問題 56 障害者等の法律上の定義に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「障害者虐待防止法」における障害者とは、心身の機能の障害がある者であって、虐待を受けたものをいう。
2 「障害者総合支援法」における障害者の定義では、難病等により一定の障害がある者を含む。
3 知的障害者福祉法における知的障害者とは、知的障害がある者であって、都道府県知事から療育手帳の交付を受けたものをいう。
4 発達障害者支援法における発達障害者とは、発達障害がある者であって、教育支援を必要とするものをいう。
5 児童福社法における障害児の定義では、障害がある者のうち、20歳未満の者をいう。
(注)1「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の発設者に対する支援等に関する法律」のことである。
2 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
★★★
1×である。
障害者虐待防止法における障害者とは、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者をいう(同法2条1項)。
なお、障害者基本法第2条第1号は、障害者を、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義している。本肢については、虐待防止という点から、選択肢の「虐待を受けた者」という限定はおかしいのではないかと考えて欲しい。
2は〇である。
2011年の改正で、難病等により一定の障害がある者が含まれるようになった。㉘問58肢4参照。
3は×である。
知的障害者福祉法には、知的障碍者の定義規定を置いていない。㉙問61肢4参照。
4は×である。
発達障害者総合支援法2条2項は、「この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう」と規定している。㉜問60肢3参照。
5は×である。
18歳未満の者をいう(児童福祉法4条2項参照)。
正解2
問題57 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 1949年(昭和24年)に制定された身体障害者福祉法では、障害者福祉の対象が生活困窮者に限定された。
2 1987年(昭和62年)に精神衛生法が精神保健法に改正され、保護者制度が廃止された。
3 2004年(平成16年)に改正された障害者基本法では、障害者に対する差別の禁止が基本理念として明文化された。
4 2005年(平成17年)に制定された障害者自立支援法では、利用者負担は所得に応じた応能負担が原則となった。
5 2011年(平成23年)に障害者基本法が改正され、法律名が心身障害者対策基本法に改められた。
★★
1は×である。
1949年の身体障害者福祉法は、障害者福祉の対象を生活困窮者に限定していない。個人の尊重、法の下の平等を規定した新しい憲法が誕生した後の身体障害者福祉法が、身体障害者福祉について選別主義を取ることはないだろうと推測して欲しい。
2は×である。
保護者制度が廃止されたのは、2014(平成26)年である。
3は〇である。
4は×である。
2005年に制定された障害者自立支援法は応益負担が原則となっていた。ただし、その後の反対運動により、応益負担は改められることにあり、2012年に名称も障害者総合支援法に改められることになった。
5は×である。
1970年に心身障害者対策基本法が制定された後、1993年に障害者基本法に改称された。
正解3
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
一定の勉強をしていれば、2と3までは絞れるはず。2の保護者制度の廃止は、1987年(昭和62)年では早すぎるだろうと気づければ、消去法で3を選べる。
問題 58「障害者総合支援法」における指定特定相談支援事業所の相談支援専門員の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、サービス等利用計画案を作成する。
2 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して個別支援計画を作成し、従業者に対して、技術指導、助言を行う。
3 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護等を行う。
4 一般就労を希望する障害者に対して、就業面と生活面の一体的な相談、支援を行う。
5 障害福祉サービスを利用する障害者等に対して、支給決定を行う。
★★★
1は〇である。
『特定相談支援事業者』とは、市が指定を行っている相談支援事業所のことであるが、そこに配置されている相談支援専門員は、障害福祉サービスを利用するためのサービス等利用計画を作成し、モニタリングし、必要があれば見直しや修正を行う役割を担っている。㉟問59肢2、㉙問59参照。
2は×である。
指定障害福祉サービス事業者は、相談支援専門員のサービス等利用計画に基づいて、個別支援計画を作成する(個別支援計画を作成するのは、サービス管理責任者である)。類似のとして、介護保険における介護支援専門員の居宅サービス計画と、通所介護の通所介護計画の関係を思い浮かべると良い。
3は×である。
生活介護である。㉞問59参照。
4は×である。
就労移行支援である。
5は×である。
市町村の役割である。
正解1
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
前年の問題にも出ており、正解したい問題である。
問題59「障害者総合支援法」による自立支援医療に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 自立支援医療の種類には、更生医療が含まれる。
2 自立支援医療の種類にかかわらず、支給認定は都道府県が行う。
3 利用者の自己負担割合は、原則として3割である。
4 精神通院医療では、精神障害者保健福祉手帳の所持者以外は支給対象とならない。
5 利用者は、自立支援医療を利用する場合には、自由に医療機関を選択できる。
★★
1は×である。
自立支援利用には、①更生医療(18歳以上の身体障害者が対象)、②育成医療(18歳未満の身体障害児が対象)、③精神通院医療(通院による継続治療を必要とする精神障害者が対象)の3つがある。
2は×である。
更生医療と育成医療の支給認定は市町村が行うが、精神通院医療の支給認定は都道府県や精神保健福祉センターが行う。
3は×である。
1割負担が原則だが、低所得者の負担軽減のため月ごとに負担上限額が設定されている(認定の有効期間は1年以内の必要な期間)。
4は×である。
精神通院医療は、精神障害者保健福祉手帳の有無にかかわらず受けられる。
5は×である。
利用者は、自立支援医療機関として指定を受けた医療機関を利用する。
正解1
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
㉘問60肢1に関連した出題があるが、自立支援医療全般についての問題ではない。
積極法で1を選べない場合、内容から考えておかしなものを消去していく。例えば、2,3,5は、その場で考えても誤りと推測できるのではないだろうか。
問題 60 事例を読んで、V相談支援事業所のK相談支援専門員がこの段階で紹介する障害福祉サービスとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Lさん(30歳、統合失調症)は、週1回の精神科デイケアを利用している。Lさんは、過去に何度かアルバイトをしたことはあるが、症状の再燃により、短期間で辞めていた。最近になって、症状が改善し、生活リズムも安定したことから、将来を見据えて一般就労を希望するようになった。ただし、自分の能力や適性がわからないため、不安が強い。Lさんの相談を受けたK相談支援専門員は、障害福祉サービスを紹介することにした。
1 就労継続支援A型
2 就労継続支援B型
3 就労移行支援
4 就労定着支援
5 職場適応援助者(ジョブコーチ)
★★
1は×である。
Lは一般就労を希望している。
2は×である。
Lは一般就労を希望している。
3は〇である。
将来を見据えて一般就労を希望しているが、自分の能力や適性がわからずに不安が強いということから、就労移行支援を紹介するのが最も適切である。㉞問144肢1参照。
4は×である。
就労定着支援は、一般就労した障害のある人に対して、雇用に伴い生じる日常生活や社会生活上の課題解決に向けた支援をするものである。㉟問57肢3参照。
5は×である。
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは、障害者が働く職場において、障害特性を踏まえて職場適応に関する課題を解決するための支援を行う専門職である。支援対象となる障害をもつ人が業務を進めたり職場に対応したりするために、さまざまな支援計画を立てて実施する。㉝問76肢1参照。
正解3
🐾ソーシャルワンカーのつぶやき🐾
㉞問144で出題されているが、本問はより広く就労支援サービスの内容を聞いている。
なお、第37回(令和6年度)の本試験から就労支援サービスという科目はなくなるが、同科目の問題は、本問のように障害者福祉の問題として出題される可能性がある。
問題 61「障害者総合支援法」における障害支援区分に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分に係る一次判定の認定調査の項目は全国一律ではなく、市町村独自の項目を追加してもよい。
2 障害支援区分の認定は、都道府県が行うものとされている。
3 市町村は、認定調査を医療機関に委託しなければならない。
4 障害支援区分として、区分1から区分6までがある。
5 就労継続支援A型に係る支給決定においては、障害支援区分の認定を必要とする。
★★★
1は×である。
実施主体が市町村であっても、法律によるサービスである以上、一次判定の認定調査の項目は全国一律であり、市町村独自の項目を追加することはできない。
2は×である。
障害支援区分の認定は市町村が行う。
3は×である。
市町村は、一般相談支援事業者その他主務省令で定める者に認定調査を委託することができる(障害者総合支援法20条2項)。
4は〇である。
5は×である。
障害支援区分の認定は必要ではない。㉚問59肢1参照。
正解4
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
積極法で4を選びたい。それが難しい場合でも、1、2,3が誤りであることには気づいて欲しい。
問題 62事例を読んで、M相談支援専門員(社会福祉士)がこの段階で行う支援として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
軽度の知的障害があるAさん(22歳)は、両親と実家で暮らしている。特別支援学校高等部を卒業後、地元企業に就職したが職場に馴染めず3か月で辞めてしまい、その後、自宅に引きこもっている。最近、Aさんは学校時代の友人が就労継続支援B型を利用していると聞き、福祉的就労に関心を持ち始めた。Aさんと両親は、市の相談窓口で紹介されたW基幹相談支援事業所に行き、今後についてM相談支援専門員に相談した。
1 友人と自分を比べると焦りが生じるため、自身の将来に集中するように助言する。
2 一般企業で働いた経験があるので、再度、一般就労を目指すよう励ます。
3 地域にある就労継続支援B型の体験利用をすぐに申し込むよう促す。
4 Aさん自身がどのような形の就労を望んでいるかAさんの話を十分に聞く。
5 Aさんの日常生活の状況や就労の希望について、両親にも確認する。
★★★
1は×である。
Aは友人が就労継続支援B型を利用していると聞き、福祉的就労に関心を持ち始めている。Aはひきこもりの状態にあり、このようなAの関心を無にすべできではない。
2は×である。
特別支援学校高等部を卒業後、地元企業に就職したが職場に馴染めず3か月で辞め、その後、自宅に引きこもっていることから、この段階で、再度、一般就労を目指すよう励ますのは適切ではない。
3は×である。
Aは福祉的就労に関心を持ち始めたばかりであり、「体験利用をすぐに申し込むよう促す」のは適切とはいえない。
4は〇である。
まずは、アセスメントを行うべきであり、Aの話を十分に聞くことは適切である。
5は〇である。
アセスメントの一環として、Aの状況や就労の希望について、両親にも確認することは適切である。
正解4,5
ソーシャルワンカーからのワン🐾ポイントアドバイス
「この段階で行う支援」としては、アセスメントをしっかりと行うことである。