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1.人体の構造と機能及び疾病(R6年2月-第36回)

問題 1 成熟時の発達を100%としたスキャモン(Scammon, R.)の臓器別発育曲線に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 25歳を100%として表している図である。
2 身長など一般型はS字型カーブを示す。
3 リンパ型は12歳頃に約90%となる。
4 神経型は12歳頃に最も発達する。
5 生殖型は12歳頃に70%となる。


1は×である。
臓器の発育のピークが25歳といのは、やや遅い感じがする。20歳時点を100%としている。
2は〇である。
S字型から2度ピークがあることを連想できるとよい。身長や体重の伸びが大きくなるのは、生まれてすぐの時期と12歳頃の思春期の時期である。本肢が正解となる。
3は×である。
リンパ型は、胸腺などのリンパ組織の成長を示したものであり、免疫系の成長をイメージするとよい。リンパ型(免疫力)の発育曲線は思春期に最も高くなり、そこから徐々に下がっていく。
4は×である。
神経系の発育曲線は、出生後から一気に増加し、成長期には100%の状態になる。
5は×である。
生殖型の発育曲線は、出生後しばらくは低いままであるが、思春期になると急に上昇し、20歳に100%に達する。

正解2

知らなければ、「臓器別発育曲線」の問題なので、自分の経験則も用いて、判断していく。㉝問1に似たタイプの問題があるが、この問題の方が手強い。
https://sgs.liranet.jp/sgs-blog/4214 (2024年3月21日閲覧)

問題2 事例を読んで、国際生活機能分類(I CF)のモデルに基づく記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕 Aさん(78歳、男性)は脳伷塞を発症し左片麻痺となった。室内は手すりを伝って歩いている。外出時は車いすが必要で、近隣に住む長女が車いすを押して買物に出かけている。週1回のデイサービスでのレクリエーションに参加するのを楽しみにしている。

1 年齢、性別は「心身機能」に分類される。
2 左片麻痺は「個人因子」に分類される。
3 手すりに伝って歩くことは「活動」に分類される。
4 近隣に長女が住んでいるのは「参加」に分類される。
5 デイサービスの利用は「環境因子」に分類される。

★★
1は×である。
年齢、性別は、個人因子に分類される。個人因子とは、その人固有の特徴をいう。その内容は、非常に多様であり、個性に近いものである。
2は×である。
左片麻痺は、心身機能に分類される。
3は〇である。
活動とは、生活行為、すなわち生活上の目的をもち、一連の動作からなる、具体的な行為である。
4は×である。
近隣に長女が住んでいることは、環境因子である。環境因子には、物的な環 境だけでなく、人的な環境、態度や社会意識としての環境、制度的な環境が含まれる。
5は×である。
デイサービスの利用は参加である。

正解3

㉟問2,㉞問2、㉜問4参照。ICFの図形をイメージして解く。ICFに関する問題は難化しているので、慎重に解く。

問題 3 次のうち、身体障害者手帳の交付対象となる内部障害として、正しいものを1つ選びなさい。
1 視覚障害
2 そしゃく機能障害
3平衡機能障害
4 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
5 体幹機能障害

★★★
1は×である。
2は×である。
3は×である。
4は〇である。
内部障害とは、身体内部の臓器に何らかの障害があることである。
5は×である。
肢体不自由である。

正解4

㉛問6に類題があるが、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害は初登場である。内部障害の意味、HIVの分類を知っていたかどうかで正誤が分かれる。

問題 4 目の構造と病気に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 眼球の外層にある白目の部分は角膜である。
2 白内障は水晶体が混濁してものが見えにくくなる。
3 緑内障は眼圧が下がって視野障害を来す。
4 加齢黄斑変性症では視力は保たれる。
5 糖尿病性網膜症では失明は起こらない。

★★★
1は×である。
眼球の外層にある白目の部分は強膜である。角膜は、眼球の前方にあり、血管の無い、無色透明な組織を指す。
2は〇である。
3は×である。
緑内障は、眼圧が上がる。
4は×である。
加齢黄斑変性症は、老化に伴い、眼の中の網膜(カメラのフィルムにあたる膜)の中心に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気である。 放置すると進行して失明に至ることもある。
5は×である。
失明も起こりうる。

正解2

第28回以降の問題で直接出題されているものは見つからなかったが、受験生としては知っておいて欲しい疾病の基礎知識である。

問題 5 自閉スペクトラム症(ASD)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 成人になってから発症する。
2 こだわりは強くない。
3 幻覚がみられる。
4 常同的な行動は認められない。
5 相手の気持ちを理解することが苦手である。

★★★
1は×である。
先天的な脳機能障害により発現すると考えられている。
2は×である。
習慣への頑ななこだわり,または言語的・非言語的な儀式的行動様式がある。これを同一性の固執という。
3は×である。
ASDの症状に幻覚はない。
4は×である。
常同的な行動がみられる。肢2参照。
5は〇である。
ASDの特徴に対人関係が苦手なことが挙げられる。

正解5

㉝問6,㉝問11を解いていた人には、易しい問題だったであろう。

問題6 次のうち、精神疾患の診断・統計マニュアル(D SM-5)において、発達障害に当たる「神経発達症群/神経発達障害群」に分類されるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 神経性無食欲症
2 統合失調症
3 パニック障害
4 適応障害
5 注意欠如・多動症(ADHD)

★★★
1は×である。
食行動障害および摂食障害群に分類される。
2は×である。
統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群に分類される。
3は×である。
不安症群/不安障害群に分類される。
4は×である。
心的外傷およびストレス因関連障害群に分類される。
5は〇である。
神経発達症群/神経発達障害群に分類される。

正解5

選択肢の中から、発達障害にあたるものを選べばよい。D SM-5のカテゴリーをすべて覚えている必要はない。

問題 7 廃用症候群に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 若年者にも生じる。
2 数日間の安静では、筋力低下は起こらない。
3 長期臥床により筋肉量が増加する。
4 骨粗鬆症は安静臥床により改善する。
5 予防することはできない。

★★★
1は〇である。
廃用症候群は、生活不活発病と呼ばれたりもするが、過度に安静にすることや、活動性が低下したことによる身体に生じた様々な状態を指す。これは若年者にも生じる。
2は×である。
数日間の安静でも、筋力低下は起こる。
3は×である。
長期臥床すれば、筋肉量は減少する。
4は×である。
安静臥床していれば、骨粗鬆症が悪化する。
5は×である。
予防することが可能である。

正解1

肢1は悩んだ人が多かったと思われる。2から5が×であると判断した後、再度1を読み直せば、若年者にも起こり得ることに気付けるはずである。

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