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12.保健医療サービス(R4年2月-第35回)

問題70 日本の医療保険の適用に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険の被保険者に扶養されている者は、被扶養者として、給付を受けることができる。
2 健康保険組合が設立された適用事業所に使用される被保険者は、当該健康保険組合に加入する。
3 「難病法」の適用を受ける者は、いずれの医療保険の適用も受けない。
4 国民健康保険は、後期高齢者医療制度の被保険者も適用となる。
5 週所定労働時間が10時間未満の短時間労働者は、健康保険の被保険者となる。
(注)「難病法」とは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」のことである。

1は×である。
国民健康保険には扶養という考え方はない。一人一人が被保険者となる。なお、世帯主が会社で健康保険に加入していて、配偶者が国民健康保険に加入している場合は、たとえ世帯主が国民健康保険の被保険者でなくても保険料の納付義務を負うことになる。このように、被保険者と納付義務者が一致しない場合もある。
2は〇である。
3は×である。
国民皆保険から考えて、本肢は誤りと判断した方が多かったと思われる。出題者としては、特定療養費の支給にあたっては医療保険制度の給付が優先されることから、本肢を誤りと判断して欲しかったのではないかと思われる。
4は×である。
後期高齢者医療制度は、独立した医療保険制度である。 5は×である。
健康保険の被保険者となるのは、週の所定労働時間が20時間以上の場合である。短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用については、拡大する方向で改正がなされてきている。㉘問67参照。

正解2
消去法で解いた方が安心できそうな問題である。

問題71 「令和元(2019)年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に示された日本の医療費に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 65歳以上の国民医療費は、国民医療費の50%を超えている。
2 診療種類別の国民医療費のうち最も大きな割合を占めるのは歯科診療医療費である。
3 都道府県(患者住所地)別の人口一人当たり国民医療費が最も高い都道府県は、東京都となっている。
4 制度区分別の国民医療費では、医療保険等給付分に比べて公費負担医療給付分が高い割合を占めている。
5 入院医療費及び入院外医療費を合わせた医科診療医療費の割合は、国民医療費の50%未満である。

1は〇である。
65歳以上の一人当たりの医療費が高額であることを知っている人は多いと思われる。このことと、日本の高齢化率が高いことを合わせて考えると、本肢の結論を推論できるであろう。令和元(2019)年の65歳以上の国民医療費の割合は、61%となっている。
2は×である。
最も大きな割合を占めるのは、医科診療費の72.0%である(内訳は、入院医療費38.1%、入院外医療費33.9%)。次いで薬局調剤医療費17.7%、歯科診療医療費は6.8%となっている。
3は×である。
東京都は人口が最も多いので、都道府県別の総額では1位である。しかし、本問で問われているのは、一人当たりの医療費なので、高齢化率が高いところが最も多くなると推測して、本肢を誤りと判断できればよい。ちなみに、令和元(2019)年度において、国民一人当たり医療費が最も高かったのは、高知県である。
4は×である。
本肢が誤りであることは推測できるであろう。制度区分別にみると、公費負担医療給付分は3兆2,301億円(構成割合7.3%)、医療保険等給付分は20兆457億円(同45.2%)、後期高齢者医療給付分は15兆6,596億円(同35.3%)、患者等負担分は5兆4,540億円(同12.3%)となっている。
5は×である。
これも何となく誤りだと推測できたのではないだろうか。肢2の解説参照。

正解1
関連した問題が、㉞問71.㉛問71、㉘問題71で出題されている。消去法と常識を駆使しして解く。

問題72 診療報酬制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 診療報酬の点数は、通常3年に1度改定される。
2 診療報酬点数表は.医科、歯科、在宅医療の3種類が設けられている。
3 療養病棟入院基本料の算定は、出来高払い方式がとられている。
4 地域包括ケア病棟入院料の算定は、1日当たりの包括払い方式がとられている。
5 診療報酬には、選定療養の対象となる特別室の料金が設けられている。

1は×である。
診療報酬改定は、原則として薬価については1年に1回、その他の報酬や価格については2年に1回実施される。3年に1度改定されるのは介護報酬である。㉛問73肢1参照。
2は×である。
医科、歯科、調剤の3つである。厳密に覚えていなくても、薬は別途あるはずだと気づけば、誤りと判断できる。㉞問71肢4参照。
3は×である。
療養病棟入院基本料の算定は、包括払い方式である。㉘問72肢4参照。
4は○である。㉜問71肢3参照。
5は×である。
特別室の料金は選定療養の対象であるが、診療報酬には設けられていない。選定療養というのは、独自に価格設定できるものである。
正解4

問題73 日本の医療提供体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 医療計画は、市町村が策定義務を負っている。
2 地域医療支援病院は、第1次医療法の改正(1985年(昭和60年))に基づき設置された。
3 診療所は、最大30人の患者を入院させる施設であることとされている。
4 介護医療院は、主として長期の療養を必要とする要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、必要な医療及び日常生活上の世話を行う。
5 地域包括支援センターは、地域における高齢者医療の体制を整えるため、地域医療構想を策定する義務を負う。

1は×である。
医療計画とは、医療法30条に基づき、都道府県が、厚生労働大臣の定める基本方針(良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針)に即して、地域の実情に応じた医療提供体制を確保するために策定する計画である。
2は×である。
地域医療支援病院は、平成9(1997)年の医療法改正の際に設けられた。㉞問73肢1参照。
3は×である。
診療所は最大19人までの患者を入院させる施設であることとされている。㉚問71肢2参照。
4は○である。㉞問134、㉜問71参照。
5は×である。
地域医療構想を策定する義務を負っているのは都道府県である。㉝聞73参照。

正解4

問題74 後期高齢者医療制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 保険者は都道府県である。
2 被保険者は、60歳以上の者が対象である。
3 保険料の算定は、世帯単位でされる。
4 各被保険者の保険料は同一である。
5 各医療保険者から拠出される後期高齢者支援金が財源の一部となっている。

1は×である。
保険者は都道府県ごとにすべての市町村が加入する後期高齢者医療広域連合である。㉙問43肢1参照。
2は×である。
被保険者は、原則として75歳以上の者が対象である。ただし、65歳以上で一定の条件を満たす者も含まれる。㉝問70肢5参照。
3は×である。
保険料の算定は、一人ひとりにかかる。保険料額は、被保険者が均等に負担する均等割額と被保険者の前年の所得に応じて負担する所得割額の合計額からなる。
4は×である。均等割額は同一だが、所得割額は異なる。肢3の解説参照。
5は○である。㉚問50肢5参照。

正解5

問題75 事例を読んで、W病院の医療相談室のD医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による、妊婦であるEさんへの支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Eさん(33歳)は、会社員の夫(38歳)の健康保険の被扶養者であり、夫の母親(78歳、軽度の認知症、要介護1)と3人暮らしである。Eさんは現在、妊娠20週目で、第一子を出産予定である。実家は遠方で、実両親も高齢であることから、産後の子育てと義母の介護の両立に不安を抱えていた。義母は、昼間は通所型サービスを利用しているが、帰宅後は毎日同じ話を繰り返している。夫も多忙で残業も多く頼りにできないとの思いを持っている。妊婦健診の結果は良好であるが、今後のことを考えると不安であるため、受診しているW病院の医療相談室を訪問した。

1 特定妊婦の疑いがあるため、地域包括支援センターに連絡をする。
2 出産手当金を受け取れることを説明する。
3 認知症高齢者の家族の会などの当事者同士が支え合う活動を紹介する。
4 義母の介護のために特殊寝台の貸与サービスを勧める。
5 産前、産後の不安や負担などを相談するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を紹介する。

1は×である。
「特定妊婦」とは,出産後の養育について,出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦をいう。Eは、特定妊婦には該当しない。㉞問139、㉘問138肢5参照。
2は×である。
出産手当金は、出産のために会社を休み、給与の支払いが受けられなかった場合に健康保険から支給される手当金である。Eは会社員の夫の被扶養者であり、出産手当金を受け取ることはできない。㉝問71参照。
3は○である。
夫の母親は、78歳で軽度の認知症があり、通所型サービスを利用しているが、帰宅後は毎日同じ話を繰り返している、ことから、Eは育児と介護について不安を抱いている。Eに当事者同士が支え合う活動を紹介するのは適切である。
4は×である。
夫の母親は、要介護1であり、特殊寝台の貸与サービスを勧めるのは適切ではない。
5は○である。㉞問139、㉝問34、㉜問83、㉛問139参照。
正解3,5
特定妊婦は、前年の試験でも問われており、そこできちんと意味を押さえていた人は、自信を持って解けたであろう。ただ、3が正解であることはわかりやすいので、何とか正解にたどり着けた人が多かったのではないだろうか。

問題76 次の記述のうち、医療チーム内で専門分野を超えて横断的に役割を共有するトランスディシプリナリモデルの事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Fさんの病状が急変したため、医師は、看護師へ静脈注射機材の準備、薬剤師へ薬剤の準備、医療ソーシャルワーカーへ家族への連絡の指示を出した。
2 災害発生による傷病者の受入れのため、G病院長は、全職員の招集、医師への卜リアージ、看護師へ手術室の準備、医事課職員へ情報収集などの指示を出した。
3 Hさんの食事摂取の自立の希望を達成するため、理学療法士は座位保持、作業療法士は用具の選定、管理栄養士は食事形態、看護師は食事介助の工夫を行った。
4 一人暮らしで在宅療養中のJさんの服薬管理について、往診医、訪問看護師、薬剤師、訪問介護員、介護支援専門員等の自宅への訪問者それぞれが、Jさんとの間で確認することにした。
5 自立歩行を希望するKさんの目標をゴールに、理学療法士、作業療法士、看護師、介護福祉士とでケースカンファレンスを行い、立位保持訓練の方法を検討した。

正解なし(選択肢の記述が不十分であり、正解を得られないため)
各専門職の連携の緊密さは、マルチ<インター<トランスの順に高まっていくことは最低限押さえておく必要がある。本問では、最も連携が緊密なトランスディシプリナリモデルについて問われている。受験生の多くは、5を選んだのではないかと思われるが、(正解なし)とされた。

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