を通らないようにして通勤している。
5 大声を聞くと虐待されていたことを思い出し苦しくなる。

★★★
1は×である。
回避症状ではない。
2は×である。
自責の念にとらわれているが、これも回避症状ではない。
3は×である。
回避症状ではない。
4は〇である。
交通事故にあった場所に行くと悪い記憶がよみがえるので、それを回避するために事故現場を避けている。これが回避症状である。
5は×である。
回避症状ではない。

正解4

㉝問12参照。PTSDについて大まかな理解があれば、簡単に回避症状の事例を見つけられるはずである。

問題 13 次のうち、小学校就学前の5歳児を対象とできる心理検査として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 矢田部ギルフォード(Y G)性格検査
2 田中ビネー知能検査V
3 ミネソタ多面人格目録(MMP I)
4 文章完成法テスト(SCT)
5 WAIS-Ⅳ

★★
1は×である。
2は〇である。
㉚問10肢5参照。
3は×である。
4は×である。
5は×である。
WAISは成人用に作られた。WAISのAはAdultのAである。㉞問13、㉝問13参照。

正解2

小学校就学前の5歳児を対象としたテストを選ばせるというもので、知識がないと自信を持って解けない。ただ、小学校就学前なのだから、難しそうな検査はできないだろうと考えて、消去法で解いた人もいると考えられる。なお、バウムテストも子どもを被験者にできる。

問題14 クライエント中心療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントの話を非指示的に傾聴していく。
2 解決に焦点をあわせ、クライエントの強みを発展させる。
3 クライエントの家族関係を変容しようとする。
4 クライエントの意識を無意識化していく。
5 クライエントの認知や行動に焦点を当てていく。

★★★
1は〇である。
2は×である。
解決志向アプローチの説明と思われる。
3は×である。
家族療法の説明と思われる。
4は×である。
精神分析療法の説明と思われる。
5は×である。
認知行動療法の説明と思われる。

正解1

㉝問14、㉚問14、㉙14、㉘14参照。

ソーシャルワンカーと一緒にワン🐾ステップUP‼
クライエント中心療法のキーワードは、①自己一致、②無条件の肯定的関心、③共感的理解、である。

一覧に戻る